はやみね作品ミステリ小ネタ集  ※人によってはネタバレになるのでご注意を。

『ミステリーの館』へ、ようこそ

参照本:「『ミステリーの館』へ、ようこそ ―名探偵夢水清志郎事件ノート―」 2002年8月28日第1刷発行

 

※説明をみる場合は空欄を反転して表示ください。

該当ページ等 小ネタ 説  明
P.7 1行目 六月は雨の〆〆密室 エンタテイメント系作家の発掘を目的に制定されたメフィスト賞の第12回受賞
作は『ドッペルゲンガー宮』というミステリでした。作者は霧舎巧。
で、この人が書かれてるものに「私立霧舎学園ミステリ白書」というシリーズ
ものがありまして、その第一作のタイトルが『四月は霧の00(ラブラブ)密室』。
とてもわかりやすい小ネタであります(笑)。
ただ、この「〜〆〆密室」の内容と「〜00密室」の内容がどの程度関わってる
のかは、私が「〜00密室」を未読のため判りません。すんません(汗)。
P.24 5行目 『密室』 "学校内の密室" という設定で私の頭に浮かぶミステリといえば、作者名が
作中の名探偵と同一のシリーズを持つ法月綸太郎のデビュー作『密閉教室』
(この作品はノン・シリーズ)か、東野圭吾のデビュー作『放課後』などがあり
ますが、きっと他にもたくさんのミステリがあることでしょう(苦笑)。
P.38 14行目 題名も苦労してるよね ミステリ作家には稚気のある人が多いようで、タイトルの苦労もさることなが
ら、そのタイトルにまでも仕掛けをほどこしたりすることもあります。今パッと
数をあげることができませんが、鮎川哲也の某短編などが有名ですね(笑)。
あと、タイトル付けが上手いといわれているのが佐野洋。『一本の鉛』は、確
かにそのちっぽけな存在の「重さ」を浮かび上がらせるいいタイトルだと思い
ました。あと個人的にはイーデン・フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』も、地
味ながら狙いのあるタイトルじゃないかと思ったりしてます(笑)。
P.52 13行目〜
P.53 1行目
いま思えば、
  〜ふっていた
このように、ミステリには「次にいったい何が起こってしまうのか?」と気を
もたせるような言い回しがあるかと思えば、内容についてのっけから「はっ
たり」をきかせたりすることも、ままあります。

・「いま筆をとってこの恐ろしい物語の、最初の章を書きおこそうとするにあ
  たって、私はいささか良心の苛責なきを得ない。」
・「この奇怪な連続殺人事件の物語の筆をとるにあたって、私はまず、一
  見異様と思われるこの題名について、一言おことわりしておかねばな
  らないような気がする。」
・「これは私の知る限り、最も有名な事件だ。おそらく世界にもまずめった
  に例を見ない不可能犯罪であろうと思う。」

これらはすべて、有名なミステリの出だし文章の引用ですが、はったりが
効いていて私なんか身震いしてしまうほどです。ぶるぶるぶる(爆)。
P.59 12行目 黄色い表紙の『月長石』 作者はイギリスの作家、ウィルキー・コリンズ。
ボリュームは、創元推理文庫上下合本14刷で、約760ページ。
イギリスで活躍した詩人で評論家のT.S.エリオットが「最も早く書かれた、最
も長い、最も優れた探偵小説」と評したミステリ。確かに今の時代でもこのボ
リュームは充分厚いといえるでしょう。
内容については・・・・二人の印度人しか覚えてません(爆)。
P.59 12行目 人狼城の恐怖 作者は鮎川哲也賞をきっかけにデビューした二階堂黎人。
ボリュームは、文庫(4分冊)を持ってますが、積読の山に埋もれてしまって
確認できませんでした(汗)。
密室の大家と言われるジョン・ディクスン・カーばりのミステリで独特の人気
を誇る作家さんです。
この作品はドイツ編・フランス編・探偵編・完結編の4部からなる大長編ミス
テリ。「世界最長ミステリを書く」との目論見で書かれたと、どこかで目にした
ように記憶しています(汗)。この作品は積読で、私の本棚にはこの本を置く
スペースが既に確保されています。楽しみ楽しみ〜(笑)。
P.59 12行目 虚無への供物 作者は中井英夫(作品発表時は別名義の「塔晶夫」でなされたとのこと)。
