はやみね作品ミステリ小ネタ集  ※人によってはネタバレになるのでご注意を。

怪盗クイーンはサーカスがお好き

参照本:「怪盗クィーンはサーカスがお好き」 2002年3月15日第1刷発行

 

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該当ページ等 小ネタ 説  明
P.10 2行目 天国と地獄 世界が誇る日本の映画監督、黒澤明による現代ものの誘拐サスペンス映画の
タイトルがこの『天国と地獄』。原作はミステリでいうところの警察小説ジャンル
にあたる 『87分署』シリーズで有名なエド・マクベインによる同シリーズ内の一
作 『キングの身代金』。ただ、読んだ限りではある特殊な設定が使用されてい
るだけで、他は全く違った筋だったように記憶しています。
この映画はモノクロ映画ですが、ほんの一部だけカラー映像が効果的に使用
されています。人気テレビドラマの映画版 『踊る大走査線 THE MOVIE』でも
その見せ方のテクニックが使われていたので、ご存知の方も多いのではない
でしょうか(笑)。
P.22 1行目 リンデンの薔薇 ミステリのみならずSF作家としても著名な栗本薫に、「六道ヶ辻」シリーズと
いうものがあり、その2作目のタイトルが『ウンター・デン・リンデンの薔薇』。
ちなみに「リンデン」とはドイツ語でいう「菩提樹」のことで、ついでに「ウンター
・デン・リンデン」は、ベルリンにある目抜き通りの名称。森鴎外『舞姫』にもこ
の通りがでてくるそうです。
このシリーズは古くからの名家、大導寺一族に起きた様々な事件を描いた大
河小説・・・・らしいです。未読なので確認できてません。なにやら耽美な話と
の噂もちらほら。ううう。手にとるまだ『グイン・サーガ』のほうが私には手にしや
すそうです(苦笑)。
P.22 2行目 ネフェルティティ
の微笑み
栗本薫のミステリ(?)で『ネフェルティティの微笑』という作品があるそうです。
エジプトを舞台にしたミステリ・ロマンであり、美術ミステリでもあるそうです。
「美術ミステリ」という言葉にはグラッときますが、「ミステリ・ロマン」という文字
にササッと私は身を引いてしまいがちです(爆)。
ちなみにネフェルティティとは古代エジプト時代に存在した王妃の名前。欧米
では最高の美人の代名詞としてこの名前が使われているそうです。また、この
人の胸像はベルリン美術館のなかでも有名とのことなので、そのうちクィーンが
盗みにやってくるかもしれませんね(笑)。
P.91 10行目 サーカス団 猛獣使いに催眠術師に魔術師。そういったメンバーの中に、「竹馬男」なるもの
がいるサーカス団というと、思い浮かぶのが『異形コレクション』というホラー・ア
ンソロジーの編者として名をはせた井上雅彦のミステリ『竹馬男の犯罪』。
幻想的な雰囲気をかもしだしながらも仕掛けのほどこされた本格ミステリでもあ
ったとのこと。・・・私、読んでますが、すっかり忘れてしまってます(爆)。
また、サーカスがでてくる他のミステリとしては、腹話術の人形が名探偵という
シリーズを生み出した我孫子武丸の同シリーズ短編「人形はテントで推理する」
や、原作:林律夫、絵:大島やすいちによるマンガ『おやこ刑事』のなかにも、印
象的な一話がありました。
江戸川乱歩にも「踊る一寸法師」という世にも恐ろしい短編がありますが、こち
らはサーカスなのか縁日などに興行された香具師の類なのかわからなかった
ので、ここでは参考までにとどめておきます(汗)。
P.108 5行目 ピエロ ピエロというと、おどけた表情に化粧された下の素顔が見えないことから、その
無気味さを狙ったかたちでミステリに登場することがあります。江戸川乱歩『地
獄の道化師』には、サーカスは確かでてこず、チンドン屋でその姿をあらわして
いたように思いますが、その道化師が殺人を犯し、名探偵明智小五郎が登場
して犯人と対決するというお話。
P.113 5行目 スタイリー井上 前述の井上雅彦を意識しての名前だと思われます。
あっ! ひょっとして「スタイリー、スタイリー」の歌はこの人が口ずさんでいたの
かもしれないと、今、気づきました(汗)。
P.137 1行目 カーニバル・デイ ミステリ関係でこの章題から連想されるものは、清涼院流水の作品。『カーニバ
ル・イヴ』『カーニバル』『カーニバル・デイ』の三部作(文庫では恐らく5分冊?)
があります。流水ミステリは、内外の名作ミステリと呼ばれるものをある程度の
量を読んで、ミステリという形式の小説に慣れ親しんでから読んだほうがいいん
