トロイカの会
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過去のロシア・東欧SF関連ニュース(1998年)

(大)=大野典宏,(護)

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A. ルィバコフ氏死去

 ペレストロイカを象徴する作品と言われた「アルバート街の子供たち」(みすず書房)や「重い砂」(偕成社)などの作者であるアナトーリー・ルィバコフ氏が,23日にニューヨークで亡くなったとのこと.87歳.
(1998.12.24) (大)


ミールの寿命が延びる

 ロシアの宇宙科学ステーションであるミールは,来年の夏に退役する予定だったが,投資家の資金提供によって期間が延長されることになったと23日に発表された.
 ちなみに,Russia Todayには,同じ日付で"Russia Hopes to See Fading Star Mir Shine into 21st Century"という記事が掲載されていた.
(1998.12.24) (大)


ロシアのサイレント映画上映

 12月17日および25日、東京国立近代美術館フィルムセンター(京橋)において、サイレント映画「ボルシェヴィキの国におけるウエスト氏の異常な冒険」(レフ・クレショフ監督、1924年)が上映される。両日とも18:30〜。ピアノ伴奏つき。
 詳細は「ぴあ」などのイベント情報誌を参照されたし。
(1998.12.16)


美術と演劇 ロシア・アヴァンギャルドと舞台芸術 1900-1930

 横浜美術館において12月6日まで開催中。
 「アエリータ」の衣裳デザイン画、「トラストDE」が上演されたときのポスター、「ミステリヤ・ブッフ」(マヤコフスキー)のエスキースやポスターなどが展示されているとのこと。

(1998.11.29)


ユーリ・ノルシュテイン監督 インタビュー放送予定

 本年11月29日(日)18:54〜19:00「いのちの響き」(TBS)にてユーリ・ノルシュテイン監督のインタビューが放映される模様。
(1998.11.26)


ユーリ・ノルシュテイン監督 スタジオジブリを訪問

 ノルシュテイン監督によるスタジオジブリ訪問の模様が、スタジオジブリ「ホーホケキョ となりの山田くん」内の「***スタジオジブリ日誌***」にて、1998年11月16日(月)分として報告されている。

 この内容は、キネマ旬報様よりお知らせいただきました。まことにありがとうございます。なお、キネマ旬報のホームページはこちらにもあります。
(1998.11.21)


「インタヴューズ」――スターリン-ウェルズ対談

 UにスターリンとH・G・ウェルズの対談が収録されている(16ページ分)。立て板に水で語るスターリンと、ツッコミを入れるウェルズという構造だが、当然のごとく話は平行線のまま終わっている。
 他にも本ページに関連ありそうなところでは、マルクス、トルストイ、フルシチョフ、ナボコフなどのインタビューが収録されている。 (1998.11.16) (大)


ボリス・シテルン 死去

 キエフ(ウクライナ)のSF作家、ボリス・ゲダリェヴィッチ・シテルン氏が死去した模様。同氏は1947年生れ、早くより作家活動を開始し、最初の本は1965年に出版された。氏の主な作品賞受賞暦を以下に示す。

(1998.11.10) (大)


ユーリ・ノルシュテイン来日 追加情報

 11月14日(土)18時30分より、池袋西武書籍館9階の池袋コミュニティカレッジにて「エイゼンシュテインとアニメーション――ノルシュテインの『イワン雷帝』全分析」が開催される。

 また、全作品(「外套」を除く)の上映は7日〜27日の期間、ラピュタ阿佐ヶ谷にて。
 注目の「外套」は11月14/15日に上映される。さらに13日の19時からの回は「外套」の上映とノルシュテイン監督による講演となる。 (1998.10.28)


ユーリ・ノルシュテイン来日

 「話の話」などで知られるロシアのアニメーション監督ユーリ・ノルシュテインが本年11月10日に来日する。
 それにともない、特別ワークショップ、全作品上映会、新作「外套」完成部分上映および特別講演、原画展などが開催される。詳しくは、コミックボックスのホームページを参照されたし。
(1998.10.26)


CS 11月の放送

 11月に放送が予定されている作品の中で、本ページ読者に興味がありそうな作品は以下のとおり。

(1998.10.26) (大)


アメリカでペレーヴィンの新刊発売

 ヴィクトル・ペレーヴィンの短編集「青い火影」の英語訳は昨年すでに「The Blue Lantern」として一部の作品が出版されていたが、他の短編を収めた「A Werewolfe problem in Central Russia」が発売された。元の「青い火影」には二十一編が収められているのだが、英訳では両方あわせて十六編しか収録されていない。残りの五編が発売されるのかどうか、それは不明である。
 「青い火影」の日本語訳としては、群像社から「眠れ」が出版されているが、これも分冊の形になっており、全部は出ていない。
 英語版と日本語版を比べてみて面白いのは収録する作品の選びかたである。日本語版では元の「青い火影」を前から順に訳しているのだが、英語版では並び替えてある。参考までに下に目次を示す。英訳にあたってはペレーヴィンも関わっているはずなので、この並び替えは作者の意図的によるものである可能性が高い。

