愛用の山岳移動用アンテナあれこれ

(JK1RGA・河野 隆)


私は山岳移動を主体に6mバンドで,年問50回前後の移動運用を楽しんでいます。

97年のハムフェアーで「山と無線」のコーナに遊びに行った時,展示してあった50Mhz用超軽量リニアアンプ(200g)に一目惚れをしてしまいました。ハムフェアー最終日の夕方に無理を言って,そのアンプをやっと譲って頂く事が出来ました。そのタバコの箱より一回り大きいぐらいのアンプのケースには,MLQ MOUNTAlNSPLと書いてありました。川田さんが使うはずだった物を当局に廻して頂いた様で・・有難う。

これだけでも,装備の軽量コンパクト化にかなり役立ちました。

*FT690n十軽量リニアで10W(1420g)
*ピコ6十軽量リニアで5w(680g)となりました。

それまで同じ山に移動する事が多かったのですが,益々山岳移動が楽しくなってしまい,これを境に毎日地図を眺めて登りたい山探しをする様になってしまいました。職業柄、雨乞いをしなくてはならない季節になっても,心の中では土日の晴天を密かに願う様になっていました。

トランシーバーが軽量コンパクトになれぱ,次はアンテナの工夫に眼が行く物です。今は自分成りにいくつかのアンテナを制作し便用しています。移動連用中に「空中線はどの様な物をお使いですか。」と間われる事が度々あったので今回大雑把ですが紹介させて頂く事にしました。

制作に当たり下記の事を考慮し,制作しました。当然6mバンド専用です。

1)移動地で組立てが簡単で早い事。(出来るだけ工具を必要としない構造にする)
2)軽量でコンパクト(収納寸法50cm以下)でザックに入る事。
3)アンテナとしての性能が保証されている事。CQ誌などの製作記事を参考にし,目的に合わせてアレンジを加える。

AからFまでのイラスト6点の制作順は,下記の順番です。

B)DP兼用HB9CV 
E)スリーアローデルタ 
A)タイポール 
F)ダイヤモンド型ループ 
D)予備用ワイヤーDP 
C)3エレHB9CV

そしてイラストには有りませんが,BのHB9CVをJRlNNL後藤さんのアンテナづくりのノーハウを参考にして制作した紐を引っ張って組立てる方式のアルミパイプ製軽量アンテナ(300g)です。

それぞれ一長一短が有るので、移動の状況に合わせてアンテナを選んで持って行く事にしています。

山ランのメンバーに加えて頂いてからは途中のピークからも電波を出すようになったので、伸縮ポールの中にアンテナエレメントを収納できる仕込み杖タイプのV型ダイポールを考えています。傘を開くのと同じ感覚でセットアップできるものを目指しています。

(A)ダイポール (B)DP兼用HB9CV (C)3エレHB9CV

(A)ダイポール(70g)
お手軽移動の時や,縦走の時などに便用している。予想していた以上にサイドの切れもあり,遠距離通信を期待しなければ使い易く満足できる。材料が細いので風が強いと使用出来ない。携帯時は竿のピニ一ル袋に一緒に収納出来る。アンテナポールとして使用している渓流竿がダイヤモンド型ループアンテナと共用の為,このループアンテナを使用する特にはサプアンテナとして一緒に持って行く事にしている。

(B)DP兼用HB9CV(700g)
運用場所の状況に合わせて,DPとHB9CVのどちらにでも成るようにした。組立て,撤収の時間短縮を第一目標に製作した。全て差し込み式に成っている。組立時間は2分ぐらい。風に強いので,少々重いのだが使用回数は多い。山頂で使用するには,牲能、大きさなどを考え合わせると,一番お手頃なタイプだと思う。最近,重量軽滅の為にアルミパイプ製の物を製作した。(重量300g)

(C)3エレHB90V(730g)
北奥干丈岳2600m山頂で4エリアとQSOした時に,2エレの限界を感じ製作した。1年後同じ場所から3エレでQSOしたところ,55〜52のRSレポ−トがもらえた。迎撃の時によく使用している。キレすぎて普通の山岳移動では使いにくい。エレメントはJRlNNL方式の紐を引っ張って組立てる。その他は,手で廻せるネジを使っている。エレメントの収納寸法は50cm。組立時間は5から10分


(D)ワイヤーダイポール(20g)
緊急用アンテナとして製作した。普段はフィルムケースの中にエレメントを収納しておけるのでとてもコンパクトで軽量。フィルムケース内の空きスペ一スに予備のビスやフューズなどを入れて置ける。常時ザックのポケットに入れて有る。便用する時は,細紐を使って木の間などに張る。


(E)スリー・アローデルタ(180g)
素早く設営でき利得のあるアンテナとして製作した。組立て時間は,ロットアンテナを左右に引き伸ぱすだけなのでとても早い。(1分以内)利得はダイポールと殆ど同じだったので,最近は使用していない。(調整が不十分かも)ビニル線を0.8mmのステンレスワイヤーに変えるだけで60gかるくできる。近い内に手直しをする予定。収納寸法長さ40cm


(F)ダイヤモンド型ループ
水平,垂直の偏波が混在する6mバンドでは使い易い。利得はDPに比べると明らかに良いことが解るが,ヘンテナと比べた時には若千劣る気がした。比較的風に強く設営も楽なので,一時期このアンテナばがり使用していた。Eスポに強いはずだが,実際使用して見たら全ての平地局に勝てなかった。1000m以上の山ではEスポ通信は難しいようだ。

(D)ワイヤーダイポール (E)スリーアローデルタ (F)ダイヤモンド型ループ

(終り)

(本文章、イラストは「山と無線」誌30号に記載された記事を著者JK1RGA、河野氏の承諾を得て転載しました。従って本記事・イラストの著作権は同氏に帰属します。文章、イラストの無断転載は固くお断り致します)