はやみね作品ミステリ小ネタ集  ※人によってはネタバレになるのでご注意を。

踊る夜光怪人

参照本:「踊る夜光怪人―名探偵夢水清志郎事件ノート―」 1997年7月15日第1刷発行

 

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該当ページ等 小ネタ 説  明
P.34 3〜5行目 そのころ、わたしたちの・・・ 題に「江戸川乱歩ふうに」とあるように、この文章はある乱歩作品のでだしを意
識して書かれたものです。どの作品かはここでは言いません。これから乱歩作
品を楽しんでいってくれれば、そのうち出会っていただけると信じています。
楽しみにしておいてくださいませ(笑)。
P.34 4行目 夜光怪人 乱歩の少年探偵団シリーズでは「夜光人間」なる怪人がでてききますが、これ
以外にも「青銅の魔人」「透明怪人」「宇宙怪人」「黄金豹」「電人M」「妖星人R」
といった、いかにもアヤシイ怪人達が目白押し(笑)。
P.41 13行目 明智小五郎っていえば
怪人二十面相がペアで
ついてくる
乱歩「少年探偵団」シリーズでの名探偵と怪盗の名前です。個人的には小林少
年も含めてのトリオにしてもらいたかったりして(笑)。
こういう特定者での「探偵対怪盗(犯人)」というのをあげてみると、
・ホームズ対モリアーティ(コナン・ドイル)
・ルパン対ガニマール(モールスルブラン)
・伊集院大介対シリウス(栗本薫)
・キャレラ対デフ・マン(エド・マクベイン)
・ネロ・ウルフ対FBI(レックス・スタウト)
あたりでしょうか。
・・・すいません、最後のはウケ狙いの嘘です(汗)。
  ※上の追記 ※岡目八目さん からの情報
 明智&二十面相のペアでいえば、『推理短編六佳撰』北村薫・宮部みゆき
 選(創元推理文庫)に入っている某短編の解釈が面白い、と推奨いただき
 ました。確かに面白いし、これは真実かもしれない(笑)。
 あと、おさめられた選評と解説対談は、これからミステリを書こうと思ってる
 人にはとても有意義なものじゃないかと思いますので、よければご一読を。
P.57〜58 15〜1行目 『ひとりよがりの徘徊』 確かにそういうイメージはあるんですが、じゃあ具体的にどの作品といわれると
思い浮かびません(汗)。ホームズ、ポワロ、クィーン、金田一、御手洗(日本の
ミステリ作家、島田荘司が生み出した最近の名探偵)によく見られそう。
これと正反対なのがハンガリー生まれのバロネス・オルツィが生み出した名探
偵「隅の老人」になるんでしょうけど。あ。でもこの人は『ひとりよがりの小手先』
になるのかも(笑)?
P.62 3〜4行目 残った黄金をとかし、仏像をつくった 「黄金の塔」ならば江戸川乱歩の『少年探偵団』をすぐに思い浮かべることが出
来るんですが、仏像となると思い浮かびません(汗)。どちらかというと怪盗もの
に魅力的な小道具のようにも思えたりして。
ミステリ界だけでなく日本文壇の奇才ともいえる、山田風太郎の子供向きミステ
リ(?)、『黄金明王のひみつ』には黄金の仏像がでてくるらしいです。
P.64 1行目 依頼人(スポンサー)からひとこと ※070410夜川深夜さんからの情報を基に記載

『軽井沢シンドローム』『我が名は狼(うるふ)』等の作品で知られるマンガ家、
たがみよしひさの作品に、「事件研究同好会」というサークルの面々を主人公
にした学園モノのミステリマンガがあり、そのタイトルが『依頼人(スポンサー)
から一言』とのこと。
たがみよしひさといえば、本格ミステリファンの間で評判をよんだ『NERVOUS
BREAKDOWN』(なあばすぶれいくだうん)というミステリマンガを生み出してい
ますので、その序奏ともいえそうなこの『依頼人〜』をはやみねさんが知ってい
た可能性も充分考えられ、まず元ネタで間違いなさそうですね。
ちなみに。この『依頼人〜』のタイトルそのものも、恐らくアメリカのSF作家、フ
レドリック・ブラウンの短編『スポンサーから一言』が元ネタだと思われます。

