はやみね作品ミステリ小ネタ集 ※人によってはネタバレになるのでご注意を。 |
消える総生島 |
参照本:「消える総生島 ―名探偵夢水清志郎事件ノート―」 1996年7月3日第4刷発行 |
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該当ページ等 | 小ネタ | 説 明 |
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P.5 1行目 | 探偵映画 | 京大ミステリ研出身の作家、我孫子武丸さんの作品を思い起こさせます。 こちらも映画を扱った凝りに凝ったミステリでファンの多い作品だと思います。 |
P.16 4行目 | 黒死館 | この館の名称はミステリ好きの間ではあまりにも有名。戦前の探偵小説 作家、小栗虫太郎の代表作『黒死館殺人事件』に由来しているはず。 非常におどろおどろしい館でありました(笑)。 |
P.17 3〜5行目 | 監督:市山昆 脚本:栗素手井 主演:岩坂浩二 |
監督と主演については、ミステリ作家横溝正史の代表シリーズ、名探偵 金田一耕助ものの映画で有名な、監督:市川昆と金田一役の俳優:石坂 浩二のもじり。脚本の栗素手井(くりすてい)は、イギリスのミステリ作家、 アガサ・クリスティのもじりでしょう。 |
P.18 4行目 | もじゃもじゃの髪 よれよれの和服 |
名探偵、金田一耕助の風貌がそのまま生かされてます。 |
P.18 10行目 | 『悪魔が自分を殺しにくる』 | このフレーズは金田一耕助ものでも有名な『悪魔が来りて笛を吹く』を思い 起こさせます。・・・ちょっとこじつけすぎかな(苦笑)? |
P.19 7行目 | 岡山県の山奥にある廃村 | 同じく金田一ものの『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』が頭に浮かびます。 横溝作品によって「岡山県の田舎はミステリの舞台としてよく似合う」とい う誤ったイメージを持ってるのは私だけ(汗)? |
P.32 3〜4行目 | 答えがわかってしまうと、 おもしろさも半減してしまう |
これで思い出すのが、同じ金田一映画のPRを兼ねたクイズ。 確か『女王蜂』だったと思いますが、この映画の犯人役が、それまでに映 画化された三作品の犯人役のひとりと同一人物だということで、その役者 を公開までに当ててもらおうという企画。 おかげでそれまでの三作品の犯人が全ておおっぴらにされてました。 今考えても、ひどい企画だったと思います(爆)。 |
P.40 2行目 | 配達された三通の手紙 | アメリカのミステリ作家、エラリー・クィーンの『災厄の町』が、日本で映画化 されたときのタイトル『配達されない三通の手紙』のもじり。ちなみに私は 未見。 |
P.41 2行目 | 霧越館 | この「霧越」という名称も日本の本格ミステリファンにはよく知られた名前。 今でいう「新本格」といわれる呼び名を最初につけられたミステリ作家、 綾辻行人の作品に『霧越邸殺人事件』があります。この作品も結構評判 が高い作品。本格と幻想の融合といったところでしょうか(笑)? |
P.66 10行目 | 波虎(ばとら) | 個性的な名前なので何かネタがあると思うんですけど判りません。 ドロシー・L・セイヤーズという人のミステリに、召使が登場するけどその 名前はバンターだし、ジョン・ディクスン・カーのミステリでバトラーという 人がいますが、その人は弁護士だし・・・。 ひょっとしたら映画での有名な役名か、怪獣の名前かも(爆)? |
※上の追記 | ※たなポンさん からの情報。 執事という意味の英語が「butler(バトラー)」なのでそこからでは? とのこと。 おおお。そのまんまの意味があったとは。たぶんひねってるんだろうと疑いすぎ てたのかもしれませんね、私は(苦笑)。 |
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P.74 11〜13行目 | 雪にとじこめられた場合は、・・・ | 作品名でいうと『白い僧院の殺人』(カーター・ディクスン)、『吸血の家』 (二階堂黎人)、『白い密室』(鮎川哲也、短篇)などでしょうか。 |
P.81 9行目 | 『獄門島』『悪霊島』 | ともに横溝正史の書いたミステリで、ともに金田一耕介もの。『獄門島』 は数ある横溝ミステリの中でも、ベスト1におす人がたくさんいるほどの すごいミステリ。『悪霊島』は横溝さんが喜寿(77歳)のときに書かれた というから、まさに驚きです。 |
