月夜のMelody
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 (緑土なす二次創作ぷらいべったログ 8)
『王は兄に怒られたい』

 王は、自分のために怒る兄が見たかった。
「まもなく兄上が来る。〈一進〉、兄上に余の悪口を言え」
「陛下!どうかお許しください!」
 〈一進〉は這いつくばって許しをこう。
 その時、早目に兄が到着してしまった。
「レシェ何やってるんだ!〈一進〉さんをいじめるなよ!」
「え!違っ」
 王は兄に怒られた。

 再び。王は自分をかばって怒る兄が見たかった。
「この間は失敗した。〈一進〉、勅命である。兄上に余の悪口を言え」
「ううっ…」
 〈一進〉は主の命令に逆らえず泣いた。
 しかし、またしても兄はそこに通りかかってしまった。
「レシェイヌ!また一進さんに酷いことしてるのか!」
「ああっ!もう!でも怒られるのもいい!」
 王は怒る兄にときめいた。

王は、あきらめない男だった。
 〈一進〉じゃダメだった。〈青嵐〉にしよう
「〈青嵐〉、余の悪口を兄上に言え」
「承知いたしました!」
 王は隠れて見守った。
「兄上さま、聞いてくださいよ。陛下ってば先日も我儘ばっかり」
 足弱はクスクスと笑いながら〈青嵐〉の話を聞いた。
(…………あれ?怒らない)
 でも、笑う兄上が見られたのでこれはこれでいいか、と王は思った。

 王は、兄絡みでは本当にあきらめようとしない
 〈青嵐〉でもダメだった。長官にしよう……
「長官、余の悪口を兄上に言え」
「聡明な陛下には悪いところなど一つもございません。ご安心くださいませ」
「………ああ、うん」
 王は諭された。

 王は、最後の手段を使った。
 最後の切り札〈命〉。
「〈命〉余の悪口を兄………」
「(にっこり)」
 〈命〉の微笑みを真っ正面から受け、王は何も言えなくなった
「いや、なんでもない。さがってよい」
 微笑み一つで王を黙らせる〈命〉だった。