じゃないかと個人的には思ってます。『コズミック』と『ジョーカー』を読んでみて
そう思いました(笑)。
P.307 6行目 怪盗ルパン 作者はフランス生まれのモーリス・ルブラン。ルブランにはルパンもの以外にも、
心理小説やSFなどもあるもよう。ルパン初登場作は短編『アルセーヌ・ルパン
の逮捕』。日本の中高年齢層に「怪盗?」と聞けば、「ルパン」と答える人がほ
とんどじゃないかと思われるほど有名なキャラクター。短編『赤い絹の肩掛け』で
は、ホームズばりの名推理を披露してくれます。
P.307 6行目 ルパン三世 作者は日本人のモンキー・パンチ。ルパン三世がはじめて世に出たのは、恐ら
く双葉社のマンガ雑誌である「漫画アクション」から。当時(今も?)、この雑誌を
手にする人のほとんどが大人でした。シャレた絵のタッチ、エロチックなムードを
含め、もともとルパン三世は大人向けのマンガだったはず。現物は物置の奥深
くに眠っているので確認できませんが、話の内容も、上手くできたエンタメ・ミス
テリだったように思います。
P.307 6〜7行目 怪盗ルビイ・マーチンスン 作者はアメリカ生まれのヘンリイ・スレッサー。短編(ショート・ショート)の名手と
して知られ、テレビ番組「ヒッチコック劇場」などの台本も手がけていたとのこと。
この怪盗が活躍する話は、ハヤカワ・ミステリ文庫からでている短編集『怪盗ル
ビイ・マーチンスン』で読めるはずです(H15.5現在)。
P.307 7行目 怪盗聖者(セイント) マンガで『怪盗セイント・テール』なるキャラもいるようですが、こちらはシンガポ
ール生まれのレスリー・チャータリスが生み出した怪盗。犯行現場に後光のさ
した人の線画を残すため、「聖者(セイント)」と呼ばれていますがこれはあくま
で呼び名であって、実際の名前はサイモン・テンプラーだそうです。フォア文庫
やハヤカワ・ポケット・ミステリなどで作品が刊行されているようですが、H15.5
現在、現役本かどうかは不明であります。
P.307 7行目 怪盗ニック・ヴェルヴェット 作者はアメリカ生まれのエドワード・D・ホック。この人は数多くの短編と同時に
数多くのキャラクターを生み出しており、怪盗ニックはそのうちの一人。ほかに
サム・ホーソーン博士、サイモン・アーク、カール・クレイダーといったキャラクタ
ーがいる。この怪盗ニック・ヴェルヴェットは「価値のないもの」しか盗まない怪
盗として有名。
P.307 7行目 怪盗ジバコ 作者は日本の北杜夫。『どくとるマンボウ航海記』など、一連の「どくとるマンボ
ウ」シリーズによるユーモア作品が有名。魚の「マンボウ」の存在を日本に広く
知らしめたのはこのシリーズが原因だと、私は信じて疑いません(笑)。
でも、実は私は、恥ずかしながら北杜夫作品を一つも読んでおりません。なの
で、このシリーズが小説なのかエッセィなのかもわかっておりません(爆)。
ううん。『怪盗ジバコ』と『どくとるマンボウ航海記』は死ぬまでには何とか読ん
でみたいものです(苦笑)。
ちなみに、北杜夫の父親は日本を代表する歌人の斎藤茂吉。その短歌は多く
の人が教科書等で恐らく一度は目にしているものと思われます(笑)。
P.307 7〜8行目 二十面相 作者は江戸川乱歩。児童向けに書かれた少年探偵団シリーズで団長の小林
少年と、その探偵の師匠である明智小五郎の敵役として生み出された怪人。
一時期、倍の変装が出来るとして「四十面相」と名乗っていた時期もありました
が、やはり語呂が悪かったのか、いつのまにか「二十面相」に戻っていたという
お茶目な怪人でもあります(笑)。
P.307 8行目 オヨヨ大統領 作者は小林信彦。秘密組織の首領であるオヨヨ大統領を軸にしたシリーズが
8作品あります。そのうち3作はジュニア向き三部作となっています。残り5つ
は大人向きとなっていて、なかでも4作目に位置する『大統領の密使』は有名
なミステリ・ファン・サークル「SRの会」で、1971年度ベストの1位に選ばれたと
のことです。小林信彦には他に『紳士同盟』、『超人探偵』といったミステリ好き
なら喜びそうな作品があります。
P.307 8行目 S79号 作者は泡坂妻夫。この『妖盗S79号』は連作短編集。あと、亜愛一郎と同様の
趣向も盛り込まれてたような気がしますが、はっきりと覚えていません。もしか
すると間違えているかも(汗)?
ああ、こんなときにミステリ長屋「黒猫荘」全体オフの時に放出本としてならんだ
泡坂妻夫『エンサイクロペディア・アワサカナ』(怪の会編)をゲットしてたら、こん
な疑問も解消されていたかもしれないのに・・・。この本が放出本に並べられて