P.96 7行目 | 中村青司 | ミステリ作家綾辻行人の館シリーズで、それぞれの舞台となった館を設計し ていた謎の建築家。今までに「十角館」「水車館」「迷路館」「人形館」「時計 館」「黒猫館」の存在が明らかになっている。「暗黒館」という名の館も存在 しているようだが、2003年2月の時点では、まだ正式発表の段にいたっては おりません。 また、事件がたまたまそれらの館で起きてるだけなのか、はたまた館が事 件を招き寄せているかもはっきりとはしていない(笑)。 |
P.98 11行目 | 芦屋一族 | アメリカ人で怪奇・幻想・ミステリ・純文学(?)作家として、特にミステリ では「近代ミステリの祖」といわれるほど有名なエドガー・アラン・ポー に「アッシャー家の崩壊」という短篇があります。 "芦屋=アッシャー" ・・・・・かな(汗)? |
P.98 14行目 | 手まり唄 | 手まり唄の歌詞のとおりに殺人が・・・・、というのは、ミステリでは「見立 て殺人」と呼ばれてるもの。有名な古典ミステリには結構数多くあります。 最近では山口雅也さんの「キッド・ピストルズ」シリーズが有名。 |
P.99 10〜11行目 | 鍾乳洞 謎の老婆 |
日本独自の昔(田舎?)の文化を感じさせる土着的ミステリで、非常に魅 力を感じさせる素材。やっぱり横溝さんはすごいなぁと思います(笑)。 |
P.103 10行目 | 音の正体 | こういった音がミステリの話の中で重要な役割を果たしたり、謎を解くカギ になったり、正体が判った時の意外性をかもしだしたりすることがよくあり ます。コナン・ドイル「まだらのひも」やジャック・フットレル「十三号独房の 問題」などはその好例だと思います。 |
P.141 4行目 | 磯川警部 | 『獄門島』の文字から判るとおり、横溝金田一ものに登場する警部さん。 金田一が岡山県等の中国地方で事件に関わるときの主な相棒さんです。 かたや東京での相棒は等々力警部。ともに名コンビぶりが発揮されてい ます。 |
P.141 7行目 | 『名探偵登場』 アレック・ギネス |
五組の名探偵が晩餐会に招かれ、そこで巻き起こる騒ぎを描いたパロデ ィ&コメディ映画。ピーター・フォーク、ピーター・セラーズなどの個性派俳 優が集まってます。原作(ニール・サイモン)を読んでみたいなぁ(笑)。 アレック・ギネスはイギリスの俳優で名優として広く認知されてる人。 スター・ウォーズのオビ・ワン・ケノービ役といえば一番判りやすいかもしれ ませんが、ご本人はあまりこの役を気に入ってなかったそうです(汗)。 |
P.144 7行目 | 多羅尾伴内 | 多羅尾伴内の生みの親は脚本家の比佐芳武。映画では初代伴内が片 岡知恵蔵で二代目が小林旭。映画『七つの顔の男だぜ』は片岡知恵蔵 の伴内もののはず。少年マガジンで原作:比佐芳武、絵:石森章太郎の マンガがあったのを覚えています。結構面白かった記憶があるので、読 み返してみたいミステリの一つです。 |
P.161 15行目 | 『福永武彦全集』の第5巻 | 福永武彦はいわゆる文学畑の作家さんで、『廃市』『忘却の河』などが代 表作。でもここでわざわざ第5巻となっているのはなぜかというと、実はこ の作家さんは別名義(加田伶太郎。「だれだろうかい」の文字をおきかえ) でミステリを書かれていて、この第5巻にはそれらのミステリ作品がおさめ られているのです(笑)。 |
P.177 15行目 | 熱気球 | これもミステリでは使われることがあります。怪盗が使うことが多いかも しれませんが、泡坂妻夫『右腕山上空』は、熱気球での密室状況を扱っ たミステリとして、ミステリファンの中でも好きな作品にあげる人は多い かもしれない(笑)。 |
P.200 2行目 | JICCの『このミステリーがすごい!』 | 毎年刊行されている、新刊ミステリのベスト作品を選び出す企画をまとめ た本(雑誌?)。嫌う人もいるかもしれませんが、私はやっぱり貴重な情 報源として、ちょこちょこ活用させてもらってます。 |
P.210 1行目 | 読者への挑戦 | 本格ミステリでは、読者に実際に推理させて、より楽しませようとしてわざ と挑発的にこういう行動をとることがあります。他のミステリでも島田荘司 『占星術殺人事件』、鮎川哲也『朱の絶筆』、その他多くのものにみられま すが、代表的なのはやはりエラリー・クィーンの国名シリーズでしょう。 まさにロジック・ミステリの王道ですね(笑)。 |
