はやみね作品ミステリ小ネタ集 ※人によってはネタバレになるのでご注意を。 |
怪盗クィーンの優雅な休暇 |
参照本:「怪盗クィーンの優雅な休暇」 2003年4月18日第1刷発行 |
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該当ページ等 | 小ネタ | 説 明 |
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P.39 9行目 | 十三人の探偵卿 | 探偵卿という職務、そしてイギリス、十三人、ホンキートンクという言葉からは やはり山口雅也の一連のミステリ作品を思い起こさせます。 山口雅也にはパラレル・ワールドのイギリスを舞台に、パンク探偵であるキッ ド・ピストルズが活躍するシリーズものがあり、その内容は一見、《調子っ外 れ(ホンキートンク)》な事件がロジカルに解決されるというもの。 「十三人目の探偵士」というゲーム・ブック形式の作品にも、このキッドが登 場しているようです。 |
P.46 6行目 | 日本の旅芸人の 子孫 |
夢水清志郎シリーズの外伝を読んでいただければ、見当がつくかもしれませ ん(笑)。あれ? だとするとクィーンの先祖ってあの人でもあるのかしら? うむむ。謎は深まるばかりですな(笑)。 |
P.50 5行目 | アンジェリク・フォン ・ペリゴール伯爵夫人 |
大河小説やらそれを基にした映画やら、「アンジェリク」という名前から連想さ れるものはいろいろとあるようですが、ミステリ的に言えば、ルパンものの短 編集『ルパンの告白』におさめられた「ルパンの結婚」に登場するアンジェリ ク・ド・サンゾー・バンドームでありましょうか。 |
P.61 14行目 | 老婦人 | この老婦人はP.129の10行目、P.145の4行目にも登場しています。この本を 読まれた方はその正体がもうお判りのことと思いますが(笑)。 このように、作品の途中途中にチョイ役的に登場しておきながら、その人物が 実は全体の話の中でも重要な位置にあるような楽しい細工がほどこされたミ ステリがあります。それは泡坂妻夫の代表的シリーズである『亜愛一郎』シリ ーズ。3冊の短編集がありますので、興味をもたれた方は一度手にとってみて くださいまし〜。 |
P.89 3行目 | 数字錠 | ミステリ好きとは不思議なもので、こういう何のへんてつもない物の名前にま でも反応してしまうようです(苦笑)。 『数字錠』というこの言葉そのままずばりがタイトルの有名なミステリ短編が あります。それは島田荘司の短編集『御手洗潔の挨拶』におさめられていま して、この作品の持つ物悲しさは多くの人に高く評価されているようです。 |
P.96 6行目 | マサチューセッツ 工科大学 |
この大学出身と言われると、「すっごく賢い人」という「すり込み」が私には為さ れています(笑)。科学技術系総合大学であり、様々な分野で多数のノーベル 賞受賞者を生み出しているそうです。 ミステリで言えばマンガ『Q.E.D(証明終了)』の主人公、「燈馬 想」の出身校 になりますが、この作品以前から私にはすり込みされていて、どこでこの大学 の名をはじめて耳にしたのか思い出せず、なんだか気持ち悪い状態に陥って ます(苦笑)。 |
P.122 3行目 | ハードボイルド | 大昔、主人公役の探偵が、非情なまでの自己信念に基づいて事件に関わっ ていく様を、今まで発表されたミステリと全く異なるスタイル(乾いた文体)で 描かれました。そのミステリのタイトルは『血の収穫』。作者はアメリカの作家、 ダシール・ハメット。そのハメットと、同タイプの作品を描いた作家たちの作品は 「ハードボイルド」と呼ばれ、以後このジャンルにはレイモンド・チャンドラー、ロ ス・マクドナルドといった有名作家たちが誕生しております。 |
P.112〜P.353 | 第二部SCENE01-01 〜SCENE10-01まで |
この間にクィーンと暗殺者集団「初楼」との壮絶な戦いが繰り広げられている わけですが、このパターンは都筑道夫のアクション名作『なめくじに聞いてみ ろ』を思い起こさせます。『なめくじ〜』には奇妙な殺人方法が数多くでてきま すが、このクィーン作品は、『なめくじ〜』への一種のオマージュ作品でもある ように思えます。 |
P.360 1行目 | 太陽がいっぱいだ | 1960年製作のフランス・イタリア合作映画で、裕福な知人を殺害してその知 人に成りすまし、財産を手に入れようとする野心的な悪青年の姿を当時の美 青年俳優アラン・ドロンが演じました。その映画のタイトルが『太陽がいっぱい』 であります。ちなみに原作者は、そのリアリスティックかつ深い影を落とす作 風で、独自の地位を築いたパトリシア・ハイスミスであります。 |
P.458 11行目 | 金の密輸入 に関するトリック |
