月夜のMelody
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 (緑土なす二次創作ぷらいべったログ 4)
『香り』


 足弱は、なんの前触れもなく今世王の胸の中に抱き締められた。
「レシェ?」
「兄上はとてもいい匂いがします」
「そうか?自分ではよくわからないのだけど」
 足弱は、自分の腕の匂いを嗅いでみる。
「ええ。もうすっかりアラスイの匂いが染み付いて……」
 うっとりと足弱に顔をすり付ける今世王を、足弱はべりっと剥がした。
「ああっ!兄上!」
「寄るな触るな匂いを吸うな!湯殿に行く」
「一緒に入りましょう」
「来るな!」

 気になった足弱は、今世王を追い出した後、〈命〉にたずねた。
「あの〈命〉さん、おれからアラスイの香りが匂ったりします?」
「いいえ。むしろ陛下の香りがいたします」
 足弱は、なんとも複雑な顔をした。