いたのを知った時にはもう遅かったです。で、今はもうあとの祭り状態(泣)。
P.307 9行目 怪盗ルーズルーズ ここからあとの行にならぶ怪盗の性質を考えると、恐らく小説以外で書かれた
怪盗がしばらく続いているように思います。この怪盗ルーズルーズは、このま
まの名前では検索で調べても判らなかったんでしが、「怪盗ルーズ」で検索す
ると、なんと懐かしい「コン・タロウ」の名前がでてきたじゃありませんか(笑)!!
『1・2のアッホ』、『いっしょうけんめいハジメくん』などのマンガが有名ですが、
『怪盗ルース』なるマンガがあるとは・・・。あれ? そういえば姿かたちが「カン
トク」そのものだったマンガあったような気も。気のせいかしら(汗)?
とにもかくにも、このコン・タロウによる『怪盗ルース』が元ネタでしょう。
・・・・・・ホントか(爆)?
P.307 9行目 怪盗紳士 「怪盗紳士 マンガ」で調べるとそれらしきものがありました。マンガでタイトル
が『怪盗紳士アシモフ教授の華麗な冒険』。作者は飛鳥幸子。
これしか判りませんでしたが、このタイトルのつけ方といい、ロジック・ミステリ
を好んだSF作家、アイザック・アシモフ(ミステリでは『黒後家蜘蛛の会』が有
名)の名前が使われていることといい、ちょっと気になる作品ですね(笑)。
あ。もちろんこれが元ネタかどうかは定かでありません(汗)。
  ※上の追記 ※響さん からの情報。
『マンガでこのネタというと「金田一少年の事件簿」に出てくる「怪盗紳士」を思
 い出します。名探偵コナンネタもでてたことなのでこれかなぁと』といった内容
の情報をいただきました。
さっそく「怪盗紳士 金田一」で検索するとでてくるでてくる。金田一少年ファン
ってたくさんいるんですねぇ(笑)。
いかんせん、金田一少年シリーズは未読なので、その怪盗紳士が「怪盗の美
学」を持ち合わせているかどうか確認できないんです(汗)。でも確かに、コナン
君ネタを書いたから金田一少年ネタも・・・と思われたのかもしれませんね(笑)。
P.307 9行目 怪盗キッド 私がほとんど読んだことない大人気マンガ『名探偵コナン』にでてくる怪盗の呼
び名。作者は青山剛昌。
この怪盗については、私よりもここを読んでくれいる皆さんのほうが詳しいと思わ
れますので、これぐらいで勘弁してくださいまし〜(汗笑)。
ただ感心するのは、ミステリ(しかも謎解きもの)を週間連載で、しかも作業に手
間のかかるマンガで続けているということ。その労苦は赤川次郎に勝るとも劣ら
ずのように思えます。
P.307 9行目 怪盗シュガー マンガで作者はさいとう・たかを。他の作品には「歳はいったいいくつだろう?」と
野暮を承知で頭をひねりたくなるあの超人的暗殺者が主人公の『ゴルゴ13』や、
近未来サバイバルマンガ『サバイバル』、時代物『影狩り』『無用の介』など多数。
こってり太ぶとしい絵のタッチから、私は「劇画」といえばこの人の作品がまず
頭に浮かびます(笑)。
この作品は私は未読ですが、どうやら変装の名人で「狙ったものは“美女から水
爆まで”必ず手に入れる」おっとろしい人のようです(笑)。
P.307 9行目 怪盗アマリリス マンガで作者は和田慎二。他にドラマ化された『スケバン刑事(デカ)』、や『ピグ
マリオ』といったものが有名。ごめんなさい。和田マンガはひとつも読んだことが
ありません(爆)。
この『怪盗アマリリス』の正体は、○子○生とのこと。他のキャラに関しても、い
かにもな設定のようだし、獲物を盗み出す手法もいろいろ考えられているような
ので、微笑ましさを感じます(笑)。
P.307 10行目 怪盗道化師(ピエロ) はやみねさんの作品。これは小説であります。
最近復刊されましたが、私はネット上でその存在を知りました。「最後の仕事」を
読んだとき、ビックリしたことを覚えています。
西沢書店のおじさんと、老犬ゴロがおりなすあったかい怪盗物語。そうです。怪
盗の定義には「あったかい」という定義も、人によってはあり得るんですよ(笑)。
P.307 10行目 怪盗鶴の007号 作者は秋本治。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場。この怪盗はコミック
スの4巻に登場しているとのことなので、時期的には山止たつひこ名義のときの
キャラだと思われます。こち亀は全巻持ってるのですが、そのほとんどが段ボー
ルに詰められて物置に収納されているため、内容が確認できません。もう8年ぐ
らい箱を開けていないので、中身がどうなっているか、考えるだけでそら恐ろし
いです(爆)。