「このトリックはカットされたけれど、金が盗まれたことを指し示している伏線が 作中に残っています。その伏線は金が盗まれる「前」と「後」がわかるような 状態で書かれています。どの部分かお判りですか?」 といった主旨の書き込みが、はやみねファンサイト「拡がるプラレールの世界」 のネタバレ掲示板に、信頼できる筋からの情報として、なされました。 挑戦しましたが、私はわからず。しかも、実は別口の信頼できる筋から、わざ わざヒントを頂戴していたにも関わらず、思考があさっての方向を向いていて、 判らなかったんです(泣)。 しかし、この難問も「みーる」さんという方の手によって見事に解決されました。 やっぱり「名探偵」はこの世の中に存在しているのかもしれませんね(笑)。 以下はその解答の骨子。 伏線はP.136の7行目「約二・三九秒後」と、P.322の5行目「約二.四三秒後」。 この二つの落下時間の差は、金が船から盗み出される前と後での、同じように 落下したにも関わらず、その距離が違っていることを意味しています。 つまり、前者はまだ金が盗まれていない(=金が積まれている)状態のため、 後者の状態(金が盗まれた後=金が積まれていない状態)に比べて沈みが 大きく、落下時間が短いというわけであります。 パチパチパチ〜(拍手)!! 明白なのにさりげなくてほとんど気づけない伏線と、その伏線を見事に読みきっ たみーるさんに完敗・・・もとい、乾杯(笑)!! |
*************** ここから下は お・ま・け ***************
該当ページ等 | 小ネタ | 説 明 |
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P.10 4行目 | 『テレフォン 悩み相談室』 |
このたぐいのネタで私が思い浮かぶのは、ラジオの 「全国子ども電話相談室」 であります。無着成恭という回答者が有名だったそうな。 伝聞形でお察しの通り、私は聞いたことがありません。この存在を知ったのは またもや江口寿史の『すすめ、パイレーツ』から。私にとっても、このマンガの存 在は大きかったような気がします(笑)。 |
P.16 9行目 | 高枝バサミ | 潜在需要がそそられることで、多くのファンが存在していると思われるテレホン ショッピング(通信販売)。そのなかの人気商品。 他には「まな板まで切ることが出来る、切れ味鋭い包丁セット。今買うと、もれ なくもうワンセットついてくる」というようなパターンも人気が高いもよう。 |
P.29 5行目 | サッチモ・ウィルソン | 最初は、サッチモに兄弟がいる設定だったようですが、ページ数の関係でボツ になったとのこと。その兄弟の名前は「ニッチモ」だったそうです。 まるで「ヤン坊、マー坊」のよう(笑)。 |
P.34 4行目 | 「オルボワール! カマラード!」 |
ともにフランス語で、オルボワールは「さようなら」、カマラードは「同士・仲間」の 意味だそうです。この時、教授はラーメンを口いっぱいほおばって「ふがふが」と 返答していた・・・と思うほうに5000点賭けます(笑)。 |
P.42 1行目 | キャスト・パズル | 19世紀末頃に、イギリスで生み出された金属で出来たパズル。いわゆる「知恵 の輪」みたいなものですが、鍵の形、自転車の形、ABCの文字の形をしたもの などがあって、より遊び心とセンスが感じられるパズルのようであります。 |
P.50 11行目 | 黒衣の未亡人 | ミステリで無理矢理関連付ければ、コーネル・ウールリッチ(=ウィリアム・アイ リッシュ)のサスペンス『黒衣の花嫁』になるんでしょうが、ここは素直(?)に 『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』などのマンガで有名なマンガ家、松本零士 の手になる戦場マンガのうちの一つ、「妖機 黒衣の未亡人」をあげておくこと にしておきます(笑)。 |
P.54 4行目 | スーパーマン | アメリカンコミックスから生まれたスーパー・ヒーロー。スーパーマンを作ったの はジェリー・シーゲルとジョー・シャスターという二人だそうです。恐らく原作者に 相当する人だと思われますが、詳細は不明(汗)。 水色のコスチュームに赤いケープとブーツ。胸には大きな「S」の文字。髪型は ショートでポマードがついているかのよう。変身前のクラーク・ケントという名前も なんだか大スターにふさわしい名前のように思ってしまいます(笑)。 |
P.63 5行目 | サッチモ・ウィルソン | この名前は、ジャズ界の巨匠、ルイ・アームストロングの愛称からつけられたの かなと思っていたんですが違いました(汗)。 はやみねさんはこのキャラを最初は双子の兄弟の一人として設定してたらしく、 もう一人の名前は「ニッチモ」とつけていたとのこと。 そうです。元ネタは「にっちもさっちもいかない」の「にっちも」「さっちも」だったの です(笑)。 |
P.76 4行目 | 『YOSHIMOTO』〜 夫婦漫才ですね |
『YOSHIMOTO』は恐らく日本最大手の演芸プロダクションの吉本興業のこと。 今の吉本興業で夫婦漫才として名前があがるとしたら宮川大助・花子、太平 かつみ・しおりあたりでしょうか。ドツキ漫才でいえば、松竹芸能に(元)夫婦 の正司敏江・玲二という最強のコンビがおりますです(笑)。 |
