プレスリリース
2005年7月15日
DNDiと北里研究所がアフリカ睡眠病の新規治療薬開発を目指し共同研究プロジェクトを開始
DNDiと北里研究所はアフリカトリパノソーマ(アフリカ睡眠病)の新薬開発につながる新規物質探索のため共同研究プロジェクト契約を締結しました。この疾患による死者の数はアフリカにおいて毎年数万人に上っています。今回の共同研究プロジェクトは、アフリカ睡眠病をもたらす原因となる寄生虫、Trypanosoma brucei に対し高い効果のある物質を探索することを目指しています。
先ず、北里研究所は本年9月を目途に、保有している天然物ライブラリーから300‐400物質を提供し、抗Trypanosoma brucei 活性を検証するためスクリーニングを実施します。提供される物質は微生物代謝物、和漢薬、植物抽出物などになる予定です。その後、毎年約2000種の微生物代謝産物および天然物由来の抽出物のスクリーニングを行う予定です。
ツェツェ蝿が媒介するアフリカ睡眠病に感染した患者は、適切な治療が施されないと死に至ります。近年紛争や難民の増加、保健制度の崩壊、地球温暖化などにともない患者が増加しています。アフリカのサハラ砂漠以南36カ国で6000万人が感染の危機にあり新しい治療薬が待ち望まれています。とりわけ感染末期において現在一般的に使用されているメラルソプロールは砒素を基に作られており毒性が非常に高いため、治療を受けた患者の20人に1人が死に至ります。
「医療の歴史をとおして天然物は常に治療薬の宝庫でした。例えばキニンやアルテミシニンはマラリア治療に使用され、タキソールは癌の、そしてジギタリスは心疾患の治療薬となりました。今回の北里研究所とのプロジェクトは、天然物の持つ可能性を利用しようというものです。これはアフリカ睡眠病のほか、リーシュマニア症やシャーガス病などネグレクテッド・ディジーズに対する新薬の探索を行なっている私達にとって大きな手助けとなります。」と共同研究プロジェクトの調印式のため東京を訪問中のDNDi 研究開発担当ディレクターであるサイモン・クロフトは言っています。
北里研究所理事・所長 大村 智 博士は「この度のプロジェクトを始まりとしてDNDiと長期的な研究協力関係を築き、ネグレクテッド・ディジーズに苦しむ患者に新薬をもたらすという重要な貢献ができることを希望しています」と述べています。
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