P.93 12行目 小林少年 江戸川乱歩の少年探偵団シリーズで明智小五郎のもと、少年探偵団の団長
をつとめる、りんごのようなつやつやほっぺの少年です。目もぱっちりしていて、
思わずほおずりしたくなっちゃいます。すりすり。
でも、実は大人顔負けの推理と冷静な行動力で、怪人二十面相と堂々と渡り
合うすごい少年なのであります(笑)。
P.109 5行目 「・・・キガチガウガ、シカタガナイ」 横溝正史のミステリ『獄門島』にでてくるフレーズとよく似てます。というか、完
璧に意識して書かれてますよね(笑)。
どう意識されてるのかは、一度、名作ミステリ『獄門島』を手にし、実際に読んで
確認してみてください。きっと損はしないはずです(笑)。
P.111 3行目 『十三人目の名探偵』 独自の構築による本格ミステリ世界歓と、その論理性の高さで多くのファンを持
つ山口雅也がつくったゲームブックの当初刊行時のタイトルがこれ。復刊した時
は『13人目の探偵士』と、少しタイトルが変えられています。
はやみねさんが、一般向けタウン誌での企画対談(お相手は東海地区在住のミ
ステリ作家太田忠司さん)で、お勧めのミステリとしてあげたのがこの本だったそ
うです。
P.134 7行目 『大イチョウ』と『幽霊坂』 イチョウでも幽霊でもないけれど、現国内本格ミステリの大御所、島田荘司に
『暗闇坂の人喰いの木』というミステリがあります。名探偵御手洗潔(みたらい
きよし)が活躍する豪快なミステリ(笑)。
P.146 10行目 「ぼっ、ぼっ、
 ぼくらは少年探偵団!」
もともとはラジオドラマで流されていたというこの歌の作詞は壇上文雄、作曲は
白木治信という方々。私は全く存じ上げていないんですが、それでも歌い継がれ
ているということは作り手冥利に尽きるんではないでしょうか。
P.175 8〜9行目 アルフレッド=ヒッチコック
の映画『サイコ』
ヒッチコックはイギリス出身の映画監督。サスペンス主体の作品群は世のミステ
リ好きを喜ばせてきてるはず(笑)。他の代表作も『めまい』、『北北西に針路をと
れ』、『鳥』など有名作が勢ぞろい。
『サイコ』はアンソニー・パーキンス主演のサイコスリラーもの。シャワー・ルーム
の殺人シーンはあまりにも有名。
P.178 3行目 暗号講座 ミステリで、作中人物がミステリネタに関して講義するものといえば、ジョン・デ
ィクスン・カーの『三つの棺』がよく知られています。これは名探偵役フェル博士
が、密室に関して講義するというもの。また、フェル博士の「とんでもない発言」
もかなり有名です(笑)。
P.194 7〜9行目 ・長髪の主人公が、
  「謎はすべて解けた!」
・眼鏡をかけた小学生が、
  「犯人はおまえだ!」
・医学生が、
  「すこしは勉強したまえよ、山田くん」
「謎は〜」は、『金田一少年の事件簿』(原作:天樹征丸、絵:さとうふみや)。
「犯人は〜」は、『名探偵コナン』(青山剛昌)とわかったんですが、残りひとつ
が自力では判らず。
検索で調べたらどうやら白泉社花と夢コミックスからでている(でていた?)
『迷宮シリーズ』(神谷悠)みたいです。どうやらコミックスのタイトルは話ごと
に違う模様。
すいません。今はじめてその存在を知りました(汗)。
P.198 4行目 田村正和さんの口調で 1994年4月、フジテレビ系列で『警部補・古畑任三郎』というタイトルのミステリ
ドラマがスタートしました。犯人は最初から姿をあらわしていて、「どのような手
がかり・推理で犯行が明るみにされるのか」という面白さを狙った、いわゆる倒
叙ミステリ形式のドラマで、主役の古畑を演じていたのが田村正和。
古畑が犯行をあばく前に、視聴者に対してこのように挑戦めいたシーンがあった
ようです。まかり間違っても「眠狂四郎」の口調で読んではいけません(笑)。
P.260 1行目 しつこく読者への挑戦 二度も「読者への挑戦」が行われてるミステリとしては、島田荘司『占星術殺人
事件』が有名ですが、「それ以外でないかいな?」と検索してみたところ、ベル
ギー生まれでフランシで活躍したミステリ作家、S・A・ステーマンという作家の
『殺人者は21番地に住む』S・A・ステーマンもそうらしいです。でも未読なので
未確認状態(汗)。
ステーマンについては、外務省勤務の経歴の持主でミステリの評論・執筆も
していた松村善雄の労作『怪人対名探偵 フランス・ミステリーの歴史』でも章
立てで紹介されています。『殺人者は21番地に住む』が読みたくなること必至の
貴重なリストも紹介されています(笑)。

