マンテ・ラ・ジョリーへ、消化試合のサイクリング 

 (2009年5月23日、イル・ド・フランス地域圏)


パリから西へ伸びているサイクリングの軌跡のうち、ポントワーズとマンテラジョリの間がつながっていない。この空白が気になり埋めるべく出かける。

最寄のRER−C1線のKennedy Radio France駅からポントワーズ行きに乗り込む。サイクリングの為にポントワーズまでRERで行くのは3度目だ。御馴染みのポントワーズ駅で下車。今日はマンテラジョリまでなので途中にはこれと言ったポイントもないだろう。しかも中途半端なパリ郊外でもあるので田園地帯を走るというわけでもない。消化試合的なコースだ。

ポントワーズの駅前から教会の坂の下まで走り左手へ曲がる。と思いのほか商店街が長い。ポントワーズの街のこちら側に来たのは初めてだった。店が途切れると緩い上り坂で、ハイウェイの入り口を高架で渡る。とあたりは広い道に倉庫が並ぶ産業団地のような一角になる。走っていても全く面白みの無い風景だ。

工業団地を抜けると道路の左手は公園になっており、林の中から良い匂いが漂ってきた。なんと、バーベキュー大会だ。日本人と同様に、やはり外でメシを食べるのは美味しいのだろう。にぎやかな集団をパスして走っていく。地図を見ながら行くコースを考えるが、このあたり一体、丘をくずして造成したような地形が続き、昔ながらの道を行くという楽しさには無縁のルートだ。今日は、空白を埋めるだけだから仕方ないよ、と口ずさみながら西へ向かう。

ニュータウンの中を走る面白味のない道が続く。Boisementというニュータウンから道を西にとるとようやく丘陵の広がる広い地形となった。

(ニュータウンを抜け出して緩い
登りを行く。)
(制御運転台付きの客車列車
がやってきた。)
(日本の電車にも
あればなぁ)

緩く登っていくとパリの平原が来し方に大きく広がる。坂を登り切ったところで地図を見て次のルートを考える。正直ここまで全く面白みのないルートで、このままセーヌ川の谷に下りても余り楽しい風景があるとも思えない。が、遠回りしても、どんな風景なのかピンと来ない。あたり一体が思ったより開発されているのだ。

今日は、こんなものかな、と割り切って目的地のマンテ・ラ・ジョリーまで最短距離をとることにした。

緩く上り下りが続く丘陵地を横切り、森を抜ける。とこのあたりから雨が降り出した。しばらく進んでも止まず強くなってきたのでレインウェアを着込んだ。下り坂で路面が濡れている。嫌な感じだ。しかも今装着しているブレーキはリムが濡れてくると効きが極端に悪くなってしまう。カンチブレーキそのものがこの程度のものなのか、自分でセットしたからダメなのか。でも同じカンチブレーキでも古いMTBに装着してある奴はもっと効きが良いなぁ・・。サイドプルやセンタープルだと効きが違うのだろうか。 ツーリング車の雰囲気にもそぐわないが、リアだけVブレーキにしてみるのも悪くないか・・・。

注意深くブレーキングしながらセーヌ川沿いのMeulanの町まで下りたところで雨も止んだ。レインウェアを脱ぎ、あとは倉庫や畑、工場などが点在する面白みのない幹線路をマンテ・ラ・ジョリーまで淡々と走るだけだった。

マンテ・ラ・ジョリーの駅からは同じパリでもサンラザール駅行きとモンパルナス駅行きの2路線を選ぶ事が出来る。パリ北西部のサンラザールよりは南部のモンパルナスをめざす列車のほうが都合が良い。自宅近くのムドンに停車するからだ。30分ほど待ってモンパルナス行きの始発に乗れる。今回乗った車両はRERと同じ2階建てだが最大の違いは電気機関車を従えたペンデルツークの客車列車だということか。電車と比べ客車の騒音の少ない客車列車はいかにも旅らしく好ましい。ドイツのインターシティと同様に車両には吊り下げ式の自転車収容ラックがついている。がら空きなのでわざわざラックに自転車を引っ掛ける必要もないが、折角なのでトライする。立てかけてしまえば収容スペースは極小ですむ。日本の長・中距離電車にも、こんな装備がつく日は来ないのだろうか。一編成に2,3箇所でも良いのだが。そんな心の贅沢は、日本人は持ち合わせていない、といったところだろうか。

自宅からノルマンディの一角であるジヴェルニーまでこれでサイクリングの軌跡がつながったという満足感以外は消化試合そのもののサイクリングで、実に面白みのなかった行程ではあった。が、唯一の収穫は先日交換したベンディングペダルの効能を感じたことだろうか。シマノのSPD片面フラットペダルに換装したのだが、実際足がペダルに固定されるというのはスグレモノだ、と自分のような初心者でも感じる。引き足が使え、そのおかげで心なしか上り坂が少しだけ楽になったように思えた。これではまた、どこか次の遠出が楽しみになってしまうではないか。困ったものだ。

(走行距離48km)
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