A&B ストルガツキーのページ

 ロシアSFの巨匠 アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの情報を提供します.ストルガツキーはタルコフスキーの映画「ストーカー」の原作者としても有名です.

  • アルカジイ・ナターノビッチ・ストルガツキー

  •  兄.1925年-1991年.

  • ボリス・ナターノビッチ・ストルガツキー

  •  弟.1934年-.サンクトペテルブルグ在住.
    →近影(1995年5月6日撮影)

     1997年に開催されたコンベンション「ストラーニク」でボリス・ストルガツキーが行った講演「未来の歴史」の骨子を掲載します。

     トーキング・ヘッズ叢書のページストルガツキー兄弟のバイオグラフィおよび紹介が収められています.


    現在入手可能なストルガツキーの本

    • ストーカー 
    • 収容所惑星
    • 蟻塚の中のかぶと虫
    • 波が風を消す

     以上,早川文庫
     全て品切れ状態。古書での入手は可能。 

    • 願望機 
    • みにくい白鳥 
    • トロイカ物語 
    • そろそろ登れカタツムリ 
    • モスクワ妄想倶楽部 
    • 地獄から来た青年 
    • 滅びの都 
     以上,群像社
    • 世界終末十億年前 
    • 月曜日は土曜日に始まる 
    は品切れ状態。

     

     トーキング・ヘッズ叢書のページ日本語のビブリオグラフィが収められています.


    映画化されたストルガツキーの作品

     各映画のキャスト,クルーについては,IMDbのアルカジーの項またはボリスの項をご覧ください.

     未確認の作品は,確定でき次第追加します.

    日本語で読めるストルガツキーサイト


    未来の歴史

    ボリス・ストルガツキーによる講演の骨子

     三十年前、ストルガツキー兄弟は二十二〜三世紀までには完璧な共産主義が出来上がると思っていた。だが、人の夢は終った。しかし、「未来の建設」は興味深い話題である。この話の要点は次の三つ。
     まず第一に、兄弟は六十一〜三年頃、「共産主義の建設」のために働こうとしていた。
     第二に、たくさんの人たちがソビエトに大きな期待をかけていた。兄弟が子どもの頃、数人の人々が兄弟の希望を作り上げた。共産主義はロシア人の夢であり、兄弟の夢でもあった。それは単なる夢ではなく、願いでもあった。数人の人々は善人たることができ、その人々が希望の創造を始めた。だが、創造はそれだけでしかなかった。
     そして第三に、兄弟は光り輝くアイデアや理想の創造を記述しようとした。兄弟は、早く大人になるために夢見たのだ。
    (1997年9月26日サンクト・ペテルブルグにて)

    この講演の内容について
     この講演で語られていることは、ストルガツキー兄弟が創作を始めるに至った動機の一端と「我々には未来の夢が必要だ」という二点のみである。
     確かに、六十〜六十四年にかけて「ラドガ壊滅」や「よくできた惑星」などといった典型的な未来もののSFを書いている。また、当時の状況を考えるならば、共産主義が創作の動機だったというのも事実だろう。
     だが、ストルガツキー兄弟は六十五年頃から未来の夢ではなく、現代的な問題にテーマを絞ったものを多く書いている。それにストルガツキー兄弟は、七十年代までには共産主義者ではなくなっていたはずである。それをわざわざ語るというのも奇妙な話だ。
     以上のことを合わせて考えると、この文脈ではボリスが他の作家に未来に付いての話を書くように奨めているようにも解釈できるが、そうではなく、ボリスからの逆説的な問い掛けであると解釈できる。つまり、ボリスは自分たちの出発点と転換について語ることで、より現在の立場を明確にしようとしたのだ。これはボリスが普段から主張している「今日の問題を語る」という姿勢と一致する。



    みんなハッピーにしてやる,しかもタダだ.
    誰もブルーなままじゃ帰さないぞ!
    「ストーカー」

    Return to top