金目川をたどるサイクルツーリング

 (2013/12/1、神奈川県平塚市、秦野市、中郡中井町、大磯町


(川を遡ると砂利道となった。意外な
風景の展開に小さな旅を思う。)
(ランドナーはのんびり走る
小さな旅の、頼れる相棒だ)

もう20年来の知り合いである地元横浜・鶴見のMさんはもとはアマチュア無線のラグチューを通じて知り合った友人であるが、彼はアマチュア無線もさることながらその歴20年は越えるというサイクングも趣味にしており、こちらはヨーロッパへの何度かのツーリング旅行、横浜から新潟・東北方面へのサイクリング、北海道ツーリング、などなかなかアクティブに活躍されている。もちろん愛車はランドナーとスポルティフということで、レーシングスーツに軽快なロード車という今時の文化とは異なっているところが共感。そんなM氏と初めてサイクリングにお供させていただくこととなった。

出発が遅くなったこともありルートは手近なところで神奈川県中部の、花水川・金目川を上流へ辿り秦野から渋沢丘陵に上がるというルートを検討。JR大磯駅前のコインパーキングに車を停めてから自転車を組み立てる。M氏のパッキングはこじんまりとしており、ランドナーの魂ともいえる泥除けはMさんは前後とも丁寧に外しての輪行仕様。自分のランドナーの泥除けは分割式なので組み立ては割りと容易。

大磯駅から東へ、金目川を目指す。松の並木が旧東海道を思わせる。JR東海道線をくぐると花水川の陸橋がすぐ。ここを左手に曲がるとあとは基本的に花水川の土手に沿うことになる。しばらくは土手に沿った車道を走るが上手く土手の上の道へ入ることが出来た。一応車止めがあり自転車と歩行者のみがゆるされるルートとなった。しばらく走るといつしか花水川の本流は右手に去っていくが、これは向かって左側の土手道を走っている分には気付かない。気付かぬうちに花水川の支流である金目川を辿るようになる。この土手道は一応金目川サイクリングロードと言う名がついている。とはいえ道幅も狭く歩行者も多く、かつ民家の裏をたどり、しばらくは生活道路の趣きもある。

これを辿ると東海道新幹線のガードをくぐる。毎日通勤で通っている路線をくぐることになる。と、神奈川県と真正面に丹沢の大山がサイクリングロードの真正面に立派にせまってきた。目を左にすると冬の逆光線の中に富士山がすくっとたっており、その前に柿の木が日を浴びてぽつんと所在なさそうに立っている。少し風が出てきたのか風景が動いているような気がする。とよくみれば季節はずれの赤い柿の実が風に小さく揺れているのであった。・・・早くも「小さな旅」をしている思いがわいてきた。M氏も自転車を降りて、「良いねぇ」。 

面白い話である。このあたりのルートは自分は東名高速渋滞時の抜け道にしており自動車で通ることが良くある。おまけに毎日新幹線で通勤途上に見ている風景でもある。ところがそんなときの眺めには旅情もなにも沸いてこない。ところがこうして自転車にまたがりゆっくりとペダルを回すととたんに同じ風景が雄弁に語りだす。普段目にする風景の裏にカーテンがありその裏にもうひとつの風景がある。自転車で走る自分でないとそのカーテンを動かすことができない。ペダルを回してそれをゆっくり開くとまるで新しい風景が頭の中に広がる。普段は隠れて見えない風景と空気が周りを包む。サイクリングの魅力ってそんなところにあるのだろうか。

鴨やサギなどがのんびりと川面で遊んでいる。ゆっくりとペダルを漕ぐと左手から森が近づいてきて道も砂利道となった。駒かな浮き砂利が走りずらいが自分のランドナーは650x35Aタイヤを履いているのでこの程度の道はどうと言うこともない。小石が飛んで泥除けの中で小さな音を立てる。神奈川県と言ってももはや長閑なものだ。金目川から支流が分岐する箇所で細い橋で支流を跨いで再び金目川に戻る。ラフロードが手間取るので気は進まぬが橋を渡り対岸のバス道に出た。

東名を越えるところで東名の側道を選んでみる。小さな丘をひとつ越える事になるが渋沢丘陵へ行くにはどのみちこの丘を越えるか、回り込んで登るかしないといけないだろう。この側道は人工的に斜面を切り開いた道なので自転車で走ることなどは考慮にないだろう。とんでもない急坂なのでとたんに脚が張って息が上がる。ハイキングには定期的に行っているが山歩きと自転車では使う筋肉が違うのかもしれない。ローハイの最低ギアで進むが足がつきそうだ。何とか登りついて息をととのえる。Mさんはすでに自転車を降りて押し登ってきた。無理にこぐよりも歩いたほうが体力温存になるようで、ひとつ勉強になる。

東名秦野中井ICを抜けて再び西へ向かう。また丘越かと思えばここからは緩い登りのみで小さなトンネルを抜けると中村川の作る谷へ向けて緩く下りだした。走る車も少なくここは心地よくスピードが出て風景の中に自分が溶け込んでいくような錯覚を覚えてしまう。心地よい緩い下りを経て中村川に出た。

ここから再び曽我丘陵に向けて登り基調の道となる。目のはるか上を東名高速がアーチの陸橋で越えていく。しばらく走ったところで陽だまりの側道があった。ここへ自転車を停めて簡単な食事とする。コンビニで買っておいたサンドイッチを頬張る。M氏は実は風邪気味で体調が余りよくないとのこと、またここまでのコースで自分も思ったよりも脚を使ってしまったこともあり、あえてここから曽我丘陵に登るのもないか、と話をする。まぁまた曽我丘陵は別に登りましょうか。そう話してここから中村川の下流に向けて、下ろうということになった。

そうと決めれば急ぐこともない。ゆっくり陽だまりで休んでから、下流へ向けて漕ぎ出した。緩い下り道をのんびり走って国道一号線まで戻る。海が近く磯の香りが一瞬漂う。あとは交通量の多い道で、ぴったりとしたレーシングスーツのロード車集団も多く走る。ニッカボッカにランドナーと言う時代錯誤的な自転車乗りはビュンビュン追い越される。大磯駅までのんびり橋って戻る。駅前のコンビニでMさんとノンアルコールビールで乾杯。ヒルクライムはなかったがそれにしても気持ちよく走った一日であった。Mさんのランドナーに着いたサイクルコンピュータが39kmの走行距離を示している。思ったより走った一日であった。 Mさんご苦労様でした。また次回どこかに行きましょう。

(前方にピラミダルな大山を見る。
散歩をしていた近所の人と世間話
も楽しい。)
(ランドナーは意外に小さくまとまる。
軽自動車の荷室に2台は楽勝)
(今回のルート図。GPSデータをカシミール
3Dに転送したもの)

(戻る) (のんびりポタリング)