(1998.10.20) (大)


BS11 「ソ連シェイクスピア映画」 3夜連続放送

 SFではないが珍しい企画なので、記録するために紹介しておきます。コージンツェフはシェィクスピア研究家とのこと。

10月12日(月)25:15〜27:50『ハムレット』(1964年・ソ連)
監督・脚本:グレゴリー・コージンツェフ
出演:イ・スモクトウノフスキー、A・ベルチンスカヤ
10月13日(火)25:15〜27:00『オセロ』(1955年・ソ連)
監督・脚本:セルゲイ・ユトケーヴィッチ
出演:セルゲイ・ボンダルチュク、イリーナ・スコブツェワ
(カンヌ映画祭・監督賞 授賞)
10月14日(水)25:15〜27:30『リア王』(1971年・ソ連)
監督・脚本:グレゴリー・コージンツェフ
出演:ユーリー・ヤルベット、V・シェンドリコワ

(1998.10.13) (護)


ロシア国内での「アルマゲドン」上映に対し、国会が非難

 アメリカ製映画「アルマゲドン」(主演:ブルース・ウィリス)がロシア国内で上映されたことに対し、ロシア国会が抗議した模様。これは同作品中にロシアの宇宙計画および宇宙技術を馬鹿にしている描写があるという理由によるもの。結局、ロシア下院は国家映画委員会の委員長に対して議会証言するよう決議したとのこと。

 私見ながら、「ロシア製=ボロい」という描写が(映画・小説などを問わず)多くの作品で散見されるが、はっきり言って見苦しい限りなのでやめて欲しいと思っている。たとえ事実がそうであるにしても、どんな作品であっても同じような描写の羅列で受けを狙うというステロタイプ的な表現しか出来ない作り手側の神経を疑うだけだし、そもそも先入観のみで物を見ているとしか思えない。「日本人=ツリ目・出っ歯・カメラ」というイメージに腹を立てたことがある人であれば、上の記事は全くの他人事ではないはずだ。 (1998.10.12) (大)


第11回東京国際映画祭 開催

 今年も10月31日から11月8日まで東京・渋谷で、東京国際映画祭が開催される。前売りチケットは10月10日より一部の作品を除き売り出された。この記事を読む人達が興味を持つと予想される作品は次のとおり。

・多少幻想的な作品『超級公民』(台湾)
『レクイエム』(仏)
・非幻想的作品『殺し屋』(カザフスタン)
『ベシュケンピール』(キルギスタン)
・マニラトナム監督(インド)作品『心から』『顔役』『ロジャ』『ザ・デュオ』
・ゲルマン監督(ロシア)作品『フルスタリヨフ、車を!』『道中の点検』『戦争のない20日間』『わが共イワン・ラプシン』

 これらの他にもアップリンク・ファクトリーのビデオプログラムにそれらしい作品タイトルが挙げられているが、現時点ではどこの国の作品かは不明である。 (1998.10.12) (護)


東京国際ファンタスティック映画祭*98 開催

 10月31日から11月6日まで、東京・渋谷で東京ファンタが開催される。
 現在判明している範囲で言えば、

・大インド娯楽映画桃源郷PART2『マドラスカレッジ大通り』『ヤジャマン 踊るマハラジャ2』『DDLJ -花嫁は僕の胸に-』『アルナーチャラム 踊るスーパースター』
・武侠皇帝・ジェット・リー特集『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ』『ブラック・マスク/黒侠』

あたりが見所といったところだろうか?(チケットは10日より発売開始している)
(1998.10.12) (護)


シネフィル・イマジカ 「UFO少年アブドラジャン」放送

 10月9日と18日、CS放送のシネフィル・イマジカにて、ウズベキスタンのSF映画「UFO少年アブドラジャン」が放送される。9日は集中放送、18日は深夜の放送になる。

 なお、10月にシネフィル・イマジカで放送される、このページで紹介するのにふさわしそうな作品は次のとおり。

(1998.10.06) (大)


ソフト発売情報

 (株)ビームエンタテインメント新譜として以下のタイトルを発見。発売元は(株)アイ・ヴィー・シーである。いずれも1998.10.25発売。

(1998.10.05) (護)