 

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該当ページ等 小ネタ 説  明
P.26 5行目 『ハワイの若大将』 加山雄三(名曲「君といつまでも」を作った&歌った人)演じる「若大将」と田中
邦衛(ドラマ「北の国から」の五郎役の人)演じる「青大将」の二人が活躍する
昔の青春映画。若大将シリーズと呼ばれて人気を集めました。この作品はシリ
ーズ4作目にあたります。
P.52 2行目 むかーし、むかし TBS系列で放送されたアニメ「まんが日本昔ばなし」の話のでだしのフレーズ。
市原悦子・常田富士男、どちらの声を頭に思い浮かべるかで、その人の話の
好みがわかるかもしれない(笑)。
ちなみにハードボイルドな漫画原作者、狩撫麻礼もこの番組の製作スタンスを
評価していた節がマンガ「ボーダー」で見受けられます(笑)。
P.98 14行目 カワサキのZU どうやらバイク好きには有名なバイクのようです。バイク・メーカーのカワサキが
ホンダCB750に対抗すべく、それ以上の排気量のバイクを開発し、全世界にそ
の名をとどろかせたのがZT。しかし当時の日本では750ccまでの販売という
自主規制があったため、750cc版に開発したのがZU・・・だそうです(汗)。
P.149 11行目 『地底探検』 恐らくフランスの作家で、いくつもの有名な科学小説を生み出したジュール・ヴ
ェルヌの『地底旅行』(この邦題が有名)のことだと思いますが、私は未読なので
この作品に「地下の海」がでてくるのかどうか知らないんです(汗)。
でも、あらすじ等で「錬金術師」「暗号文」とかがでてくるので、ひょっとしたらこの
『踊る夜光怪人』そのものが『地底旅行』へのオマージュ作品なのかもしれませ
んね。そう思うとヴェルヌの『地底旅行』がどうにも読みたくなってきました(笑)。
P.163 5行目 ハッパフミフミ 昔、万年筆のCMでタレントの大橋巨泉が喋ったナンセンスなセリフの中にこの
言葉がでてきます。のちにこの言葉だけが特化して流行語になりました。
セリフ全文はこんな言葉。
「みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ」
万年筆のキャップをとってすらすらと書くさまを言葉にのせているわけですが、これ
でその情景が浮かびます(笑)?
P.172 14〜15行目 ・背広がアルマーニ
・時計は、ロレックス
アルマーニはイタリア出身のファッション・デザイナー。
G・ヴェルサーチ、G・フェレ、G・アルマーニの3人で「ミラノの3G」と呼ばれている
そうです。誰が呼んでるのか知りませんが(笑)。
ロレックスはスイスの時計メーカーで、オーデマ・ピゲ、バセロン・コンスタンチン、
パテック・フィリップなどの名門には格を一歩譲るが、その頑丈さには定評のある
メーカー。日本ではかなり人気の高いブランドです。
P.205 5行目 菅原道真 平成よりももっともっと昔の平安時代前期の学者、政治家。5歳で和歌を詠むなど
神童とよばれ、大人になっても学者として活躍していましたが、左遷で晩年は不
幸の身となり、そのまま一生を終えました。でも、学問の神様としてその存在は今
でも多くの人に知られています。
P.205 8行目 本居宣長 江戸時代の国文学者。『古事記』の研究で有名ですが、源氏物語などについても
研究成果があるようです。三重県は松阪市で生まれたそうで、はやみねさんと同
郷だったんですね。知りませんでした(笑)。
P.252 8行目
P.253 4行目
大島かばん店
滝原電気店
それぞれの名称には、きっと何かあるとふんでいるんですが判りません。というか、
わかる種類のものじゃないんだろうとふんでます(笑)。
ちなみに。大島かばん店と「虹北堂」の間に老舗争いは起こってないはず。
争うだけヤボってことにしておきましょう。「イキ」に遊びましょうね(笑)。
P.269 3行目 スターマイン 打ち上げ花火の方式のひとつです。「連続発射打ち」とのこと。夏の夜空を綺麗に
彩る、花火大会の中心的存在といえそうです。

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