 

*************** ここから下は お・ま・け ***************

該当ページ等 小ネタ 説  明
P.10 2行目 トンビは
油あげが大好き
この言い回しで思いつくのは、1953年製作のアメリカ映画 『紳士は金髪
(ブロンド)がお好き』。グラマー&セクシー女優のジェーン・ラッセルとマ
リリン・モンローが主演したミュージカル・コメディ映画。モンローについては
実際に映画をみたことがなく、マンガ『栄光なき天才たち』でしか知りませ
んが、ボディだけでなく演技力もある女優さんだったんだな、という印象が
あります。
P.24 5行目 シャトー・ディケム フランスはボルドーにあるソルテーヌ地区での格付けで「特別1級」となって
いる甘口の白ワイン。世界三大貴腐ワインとしても有名とのこと。
「貴腐ワイン」とは、特殊な菌が成熟したぶどうの実について糖度があがっ
た「貴腐ぶどう」でつくられたワインのこと。
P.40 14行目 シャトー・ムートン
・ロートシルト
フランスはボルドーのメドック地区での格付けで「第1級」となった赤ワイン
ワインのラベルが著名な画家によって毎年描かれるらしいです。
P.47 2行目 スタイリー、スタイリー アメリカで開発された健康美容器具の名称が「スタイリー」。日本では1970
年に発売が開始されたそうで、当時、CMが大ヒット。頭の中をかけめぐる
「スタ〜イリ〜、スタイリ〜♪」というフレーズ&メロディは一生忘れられそう
にありません(汗)。
ちなみに「ワタシニデンワクダサイ、ドゾヨロシクッ」とたどたどしい日本語で
しゃべってた外国人は、販売会社社長でフランク・アジャゴシという名前だ
そうです。
※追記
P.72 12行目
P.74 2行目
「もうにげ…〜ますます…」
「いよいよ〜さようなら!」
※くにももさくらさん からの情報
「アナウンサーが犬猫に襲われながら放送を続ける場面は『ゴジラ』のテレビ
 塔シーンのパロディだと思われるのですが……?」
ということで検索で色々調べてみましたら、セリフがかなりかぶっているよう
ですので、おっしゃるとおり第1作目『ゴジラ』の名シーンが元ネタだと思われ
ます。私、映画は見ていないんですが、このシチュエーションを想像しただけ
でも、少し胸がせつなくなってしまいます(苦笑)。
P.90 12行目 シャトー・マルゴー
の82年もの
フランスはボルドーのメドック地区マルゴー村にて生産される赤ワイン。格
付けは第
1級。「82年もの」はどんなワインなのかは判りませんでした(汗)。
P.111 6行目 斬! このフレーズは、他のはやみね作品でも見かけたように思います。きっと
お気に入りのフレーズなのではないでしょうか(笑)?
P.123 9行目 「この指一本で
 〜たおします」
指だけで相手を倒すということで私の記憶に残っているのは、「ゴッド・ハン
ド」の異名を持つ空手家、大山倍達の存在を広く世間に知らしめたマンガ
『空手バカ一代』ですが、より衝撃をうけたものとしては、バイオレンス刑事
マンガ『ドーベルマン刑事』で子供達に衝撃を与えた平松伸二が書いたプ
ロレスマンガ『リッキー台風』にでてくる「フィギア・フォー・フィンガー・ロック」
(指4の字固め)。これは指を2本使ってるんですけど、見た瞬間、「誰かに
かけてみたいっ!!」と興奮したことを覚えています。
・・・全然元ネタじゃありませんね(汗)。
P.125 14行目 シディ・ザード アフリカはチュニジアの赤ワイン。甘口だそうですが、今日まで私はアフリカ
でワインが製造されていることを全く知りませんでした(汗)。
いやはや、ワインとは奥が深いものであります〜。

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