ダーシェンカ展示会 開催

 東京・有楽町・阪急8Fギャラリーにおいて「ダーシェンカ あるいは小犬の生活」に関する展示会を9月30日(水)〜10月12日(月)10:30〜20:00(日曜祝日19:30まで、最終日16:00まで)開催される。これはカレル・チャペック没後60周年を記念して行われる。
 「ダーシェンカ」の挿絵、写真、原稿等、約100点が展示され、グッズの販売もあるそうだ(ロボットや山椒魚のキャラクター人形は無いだろうな…とほほ)。 (1998.09.29) (護)


「ダーシェンカ」文庫化

 1994年12月に出版された単行本の文庫化。原著を2分冊した内に1冊。もう1冊『小犬の生活 ダーシェンカ2』は単行本として1997年に出版されている。 (1998.09.29) (護)


BS11 「わが心の旅」放送

 NHK・BS11の「わが心の旅 チェコ人形の魂を求めて」が9月26日(土)20:45〜21:30に放送された。NHK人形劇「三国史」で有名な人形師・川本喜八郎が恩師イルジィ・トルンカの故郷チェコを再訪するドキュメンタリーである。川本ファン、トルンカファンには堪えられない番組であった。なお,このシリーズは単行本化されているので、この回もぜひ単行本されて欲しいと願う。 (1998.09.28) (護)


BS11 「"I WISH ....."」放送

 ウズベキスタンSF映画「"I WISH ....."」がNHK・BS11で8月24日(月)20:00〜22:00に放送された(ズリフィカール・サユク監督)。この作品は以前にハイビジョン放送されたのだが、ハイビジョンTVを持っている人間なんてそういないため、どんな作品だろう?と首を傾げていた。内容は頭の中で願った事が全て現実となる主人公の悲喜劇で、SF色は少ないが、すばらしい作品である。 (1998.09.28) (護)


北朝鮮怪獣映画LD 新発売

 北朝鮮の怪獣映画「プルガザリ 伝説の大怪獣」のLDソフトが1998.11.25にPIONEER LDCから発売される事になった(PILF-2673 4700円)。以前、某会社からVTR(吹替版&字幕版)が出ていたが、版権のトラブルで生産中止となり、マニアの間では幻の作品と化していた。今年夏に一部劇場で上映された事から今回LDソフト発売に結び付いたのであろう。喜ばしいかぎりである。 (1998.09.28) (護)


オカルト本 旧刊

 時期的に今更という気がしないではないが、取り上げていなかったので紹介する。本書は「Xファイル」ブームにあやかって出版された怪事件を集めた本である。この中でロシア東欧に関係ある項目を上げておく。「恐るべき超人類ビオヒューマン」「大国の運命を左右する「レイ・ライン」」「戦場の悪夢「バトル・フィールド・サプライズ」」「謎の世界『ヤクート超文明』の復活」「秘密閉鎖都市で、進行する驚愕すべき超極秘実験」。まあ、話1/10くらいに聞いておけば良いだろう。 (1998.09.25) (護)


ツングースVTR 新発売

 タイトルが全てを物語っているが(^^;)、1947年にUSAがロズェルに墜落したUFOを回収してオーバーテクノロジーを入手したという話に対し、USSRは1908年のシベリア・ツングース地方で起った謎の大爆発はUFOの墜落が原因でありUSSR政府はそれを回収、オーバーテクノロジーを入手したという内容。これをロシアン・ロズェルというらしい。
 SF作家アレクサンドル・カザンツェフが『宇宙から来た客』の中で世界で初めて、この説を言ってから、どんどん広がってきたんだけど、ここまで来ると、もう笑って見るしかないですよ(ちなみに私は冒頭10分で寝てしまいました)。このビデオ、機会があれば例会で上映したいと思う(みんな見たいでしょ?)。 (1998.09.25) (護)


歴史本 新刊

 読売新聞で連載している歴史コラムを集めた本。連載自体は現在も続いているが、一番最初の記事がロシア革命という事で、連載中から読んでいました。私のような政治・宗教中立派には関係無い本なんですが、ソ連SFがどの様な背景から生まれたかを調べるには適当な本でしょうね。 (1998.09.25) (護)


BUCCONEER報告

 第56回World Science Fiction Conventionは8月5日から9日までUSA・Baltimoreで開催された。最終日のクロージング・セレモニーの直前「Polish SF&F」と題する企画が行われた。参加人数約15人のうち日本人は天野1人(はあ…^^;)。ポーランドのSF作家Tomasz Kolodziejczakと通訳兼Polish - English翻訳者Michael KandelがポーランドのSFの歴史及び現状を簡素に説明を行なった。SFの80%は英米SFの翻訳で日本アニメ・漫画の流行という状況はどこの国でも同じ。 (1998.09.24) (護)


