秋の好山、長者ケ岳・天子ケ岳 

 (2015/10/31、静岡県富士宮市)


(長者ケ岳山頂から富士)

このところ仕事が片付かず毎週土曜日出社が続いていますがこの週末だけは出社せずにすみそうでしたので、家で暇をもてあましていた娘を誘って、急遽山へ行ってきました。 今年中に登っておこうと思っていた磐梯山へ、と考えていましたが、流石に往復600km超を日帰りドライブするのは辛 い。なによりも帰路の東北道の渋滞を考えてしまいます。そこで手近でまだ登っていなかった富士宮の天子山塊へ。御殿場ICまではもはや毎冬の山スキー足慣らし(富士二子山)で通いなれた道です。越前岳の登山口を見て更に車を進め白糸の滝駐車場に車を停めます。駐車場の横にタクシー会社があったのは事前調査済みでしたので、ここからタクシーで田貫湖まで。

田貫湖はもう30年近く前に何度かキャンプで訪れたことのある場所です。ここから尾根に取り付いて長者ケ岳を目指します。左手に杉林、右手に雑木林の尾根がしばらく続きます。緩急の登り、階段道。階段を嫌ってか杉林の中にも立派なトレースがついています。こちらはフカフカで歩きやすい。何箇所かのベンチを経て長者ケ岳山頂までは1時間50分の登りでした。

山頂(1336m)からは展望がよく、眼下の田貫湖、朝霧高原、そして何よりも真正面の富士山が大迫力です。数日前の冠雪はもう消えていましたが大沢崩れが彫刻刀でえぐったような窪みです。頭上十数メートル当たりをゆっくりとパラセーリングが飛んでいきます。手にとる近さでパイロットの顔が判別できるほどです。横のベンチでラーメンを食べていたおばさんが「降りて食べていきなよ!」と話しかけています。パイロットに声は届いたのでしょうか。アマチュア無線運用では430でCQを出すと静岡市葵区から呼ばれました。いつものDJ-S57にRH770 という組み合わせですが、ワンエリアの移動局は一切聞こえない。やはりここまで完璧に富士山の裏側だとやはりこうなるでしょう。そう思って50メガの装備を外したのは正解でした。

手短に無線を済まして尾根伝い。天子ケ岳までは150m近く下りて叉登り返しです。この尾根はさすがに紅葉も黄色の中に赤が混じり心地よい道です。山梨県側へ降りて行く東海自然歩道を西に分けると天子ケ岳への登りです。露岩の混じる坂を登りきると平坦になり何処が山頂か分かりません。最高点からやや下ったところにぽつんと道標がありそこが天子ケ岳(1330m)でした。

ザックをおろしバーナーでジャスミン茶を温めます。持ってきたパンをかじるだけの簡素な昼食ですが、下山後にB級グルメを楽しもう、と娘には言い聞かせていたので二人ともこの程度の昼食ですませます。アマチュア無線では430メガは相変わらず何も聞こえません。静岡の山を歩いているはずの友人局(JH1QZW局)の声も聞こえません。そこで144メガにしてCQを出すと一発で湖西市からコールがありました。やはりこのあたりの山は富士山との関係からワンエリアとの交信は難しいのかもしれません。ビームアンテナできちんと狙えばパスはあるのかもしれませんが、ポイントが稼げればよいと思うとこれで充分です。

下山路は思ったより長いものでした。上部は岩交じりで山慣れしていない娘には少しきつかったのかもしれません。何度か靴を滑らせてしまい「おいおい大丈夫かよ、足元ちゃんと見ろよ」と声をかけます。杉林まで降りてくると傾斜は緩み、それでも長い道を淡々と歩きます。大学生活ももう残す時間 は半年を切ってしまいモラトリアムももう終わり。来春からは社会人、ちゃんと会社勤めできるかなー、と不安がる娘、自分も30年前、漠然とし た不安を持って社会人になったっけな、とそんな話を道々します。

林道を2回横切り車道に出ます。緩い上り坂で集落に上がると車道歩き30分で白糸の滝に戻ってきました。折角なので白糸の滝を見物します。もう 25年近く前に家内と来たことがあるのですが記憶は皆無でした。下山後の楽しみにしていたB級グルメはご当地焼きそばブームの火付けとなった「富士宮焼きそば」だったのです。幸い近くにあらかじめチェックしていたお店がありました。店によっては味の違いもあるのでしょうが、ソース焼きそば とは違う独特の味付けで、魚粉が沢山ふりかかり半熟目玉焼きがその上に載っています。麺もコシがあり、二人して満足でした。

風の湯という日帰り温泉に立ち寄ってから第2東名(初めて使いました)を使って横浜に戻ります。幸いに渋滞は海老名SA-大和トンネル間だけと少なく、富士宮からストレスなく帰宅できました。低山ではありますが富士の展望も味わい、B級グルメと温泉付き。何よりも娘といろんなよもやま話をして時間をすごせたことが一番楽しかった、そんな秋の好山でした。

田貫湖9:34-長者ケ岳11:20/11:40-天子ケ岳12:30/13:10-登山口14:40-白糸の滝15:10



(上:登り始めて富士と田貫湖を見る。下:長者と
天子の間の稜線には紅葉も見られた)
(今回のルート図。GPSデータをカシミール3D上に展開)

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