しまなみ海道へ 

 2017年3月24日-26日 広島県尾道市、他 


3月末に永年勤続という事で5日間の休みが取れました。さて何をしようか、と考えましたが、休暇取得前日に長く憧れていた尾道-今治間のしまなみ海道をサイクリングしよう、と決定。急遽輪行装備を整えて3月24日、新横浜駅まで自走し自転車をバラしてから始発ののぞみに飛び乗って西へ向かいます。

このルートはサイクリストにとっては聖地ですね。ガイド・ルートも完備。サイクリストの為に考えられたつくりがすばらしい。出発地・尾道の駅の観光案内所で貸し出されている空気入れポンプがフランス式バルブの対応 であったことがそのすべてを物語ります。立派な案内マップは島々の宿泊情報も満載で言うことなし。

まずは長く食べたかった尾道ラーメンのブームの礎となった店でラーメンの少し早い昼食。さすがに美味です。レトロな商店街を抜けて渡船の船着場へ。貫通型の小さな渡し舟がダイヤも無くただただ水路を往復しています。これに他の自転車や島の住人と共に飛び乗って数分、海を渡り最初の島から。あえて裏道を選ぶとスローな島の時間を満喫できます。時間感覚が麻痺する ような、そんな風景。干物を干す島の海沿いの道を走れば対岸にもいくつもの小島が続きます。島と島を結び橋は下を大型船が通れるようにかなり高く設置されていますが、そこへ至る自転車道も山腹をゆっくり迂回しながら高度を稼ぐもので、脚に優しい。尾道市と狭い水路をはさんだ向島から因島へ、そして瀬戸田・耕三寺のある生口島へ、飽きることの無い素晴らしい海岸ルートが続きます。小島が点在する静かな海を行く小さな船。幼い頃から見慣れた瀬戸内の風景です。

レモン畑の斜面を登り橋を渡るとそこは愛媛県。大三島で投宿。脚が疲れたら今宵の宿を決めよう、と、その場で行き当たりばったりで予約した6500円の民宿ですがも、さすがに島の民宿、食べきれないほどの瀬戸内海の幸に圧倒されます。そして、一貫して島の人々の話す言葉・・広島弁、愛媛弁、いやあえて瀬戸内海弁と言いたい、この言葉が、香川で生まれ、広島で中高時代を過ごした自分にとっては、ものすごいフィット感で、それだけで嬉しくなってしまうのです。

一夜明け、汐の匂いをかぎながらペダルを踏みます。伯方島、大島へ。そして橋を渡ると今治です。二日間で走りきるのが惜しいほどの、素晴らしいルートを終えていよいよ四国へ。四国、なんなんだろう、この心地よさ。横浜居住期間がもっとも長い自分ですが、やはり四国は別格です。自分のアイデンティティはやはり四国なのか、とこの土を踏んで妙に納得してしまうのです。

市街地に向けて走り出したところでレトロなお好み焼きやさんがあり、パイプで作った自転車スタンドがあったので、これはサイクリスト御用達だな、と立ち寄ります。店内には広島カープグッズが置かれ、出てきたお好み焼きも、自分が中高時代に良く食べた大好物の広島のお好み焼きスタイルでした。愛媛県とはいえ、瀬戸内海側は文化的に広島の影響を結構受けているのかもしれない、と感じました。じっくり煮込んだおでんもあり、美味しい店でした。

今治駅で自転車を輪行袋に入れ香川へ。香川には父方・母方それぞれの先祖の墓もあり、親戚もいます。三豊市で単行の電車を下りてあぜ道を走り裏の畑の中の墓地へ。ここには父方の祖父祖母が眠っています。再び東へペダルを踏んで多度津。母方の祖父母と叔父が眠る墓をお参りをしてから親戚の家に顔を出します。一挨拶をしてから丸亀まで。あらかじめとっておいたビジネスホテルに投宿して、親戚と久々に晩御飯を囲みました。

翌26日、横浜に戻る日ですが、今日の最大の目的は 讃岐富士(飯野山)に登ることです。子供のときから何度となく見てきた、この立派な三角錐の山。讃岐平野の最大のランドマークといえるこの山は自分にとっての山の原風景です。一度も登ったことがなかったので、これを機会に登ります。飯野山は標高自体は422mとたいした事はありません。どこから見ても、ほぼ完璧な円錐の山ですので、登山道はぐるりと鉢巻のように山肌を1.5週しています。開門岳と同じです。一応途中から直登コースもあるのでそちらを選びます。サイクリングシューズではクリートが岩に当たり滑りやすいのですが注意して登ります。思ったほど急でもなく45分で神社のある山頂へ。山頂で430メガの開局。ポータブル5は初めての運用になります。4エリ ア、5エリアの局から呼ばれます。ヤマランですか?と聞かれます。1エリアのコールサインで、香川の低山から出ているとはよほどの好事家に思えたので しょう。その局はヤマランのサポーター賞をもらったことがある局でした。やはり3エリアのヤマランは活発なようです。

下山は鉢巻ルートで。讃岐平野ののどかな眺めが眼下に広がります。箱庭のようです。さてあとは夕方の列車で横浜へ帰るだけです。とはいえ、うどん。丸亀市から善通寺市へペダルを踏み進め、うどんを食べ歩きます。まずは山麓の店。美味い。しかし、横浜に戻るとなかなか食べる機会が無い讃岐うどん、もう一杯、と今度は善通寺の方向へハンドルを進めます。丸亀・善通寺・多度津、このあたりが自分の両親のルーツの場所になります。琴平へ抜ける道沿いにあるこちらも有名な店。腹一杯までうどんを食べ満喫。いりこのダシ、金色の汁。自分のDNAの一部の 刷り込まれた味なんですね、やはり。 善通寺(初めて立ち寄った)から金蔵寺、そして勝手知ったる多度津まで最後の一漕ぎ、多度津駅で輪行袋に愛車を仕舞って、自分の原点とも言える地のサイクリングを終えました。 

三日間全160kmのサイクリングも楽しめ、そして、自分の原風景の瀬戸内海を満喫、自分の山の原点・心の山とも言える讃岐富士に登れ、ようやく香川県生まれとして元服したような、そんな万感の思いでした。

尾道駅で輪行袋を解いた。サイクリストの
聖地、しまなみの起点だ
生活に密着した小さな
渡船で水道を渡った
瀬戸内海らしい静かな風景が嬉しい 汐の香りの中を
ペダルを踏み進めた
瀬戸内海の気分が横溢する風景 瀬戸田・耕三寺には初めて立寄ることが出来た 生口島の旧い家並みで。時間が悠々流れていた
良き旅の相棒 レモン畑の中を行く 瀬戸内海を自転車でわたる日が来るとは
思ってもいなかった
住宅とドッグが並存
する、島の風景
島の海は穏やかで、波一つ無かった 旅装の我が相棒 島の民宿、安くて、美味しい瀬戸内の幸だった 四国に上陸、親切な指標
今治のお好み焼き。とても美味かった 自分が幼少の頃毎夏遊んだ海岸寺の
海水浴場。この風景が自分の瀬戸内海だ
多度津は母方の生地。懐かしい家並みは
ずっと色褪せる事も無いだろう
我が心の山、讃岐富士を臨む 讃岐はやはりうどん。安くて美味い 食べ惜しんで2軒目では冷とかけ、2杯行きます

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