EUROCON2000開催

 USA主体で開催されるWORLDCONに対し、ヨーロッパ諸国主体で開催されるのがEUROCONである。1999年はドイツ国内で開催されるが、2000年はポーランドで開催される。興味のある方は参加してはどうだろう。

(1998.09.24) (護)


悪魔の発明(USA版)再発売

 レアの旧作ソフトの発売に力を入れているEnglewood Entertainmentの近日発売リスト中にチェコのカレル・ゼーマンの代表作「悪魔の発明」(英題:The Fabulus World of Jules Verne)を発見。しかも映像特典としてビハインドシーン映像やスペシャル・イントロダクションなるものが付いているらしい。日本においてもLDおよびVHSソフトがヘラルドから発売されていたが、とっくに廃盤となっているので、この機会にぜひ購入しよう。 (1998.09.22) (護)


没ったロシア宇宙展

 今年の7月16日(木)〜8月23日(日)間に千葉・幕張メッセにおいて「21世紀の子供たちのために…ロシア宇宙展 RUSSA SPACE FAIR」が開催されるハズだった。天野が7月下旬に別件で幕張メッセに行った時に関係者から聞いた話では、ロシアから輸送される宇宙機が、どこかの港に足留めを食らい、展示場に運び込み出来ないというのが中止の原因らしい。その時は7月末から開催する予定とは言っていたが、開催された様子が無い事から没ったのであろう。
 旧ソ連にはモニノ航空博物館やクビンカ戦車博物館など、マニアがよだれを出すほど魅力的な場所があるのだが、USAのように一般の出入りが自由では無いため、見る機会はほとんど無い(軍の基地に隣接されている場合が多いので機密保持のため)。この展示会は数少ないロシアの航空・宇宙機の実物を見るせっかくのチャンスであったのだ。完全の没にしないで日を改めて開催する事を切に願う。 (1998.09.22) (護)


タルコフスキー再発売

 販売をビーム・エンタテイメントに委託し、自社概刊ソフトのDVD化を進めている(株)アイ・ヴィー・シーは、既に「ストーカー」のDVDソフトを発売した。これに続き9 / 25に以前、東宝から出ていた「惑星ソラリス」(初回限定:富田勲のシングルCD付き)「鏡」のDVD及びVHSソフトの発売を行った(東宝版は版権が切れた為、既にLD及びVHSソフトは廃盤)。
 これに呼応してかPIONEER LDCから同じ9 / 25に「ノスタルジア」「サクリファイス」のLDソフトを発売した(4頁解説書付き、豪華化粧箱入り)。この2作は以前SONYからVHSソフトが出ていたが、廃盤になって久しかった。それぞれソフト形式は異なるが、タルコススキーの代表作がリーズナブルな値段で入手出来る事は喜ばしい。 (1998.09.22) (護)


パラジャーノフ新刊

 原著は仏で93年に刊行された。パラジャーノフの計3回のインタビューを含む研究書である。パラジャーノフの諸作品は厳密に言えばSFまたはファンタスチカとは言いがたいが、幻想的で土着的な映像は見る者を魅了する。シナリオ集『七つの夢』(露崎俊和訳,ダゲレオ出版)と合わせて読むと良いかも。
 VHSソフト『スラム砦の伝説』『アシク・ケリブ』『ざくろの色』は既に版権が切れて廃盤だが、(株)アイ・ヴィー・シー近刊予告の中にパラジャーノフの『火の馬』がリストされているので、気長に待ちたい。 (1998.09.19) (護)


ロシア幻想文学作家会議「ストラーニク」開催延期

 本年九月に行われるはずだった第三回「ストラーニク」が十二月に延期された。現在のロシアを襲う政治経済不安が最大の原因である。このままの状態が続けば、本年の開催が無期延期となる可能性もある。(1998.9.12) (大)


サハリンのSF大会「サフコン'98」開催される

 サハリンのユジノサハリンスク市でローカルSF大会「サフコン'98」が本年8月17日-19日に開催された。ロシアのSF大会らしく、全員が同じ企画に参加するという形式で無事に行われた模様。一応招待状は来たのだが、開催直前であったため、参加は見合わせることになった。どうやら直前まで開催できるかどうか微妙な話になっていたようである。(1998.8.26) (大)


インタープレスコン開催される

 本年も無事、インタープレスコンが行われ、インタープレスコン賞およびカタツムリ賞の発表が行われた模様。詳細は後に譲るが、ラザルチューク&ウスペンスキーがどちらの賞でも受賞している。(1998.6.20) (大)


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