ボリュームは、講談社文庫37刷で、約620ページ。
誰が位置付けたかは不明ですが、日本三大(または四大)ミステリのうちの
一つ。アンチ・ミステリとも呼ばれていますが、どのあたりがアンチなのか、
私には記憶がございません(汗)。変な読み方しちゃったのかなぁ。ふつ〜
のミステリという記憶しかないんだけどなぁ(爆)。
P.59 13行目 ウロボロスの偽書
ウロボロスの基礎論
どちらの作品も作者は同じで、コアなミステリ雑誌「幻影城」で若くして作家
デビューを果たした竹本健治。
ボリュームは、『〜偽書』が講談社文庫1刷・上巻約460ページ下巻約420
ページ、あわせて約880ページ。『〜基礎論』は所有していないため不明。
どちらも実在のミステリ作家が実名で登場しているメタ・ミステリ(超虚構ミ
ステリ)・・・・・だそうです(汗)。
この作者の代表作によくあげられるのが『匣の中の失楽』。
・・・・世の中がメタ・ミステリ一色になるのはイヤだ(意味不明)。
P.59 13〜14行目 ミステリ・オペラ 作者は『神狩り』でSF界にデビューを果たした山田正紀。
ボリュームは、所有していないため不明(汗)。
デビュー時から、SF作家としての力量は多くのファンが認めるところであっ
たようですが、その活躍の場はSFだけにとどまらず、サスペンス・冒険・本
格ミステリと、まるでエンタメ系ジャンルを制覇するかのように作品を発表。
最近は時代の潮流もあり、ミステリ系の作品が多いです。
この作品は第55回日本推理作家協会賞と第2回本格ミステリ大賞長編部
門の2冠を達成しています。
P.59 14行目 オイディプス症候群 作者は評論家としても知られている笠井潔。
これも所有していないため、ボリュームは不明。すいません(汗)。
ミステリとしては『バイバイ、エンジェル』からはじまる、「本質直観推理」を
駆使する矢吹駆を主人公としたシリーズが有名(私は2作目の『サマー・ア
ポカリプス』が好き)。
この作品は、現時点(2003.4)で、第3回本格ミステリ大賞の候補作になっ
ていて、何かと話題の作品であるようです(笑)。
P.67 1行目 赤い鰊(レッドヘリング) ミステリでよく使われる用語の一つ。読者の眼を真相からそらしたり惑わせ
たりする記述やモノのこと。意味ありげな描写・怪しげな登場人物・関係あ
りそうな証拠品などなど。
もとはイギリスで狩猟犬の鼻をまどわすために使った赤い鰊からこの呼び
名が生まれたようです。イギリスの女性作家、ドロシー・L・セイヤーズが生
んだ貴族のピーター卿が活躍するミステリで、その名もずばり、『五匹の赤
い鰊』という作品もあります。
P.67 1行目 フーダニット 英語で書けば「Who done it?」。「誰がそれをしたのか?=誰が犯人か?」
ということで、いろんなスタイルの謎を持つミステリで、「犯人が誰か」を主
眼においたミステリのことを、こんな言い方であらわしたりします。
ほとんどのミステリが「フーダニット」といえますが、中には「フーダニット」と
あわせて、手法に主眼をおいた「ハウダニット(How done it?)」、理由に主
眼をおいた「ホワイダニット(Why done it?)」、時間(タイミング?)に主眼を
おいた「フェンダニット(When done it?)」などを兼ね備えたもの、またはそ
れ単体を主題にしたミステリもあります。う〜ん。ミステリは奥が深い(笑)。
P.67 1行目 ホラー 今では恐怖を描くことに重きをおいた小説全般を指して使うんだろうと私は
思ったりしますが、違う意見をお持ちの方が大多数で、この感覚はやっぱり
少し違うようです(爆)。
基本的には現実に存在しえないもの(例えば幽霊等)から生み出される恐
怖小説・怪奇小説ってことになるのかもしれません。
このジャンルの有名な作家としてスティーヴン・キング、ディーン・クーンツと
いった方がいます。
P.69 1行目 『料理長殿、ご用心』 1978製作の、コメディ&サスペンスタッチ・ミステリとして評価の高い外国映
画であります。原作はナン&アイヴァン・ライアンズという二人の手になるも
のだそうですが、検索した限りでは原作より映画のほうが「面白い!」という
意見が多く、映画のほうに軍配があがっているようです(笑)。また、出演し
