満喫した3000m峰の山スキー・乗鞍岳 

長野県松本市 2018/4/29,30,5/1

(麓から望む乗鞍岳。山麓から春が近づいて行く)

GWの山は、Tさん(JK1NRL)とSさん(JI1TLL)とともに乗鞍岳の山スキーでした。

4月29日 移動日 Sさんと横浜からのんびりと乗鞍高原観光センターまで。流石に連休二日目、東名高速は渋滞でしたが河口湖を抜けて乗鞍高原まで。観光センターの駐車場でテント泊。標高1450mは流石に寒かった。着込んでシュラフにもぐりこむ。夜半に日野市からTさんが合流。

4月30日 朝一番8:30のバスで位が原山荘(2350m)まで。除雪はここまで出ここから先はスキーでシール登高。連休の乗鞍、バス5台分の 入山者は200人を越えるだろう。大半は山スキーヤだ。アリの子が散るように乗鞍の大斜面に山スキーヤが散っていく。今夜は位が原山荘泊の自分達三人ははのんびりと登る。とりつきから標高差100mは壁で、のっけからきつい。シールがずれるのを気にしながらトラバース気味に登って行く。登 りきると台地状となり目の前に乗鞍最高峰剣が峰(3026m)が威圧的に立っている。あそこまで登れるのだろうか。不安はつのるが点々となった山 スキーヤ達はまるで産卵で川を遡るサケよろしく三々五々高みを目指している。我々も、ただ進む。海抜2600mあたりまでゆったりとしたプラトーだが、肩の小屋を右手前方に見る頃からやにわに斜度が急となった。

肩の小屋から稜線に取り付くつもりであったが皆さん朝日岳から蚕玉岳の間のルンゼ状の斜面をひたすら登って行く。壁に張り付いた黒点にしか見えな い。こちらも辛いが自ずとそのルートになってしまう。斜度が一段と強まりシールの直登ではきつくなってくる。ジグザクに、10歩登って30秒休憩。これでは永遠に登りきる気がしない。しかも妙に息が上がる。どうしたのかと考えると、そうか、もはや海抜2800mを越えている。酸素が薄いのだ。バスで一気に2300mまで登ったせいもあるのだろう。しかし、辛い。時折ハイマツが雪から顔を出す中、かなりの壁を上って行く。ここで シールが滑ってこけると軽く10mは落ちるだろうか。下を見ないようにしてただ足を運ぶのみ。シールのトラバース、滑ると体力の消耗が激しい。稜線に登りついて安堵の息が大きい。

朝日岳と蚕玉岳のコルに登りつく。海抜2950m。飛騨側からの風が強い。雷鳥がかわいらしい。写真を撮ろうとしたら大きく羽を広げて朝日岳の山頂方向へ飛び去ってしまった。前方に高く主峰剣が峰が聳えている。鳥居が見える。思ったより近い。ここでスキーをデポして稜線を進む。登り始めは 晴天だったがいつしか高曇りに変わっており思ったよりも寒い。ここからの稜線歩き、やはり酸素が薄いのか息が上がりくらくらする。

主峰剣が峰(3026m)では展望をむさぼる。北アルプスは穂高・槍・笠とならび、奥に重なり合った山々は黒部五郎か三俣蓮華か。焼岳はぐっと低 く目の下見見える。目を転じると御嶽、木曽駒から空木、そしてその奥には甲斐駒から北岳、塩見、悪沢へ続く稜線が雲に浮かんでいた。この季節に 3000m級に登れるとは感無量。Tさんと感動の握手を交わす。

無線運用はSさんが50メガ、Tさんが430FM、そして自分は2mFM。CQ一発で途切れることなく呼ばれて、西は富山の高岡から 59-59、東は関東平野は茨城の古河市から55-55。相手の設備もよいのだろうがこちらはハンディ機にRH770の直付け、2.5W だ。満喫する。SさんもTさんも運用を満喫したようだ。3000m峰の無線運用は、やはり別格だ。

無線を満喫した事もありあれほど人の多かった山頂尾根も誰も居なくなってしまった。プラのテレマークブーツを踵から踏み込んで急斜面をおりてスキーのデポ地に戻る。登りに喘いだルンゼ状の急斜面はもう誰も居ない。シールを剥がしワックスを塗って滑り出すと、ガリガリとすでに雪面は氷化していた。エッジ を利かせながら注意深く、斜面を大きく使い滑って行く。登りでついたスノーボールやツボの踏み跡がカチカチで、洗濯板のようだ。飛ばされないようにしないと。

壁を滑り降りるとやや楽になるが雪面は相変わらず固い。プラトーを端まですべると雪質は明瞭に変わり、多少は滑りやすくなる。ダケカンバ帯となり 最後の急坂を下りきって、位ヶ原山荘に戻る。無事山スキーで一山終えることが出来た。この満足感!

位ヶ原山荘の同宿は10人程度か、缶ビールが美味い。たちまち酩酊して行くのはアルコールのせいだけではないだろう。夕飯にはシカ鍋が出て、体の芯から温まった。

5月1日、今日はもともとは予備日で、すでに昨日中に剣が峰を踏むことが出来たので、スキーを履いてあたりを歩きまわる程度。テレマーク用のスキーアイゼンを試してみる。

09:30発、一番のバスで観光センターに下りてから、一の瀬園地はミズバショウの群落地まで軽くウォーキング。安曇野で日帰り温泉(ファインビュー室山@500円。安曇野を望む大展望の湯だった)を使い、ここで帰宅するTさんとはお別れ。お疲れ様でした。

Sさんと自分はこのあと松本城を見学して、久しぶりに小淵沢のSさん(7L1UGC)宅へお伺いし、奥様手作りのお饅頭などを頂き歓談のひと時。夜半になり全く渋滞のない中央道から圏央道、東名とつないで2時間強で小淵沢から横浜に戻ってきた。Sさん、Tさん、素晴らしい残雪の3000mピークの山スキー、ありがとうございました。スキーも無線も満喫。すばらしい2日間だった。

位ケ原からプラトーまでは長い登りが続く プラトーは広く、なかなか山頂が近づかない 最高峰・剣が峰まではスキーを脱いで登った
3000m級峰をスキーで踏めたのは嬉しかった 山スキー・登山者でにぎわう位ヶ原山荘 ミズバショウが山スキーの締めくくりだった

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