群像社版ストルガツキイ選集の続きが出なくなって久しいが、この度、<群像社ライブラリー>の1冊として、最後期の自伝的長編『滅びの都』が出版された。例によって、例の如く、一般書店で見かけることは少ないかもしれないが、ぜひ、手に取ってみてほしい作品である。敢えて、解説はしないので悪しからず。
書誌情報
ロシア・ファンタスチカの潮流の一つである<ターボリアリズム>の命名者であり、日本でも群像社ライブラリー第二弾として短編集『眠れ』が出ている作家、ペレーヴィンの新刊がモスクワの《ТЕРРА》社より発行された(ISBN5-300-00509-6,5-300-00510-X)。
題名は《Сочинения в Двух Томах》で、文字どおり『2巻もの選集』なのだが、上巻は《БубенНижного Мира》(下方世界のタンバリン)、下巻は《БубенВерхнего Мира》(上方世界のタンバリン)の副題が付いている。主な収録作品は、長編《オモン・ラー》及び《虫の生活》、中編《世捨て男と六本指》、《ゴスプランの王子様》及び《黄色い矢》。その他の短編については、『眠れ』に収録されているものが多い。なお、筆者は本書を日ソで入手した。
ロシアで初のSF百科事典人名篇《Энциклопедия Фантастики:Кто
есть кто》の刊行については既にSFマガジンでも紹介されているが(写真が裏焼なのだけど……)、先週末の時点ではナウカ神保町店に在庫が数冊あったので、興味のある方は現物を手に取って見てみてください。
また、テラ・ファンタスチカ社のアンソロジー『弟子たちの時間:ストルガーツキイ兄弟の世界』については、日ソが扱っている。在庫は切らしているようだが、これまた関心のある方は照会してみてください。
SF調ほのぼの映画『UFO少年アブドラジャン』、不思議な映像世界の『島』、『聖なるブハラ』及び『砂嵐』やカザフスタン版『七人の侍』?『ワイルド・イースト』等を含む諸作品の上映期間が三月末で終了する。今後、これらの作品を大スクリーンで観ることはできなくなるのが残念である。特に、『アブドラジャン』については日本SF大会はまなこんでの上映を果たせなかったことが、これまた、心残りなのである。
ロシアの映画100年を記念して、昨年、開催されたロシア・ソビエト映画祭であるが、来年三月に大阪で全作品プラスαをキリンビールの施設を会場に上映する計画が決まったもようである。また、五月か六月には広島で上映される可能性もあるようだ。乞うご期待。
標記のセルゲイ・ボドロフ監督作品が銀座テアトル西友にて上映される。トルストイの小説を原案に、舞台を現代のチェチェン共和国に置き換えた作品であり、ロシア国内でも話題になった作品である。ぜひぜひ、観てみてほしい。
SFとは関係ないけど、ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の新作『聖週間』が東京の岩波ホールにて上映中。第二次世界大戦中のユダヤ人問題を扱った作品とのこと。
(大山博)
ロシア製インターネット・ブラウザ"Ariadna"を紹介します.現在は,製品版がVer.1.0,ベータ版がVer.1.2と,決して枯れているソフトではありません.まだまだユーザ・インターフェースも,機能も不十分です.また,IEのように他国語に対応しているわけでもないため,世界各国のページを見るような目的には不便です.日本語も表示できますが,2バイト・コードの処理は全く考慮されていないので,はっきりいって役に立ちません.したがって,基本的にはロシア語/英語専用のブラウザと考えた方がいいでしょう.
ただし,ロシア製だというだけのことはあり,ロシアのページを見て回る用途には便利なブラウザです.内部にコード変換テーブルを持っているため,Windows1251のフォントを指定するだけでKOI8もMacintoshも表示できるようになります.また,その切り替えもショートカットキーで切り替えられるので便利.表示できるコードは以下の通り.
入手方法
http://www.ariadna.ru/からAriadna 1.2 Beta 1がダウンロードできます(商品版は$30).
セットアップ
他国語処理でキリルを追加していても,日本語版のWindows95で使う場合には,フォントの指定ができません(キリルを指定しようとしてもフォント指定のメニューに名前が現れない).したがってWindowsコードのフォントを新たに用意しなければなりません.
ここからは実際に大野がやってみた例を紹介します.
http://www.kiarchive.ru:8098/pub/cyrillic/windows/truetype/から,
ロシア語は文字の違いが災いし,なかなか電子辞書にはならない.Xカ国語を収録と銘打たれた電子辞書が発売されたが,期待して手に取ったもののロシア語が無くてがっかりした人も多いことだろう.
Word TranslatorはTRANSLATION EXPERTS社が出している電子辞書である.主に英・独・仏・デンマーク・ノルウェーから,ロシア,ウクライナ,ポーランド,チェコ,クロアチア,ボスニア,セルビア,ルーマニア,オランダ,スェーデン,イタリア,フィンランド,デンマーク,アイスランド,スペイン,ポルトガル,日本へ,またはその逆の変換,つまり相互変換を行う電子辞書を多数リリースしている.
気になるロシア語-英語のプロダクトは表の通り.エントリが120,000というと多そうだが,構文まで含む項目数なので,実質的な語数は半分とか1/3といったところだろう.だが,約40,000円という価格は魅力である.
http://194.205.1.2/software/ibm/trans/からシェアウェア版(超マイナーバージョン)がダウンロードできる.
(大野典宏)
来月まじめに書きます.