ているジャクリーン・ビセットという女優さんは、『オリエント急行殺人事件』に
も姿を見せています。
この『料理長殿、ご用心』は機会があれば一度見てみたいですねぇ〜。
P.69 1行目 『料理長が多すぎる』 作者はアメリカの作家、レックス・スタウト。その名前のシャープさとは裏腹に
超肥満体の身体で自宅と蘭をこよなく愛する美食家探偵、ネロ・ウルフが活
躍するミステリ。
ウルフものをいくつか読んだ後でこの作品を手にした読者は、冒頭からのウ
ルフの行動に驚いてしまうことでしょう(笑)。
このウルフ。私の中では最も敵にまわしたくない名探偵であります。
P.69 2行目 『グルメを
 料理する十の方法』
名探偵、伊集院大介を生み出したSF&ミステリ作家、栗本薫の手になるノ
ン・シリーズの長編ミステリ。
プロローグの「アペリチフ」(食前酒の意味)から始まって、前菜、スープ、魚
料理・・・と一連の料理コースの体裁で各章がつけられていて、とっても美味
しそうです。どんなお味だったかは憶えておりませんが(汗)。
P.69 2行目 『カレーライス
 は知っていた』
『化身―アヴァターラ』で第5回鮎川哲也賞を受賞。広いミステリ界の中でも
一種独特の存在感を示す愛川晶が書いたミステリ短編。
美少女探偵の根津愛が活躍する話で、カレーを一口食べたら犯人が判った
というなにやらスゴイ話みたいです(笑)。
P.69 2〜3行目 嵯峨島昭 「昭」の文字を音読みすれば、読みが「さがしましょう」となって稚気のあふれ
たお名前になります。発表当時は作者のプロフィールなどが伏せられていて、
いわゆる「覆面作家」だったそうです。本来の名前(ペンネーム?)では既に
プロ作家として有名であります。その正体はとりあえずここではふせておきま
すね(笑)。
最近の覆面作家ではその暖かで巧みな筆致で多くのファンを持つ北村薫が
有名。作家としては最初からこの名前で活動していたんですが、なんせ性別
や年齢も不明だったので、いろんな憶測がとびかったようです。他には加田
伶太郎、鷹見緋紗子、田島莉茉子などが有名ですが、中には既にその正体
が公表されている人もいます。
P.69 3行目 『美食倶楽部殺人事件』
『グルメ殺人事件』
『ラーメン殺人事件』
私も嵯峨島昭の存在をこの本で知ったぐらいですから、当然嵯峨島作品は
読んでおらず、これらの作品がいかなるものなのかさっぱり判りません(汗)。
さっそく『美食倶楽部殺人事件』と『「活けじめ美女」殺人事件』なる作品を
見つけてはいますが、まだ積読順番待ち状態です。
事前知識が何もなかったら、私にとっては恐らく一生手にすることのないた
ぐいの各タイトルであります(笑)。
P.76 9行目 『スティング』のテーマ曲 『スティング』は1973年製作のアメリカ映画。主演は渋いポール・ニューマン
とオットコ前のロバート・レッドフォード。詐欺師たちが一世一代の大詐欺芝
居を企てる手に汗握るコン・ゲーム(詐欺)映画。ミステリ好きにも人気が高
い作品で、その要因と思われる「大ネタ」映画であることは間違いないんで
すけれど、なのにまた見たいと思わせるのは、きっとネタ以外のところでも
何か暖かいところ・ワクワクするところがあるんだと思います。
テーマ曲は恐らく
「The Entertainer(エンターティナー)」という曲でしょう。
ラグタイム(19世紀末〜20世紀初頭にアメリカで流行した軽音楽)で有名な
スコット・ジョプリンという人の曲で、軽快なテンポのピアノメロディは沈んだ
心も暖かで陽気な気持ちにしてくれる、希望を感じさせる名曲です。
P.79 11行目 『ORIENT EXPRESS』 日本語で言えば『オリエント急行』。ミステリの女王、アガサ・クリスティが
書いた超有名ミステリ『オリエント急行殺人事件』の舞台になったのがこの
列車のなか。限定された容疑者、不可思議な刺し傷、そして驚きの犯人。
ミステリネタの希代のエンターティナー、クリスティの面目躍如たる名作。
事前にネタの中身を知ることなく、この作品を読まれることを、私は切に切
に願っております。
P.80 5行目 りっぱな背広を
〜いわれてしまった。
「もし名探偵辞典なるものが編纂された時には一番最初にでてくる人物と