P.76 9行目 | 初楼(ういろう) | 文字は違いますが、元ネタは名古屋名物の和菓子「ういろう」。このお菓子を アニメCMで子供たちに広くしらしめたのが青柳屋というお店。「しろ、くろ、抹 茶、あずき(あがり)、コーヒー、ゆず、さくら」という味の種類を並べたフレーズ は、節をつけて今でも歌えます(笑)。 ちなみに「初楼」のメンバーの名前のほとんどは、この各味の名前を逆さにし たものになっています。一度確認してみてくださいませ。 |
P.79 6行目 | 手足に 五キロのおもり |
普段から手首におもりの入ったリストをつけて、パンチ力を強くすることを知っ たのは車田正美のマンガ「リングにかけろ」でした。 そこでの名称は「パワー・リスト」。週刊(月刊?)少年ジャンプ裏表紙にのせ られていた通販でよく目にした記憶があります(笑)。 それにつけても、このマンガほど内容が激的に変動したものを私は知りませ ん。変動する前の世界(ロクさんの減量時のエピソードなど)が好きだっただ けに、この道具がきっかけで生まれた技「ブーメラン・フック」に端を発して、そ れ以降に繰り広げられた空前絶後の必殺技ならびに壮大なバカバトルマッチ 現象に、私はとてもついていけませんでした(泣)。 |
P.90 2行目 | 4126(よいふろ) | これも記憶にあるのは「4・1・2・6、4・1・2・6、イトウにいくならハトヤ。ハトヤに 決めたっ」という伊東温泉ハトヤホテルのコマーシャルのフレーズ。なぜか関 西方面でもハトヤホテルのCMが流れていました。というか、来客種を考えれ ばこれはいい狙いなのかも? それにしてもこのCM曲の歌詞があの野坂昭 如だとは今の今まで知りませんでした。検索してわかったんですが、なんだか すっごく得した気分です(笑)。 |
P.106 7行目 | フランク・フェラン | フランスはボルドーにあるメドック地区で作られた「セカンド・ワイン」とのこと。 若作りだったり出来が今ひとつだったりで、通常の名前でだすにはふさわしく ないとされ別ラベルで世にだされるワインのことだそうです。 でも、充分美味しいものもあるそうな(笑)。 |
P.139 12行目 | SLUMP(スランプ) | 「アイドル・グループ」という説明と、日本語読みの語呂からしてやっぱり日本 のスーパー・アイドル・グループの「SMAP(スマップ)」が思い浮かびます。 |
P.140 4行目 | 十二本の映画 | 文脈から想像するに、全ての映画が恐らくパニックものだと思われます。この なかで私が見たことあるのは『タワーリング・インフェルノ』だけで、これは超高 層ビルでの火災の恐ろしさと、パニック状態の中で見られる様々な人間模様と 勇敢にも火災に立ち向かう人たちの活躍を描いた作品。最後に試される消火 アイデアは、結構ミステリでいう「論理のアクロバット」的なものでありました。 |
P.141 14行目 | フィッシュアンド チップス |
イギリスを代表する大衆料理。魚のフライとポテトフライにケチャップ・塩・酢な どを好みに応じてかけて食べる料理。テイクアウトにしたり、その場でパクつい たり、食べ方はいろいろ。 |
P.143 11行目 | 「MADISON
SQUARE〜 紺色のバッグを持っている |
世代的には今の30半ば〜40歳まであたりの人たちにはお馴染みのバッグで、 昔、流行に流行りました。私が中学生のころ、クラスに最低5人はこのバッグ を持ってたはず(笑)。ただ、個人的には当時からデザイン的にそんなにオシャ レなバッグじゃなかったように思ってました(苦笑)。 |
P.227 6行目 | シャトー・ラトゥール | フランスはボルドーにあるポイヤック村での格付けで「第1級」となっているワ イン。「力強い」味がするそうですが、それがどういった味なのか、私には想像 できません(汗)。 |
P.228 10行目 | 如意珠 | 恐らく中国武術の一種だと思われます。このような技は以前にどこかで眼にし ていたように思うのですが、それが小説だったかマンガだったかアニメだった か映画だったか・・・。記憶が定かではありません(爆)。 |
P.293 13行目 | マデイラワイン | ポルトガルはマデイラ島で生産されるワイン。暖めながら熟成させる製法が特 徴的だとのことです。 |
P.310 4行目 | クレイジーダンサー | 画面の指示に従い、流れてくる曲のテンポにあわせてステップを踏むという、 ゲーム感覚で楽しめるトレーニング機器なんでしょうね(笑)。あと、ここにあげ られた曲のオリジナル等の情報は調べる気力がありませんでした(汗)。 |
P.452 3〜12行目 | 「どの出来事も〜 〜にもどってきた |
このシチュエーションにこのセリフ。ショートカットが愛らしいオードリー・ヘプバ ーンの出世作であり、映画のオールタイムベストを日本で選出した時には必ず といっていいほど上位に位置するほど、多くの日本人に愛されている名作映画 『ローマの休日』がすぐに思い浮かびました。そしてまた、このあとに続く二人の やりとりにイルマ姫の微笑み、また最後のENDINGの章でみられるエピソードは、 映画が大好きなはやみねさん渾身の演出が光り輝いており、『ローマの休日』 に勝るとも劣らない出来上がりになっていると思います。 |