P.242 7行目 | 五円玉九枚の謎 | ミステリ本出版の老舗である東京創元社が、「昔、バイト先で五十円玉二 十枚を毎週持ち込んでは千円札に両替にくる客がいた」という実話をもと に、その回答を一般公募するという企画があり、本格好きの琴線をつまび く興味深い企画として話題になったことがあります。 で、寄せられた回答をまとめた本が文庫になってまして、そのタイトルが 『五十円玉二十枚の謎』。興味をもたれた方は、一度その文庫をお探しに なってみてください。 |
*************** ここから下は お・ま・け ***************
該当ページ等 | 小ネタ | 説 明 |
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P.69 10行目 | スティーブン=スピルバーグ | アメリカの超有名映画監督。主な監督作品は『ジョーズ』『未知との遭遇』 『レイダース 失われた聖櫃(アーク)』『E・T』『ジュラシック・パーク』など。 ミステリ関連でいえば、TVドラマ『刑事コロンボ』の「構想の死角」の監督 もしていたそうです。 |
P.108 14行目 | ラブクラフトの怪奇小説 | アメリカ人の幻想怪奇作家。熱烈なファンも多いその作風は、鬼才と呼ば れるにふさわしい・・・・・そうです。私は未読なのでよくわかりません(爆)。 クトゥルー神話というものを創造した方のようです。体系化したのは別の人 で、オーガスト・ダーレスというソーラー・ポンズという名探偵を生み出した作 家さんだそうですが。私、ソーラー・ポンズものだけ読んでます(汗) |
P.126 2行目 | "日本無責任時代" | 昭和30年代、日本ではコミック・ジャズ・バンド「クレイジー・キャッツ」が大 活躍していました。ボーカルの植木等は超売れっ子タレントとなり、昭和37 年に初主演した映画のタイトルがこの『日本無責任時代』。 悪いことも明るくやってのけるお調子者の役柄だそうですが、役名はなんと "平均(たいら・ひとし)"。どこまでも人をくってます(笑)。 |
P.133 14行目 | 黒澤明監督 | 世界で認められた日本の映画監督。代表作に『七人の侍』『生きる』『羅生 門』『赤ひげ』『影武者』など有名作多数。ミステリとしては『野良犬』『天国 と地獄』(原作はエド・マクベインだけどかなり変わってるような・・)などの 映画があります。 |
P.138 11行目 | ペギラ | ウルトラマンシリーズの前身(正義のヒーローがでてこない)の特撮ドラマ 『ウルトラQ』に登場した怪獣。 口から冷凍光線を吐く冷凍怪獣だそうです(笑)。 |
P.140 9行目 | 『風と共に去りぬ』の スカーレット=オハラ |
もとはマーガレット・ミッチェルの大河小説ですが、この題名を聞くとほとん どの人はアメリカの超大作映画のほうを思い浮かべるかもしれません。 このなかで多くの苦難にも負けず、奔放な愛に生きた主人公の女性が スカーレット・オハラで、ヴィヴィアン・リーという女優が演じました。 |
P.140 11〜12行目 | 『ローマの休日』 オードリー・ヘップバーン |
これもアメリカ映画。とある国の王女様が忙しくて窮屈な日常を抜け出し、 ローマでつかの間の休日を過ごすお話。ラブロマンスの話でもあります。 ヘップバーンはベルギー出身の女優さん。シャム猫のようなタイプで目が すごく綺麗な人。代表作『ティファニーで朝食を』『マイ・フェア・レディ』など。 |
P.141 10行目 | 『燃えよドラゴン』の ブルース・リー |
『燃えよドラゴン』は、麻薬密造の証拠を掴むべく諜報組織から潜入を依 頼された青年が、自らの復讐をはらすべく闘いに挑むというストーリー。 この映画もとてもいいんですが、個人的には共演者(ノラ・ミャオ!)や喜 劇的要素も含めて『ドラゴンへの道』を多くの人に知ってほしい(笑)。 ブルース・リーはジャッキー・チェンよりも前にカンフー映画を世知らしめた 人。30〜40代の男性にとっては永遠のヒーローであると言いきりたいほ どのスーパースター。あの寂しげな表情と穏やかな笑顔は本当にたまり ません(泣)。 |
P.194 12行目 | ユーレカ (われ、発見せり)! |
もともとは古代ギリシャの偉人、アルキメデスが比重の原理(?)を発見 した時に発した言葉らしいんですが、エドガー・アラン・ポーの詩集にも この言葉が使われているようで(こちらは「ユリイカ」と表記されてる模様)、 どちらが元ネタなのか判りません(苦笑)。 |