して考えた」といった意味の文章を読んだことがあります。発言者は国内
ミステリ界の希代の奇術師、泡坂妻夫。それで生み出された探偵が色白
で背の高い探偵「あ?」ならぬ「亜愛一郎(あ・あいいちろう)」。亜衣ちゃん
の質問に決して答えなかったわけじゃなかったのです(笑)。
ちなみに亜愛一郎が登場する短編集は3冊あって、順に『亜愛一郎の狼
狽』『亜愛一郎の転倒』『亜愛一郎の逃亡』。全てマイナスのイメージを持
つ単語がならんでいますが、内容は本格ミステリファンにとっては大きな
プラスともなる珠玉の短編集でございます。
P.82 9〜11行目 「わたし、こっちの〜
写真がのっている
「占星術」という文字でピン!ときた人もいるかもしれません。その期待は
裏切られず、後に続く文章は期待通りのものでした(笑)。
この風貌は、現代国内ミステリ界のライオンキング(?)、島田荘司のもの
に違いありません。デビュー作『占星術殺人事件』は、本格ミステリファンの
度肝を抜くと同時に喝采をもって迎えられたそうです。作者自身も占星術に
詳しいようで、多くの新人作家の名付け親になっています。一例をあげれば
綾辻行人、法月綸太郎、我孫子武丸などなど。そうそうたるメンバーです。
P.84 2行目 垣根の中に〜
すべてとじられている
恐らくは金田一耕助初登場作である横溝正史『本陣殺人事件』の舞台とな
った離れではないかと思います。今みても、なんて魅惑的な舞台なんだと
思わずにはいられません(笑)。
P.84 3行目 三階建ての〜
でつくられている
すいません。わかりません。降参です。エドガー・アラン・ポー『モルグ街の
殺人事件』とか、鮎川哲也『赤い密室』とか、シャーロック・ホームズ『ノー
ウッドの土建屋』などを思い浮かびましたけどたぶん違うでしょう。ああ、く
やひい・・・(苦笑)。
P.84 9行目 自動車路や
礼拝堂がある建物
あうう。これもまったくわかりません。ヴァン・ダイン『ドラゴン殺人事件』とか、
二階堂黎人『聖アウスラ修道院の惨劇』とか、麻耶雄嵩『翼ある闇』などを
無理矢理思い浮かべましたけどきっと違うでしょう。ああ、くやひい・・・(汗)。
  ※上の追記 ※浅野さん からの情報。
「条件は満たしているし説得力もありそう」として、森博嗣のS&Mシリーズ
最終作、『有限と微小のパン』にでてくる「ユーロパークじゃないか?」との
情報をいただきました。ありがとうございます〜(ぺこり)。

また、浅野さんからは「SAMANAさん、未読っぽいので理由は避けます」と
いう暖かいお言葉をいただきました。図星なので大変ありがたいです(爆)。
2003.05時点でS&Mシリーズはまだ3作が積読順番待ちの状態。
もし自力でこの欄を追記となっていたら、あと1年以上先になってたかもしれ
ません(苦笑)。
P.84 10行目 十五階建ての〜
つくられた建物
うえええん。これも撃沈。島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』とか、綾辻行人
『殺人方程式』とか、泡坂妻夫『掌上の黄金仮面』とか、支離滅裂に思い
浮かべましたけど絶対に違うでしょう。ああ、くやひいくやひい・・・(泣)。
P.84 11行目 館のまわりに〜
つくられた建物
これは恐らく綾辻行人『水車館の殺人』でしょう。これで違ってたらもう目も
あてられません(汗)。鮎川哲也の「あの作品」の「あのネタ」、ジョン・ディク
スン・カーの「あの作品」の「あのネタ」を読む前にこの作品に出会って良か
ったのか悪かったのかわかりません(苦笑)。んでも、結構オーソドックスな
ミステリだったように記憶しており、館シリーズの中でも私にとっては1、2を
争うほど好きな作品であります。
P.87 2行目 呉井 マジシャンで呉井(くれい)。恐らくはアメリカのミステリ作家、また編集者と
しても有名なクレイトン・ロースンが元ネタだと思われます。ロースンは本人
自身も奇術師で、手品のネタも実際にいくつか考案したそうです。
グレート・マーリニという名探偵を生み出しましたが、このマーリニも名奇術
師という設定になっています。
P.97 14行目 諏訪湖マジック 二階堂黎人のミステリでは、二階堂蘭子という名探偵が活躍するシリーズ
が有名ですが、他のシリーズものとして旅行会社に勤める水乃紗杜瑠(サ
トル)という名探偵役が活躍するシリーズがあります。この『諏訪湖マジッ
ク』は水乃紗杜瑠ものの長編。他に『軽井沢マジック』『猪苗代マジック』と
いった、「地名+マジック」となるタイトルの作品があります。
P.98 2行目 大統領の晩餐 昭和30年代以降から編集者、テレビ台本作家、小説家、コラムニストとして
活躍を続けており、ミステリにも造詣の深い小林信彦(中原弓彦)が書いた
ミステリの「オヨヨ大統領シリーズ」のうちの一作がこれ。オヨヨ大統領シリー
ズは当初、ジュヴナイルのスタイルで書かれていましたが、4作目以降は大
人向きのパロディ・ミステリへと変貌したように記憶しています(汗)。
P.98 3行目 不連続殺人事件 『風博士』 『堕落論』『白痴』 などの作品等で、いわゆる文学系の作家として
有名な坂口安吾は、知的遊戯としてのミステリ好きの人でもありました。
横溝正史の『本陣殺人事件』が発表されたとき、多くの探偵作家がこの作
品を支持したにも関わらず、ミステリとしての完成度の高さから、同時期に発
表された『蝶々殺人事件』のほうを断固支持したのは有名な話。
その安吾が世の探偵作家に「犯人当ての懸賞」でもって挑戦したミステリが
この『不連続殺人事件』。探偵作家クラブ賞(今の日本推理作家協会賞)受
賞作でもあります。安吾ミステリとしては他に『安吾捕物帖』『能面の秘密』
(いずれも短編集)などがあります。
P.98 4行目 スウェーデン館の謎 現代国内本格ミステリの雄として人気の高い作家に有栖川有栖がいます。
この作者は、作者と同名(有栖川有栖)のキャラクターが登場するシリーズ
ものが「2つ」あります。1つは、ミステリ・サークルに所属する大学生の江神
を探偵とするもので、有栖は同じサークルの後輩の学生となっています。
もう1つは「臨床犯罪学者」との肩書きを持つ大学助教授、火村英生を探偵
とするもので、こちらでは有栖は火村とコンビを組むミステリ作家として描か
れています。それぞれ有栖の位置付けが違うことから、1つめのシリーズは
「学生アリス」シリーズ、2つめは「作家アリス」シリーズと呼ばれています。
2つのシリーズに登場する、それぞれ位置付けの違う有栖はお互いどのよ
うな関係にあるのか? それはご自分の眼で確かめてくださいまし(笑)。
前置きが長くなりましたが、この作品は作家アリスシリーズのもの。有栖川
が敬愛する本格ミステリの巨匠、エラリー・クィーンの代表的シリーズである
国名シリーズを踏襲した「有栖川版国名シリーズ」のうちの一作。長編で、
少し物悲しい話だったという記憶が残っています。
P.98 4〜5行目 クリスマス・プティング
の冒険
ミステリの女王アガサ・クリスティの短編集。冒頭の「はじめに」で、「クリス
マスのご馳走の本」と位置付られたこの本には6つの短編がおさめられて
います。表題作でもあるこの作品は作者曰く、「ポワロが最高の腕前を発
揮している」とのこと。また、ミス・マープルものも1作あります。
クリスティは『料理長のおとくい料理集』とも書いており(もちろん料理長は
クリスティ)、美食ミステリのコーナーにはうってつけの短編集かもしれませ
んね(笑)。
P.103 1行目 オマールエビ オマールはフランス語で意味はロブスターとのこと。要は「伊勢エビ」ってこ
となんでしょうか? よくわかりません(汗)。フランスのブルターニュ地方で
とられるものが最高級だそうです。
ちなみにこのオマールエビが登場するミステリは具体的にはわかりません
でした。たくさんあると思うんですけど。レックス・スタウトの「ネロ・ウルフ」
シリーズなんかには絶対でてきていそうです(笑)。
P.103 2行目 生姜入りのクッキー 『スウェーデン館の謎』にでてくるスウェーデン独特のクッキー。「ペッパァル
カーカ」と呼ばれているそうです。これを食べると「親切な人になれる」との
言い伝えがあるそうです。
P.103 3行目 子牛のポルコルト ハンガリー料理の一種で、パプリカ(甘唐辛子)の入った濃厚なシチューの
ようです。「子牛のポルコルト」で検索してみると、思いがけず女性私立探
偵の代名詞ともいうべきキンジー・ミルホーンの名前がでてきてビックリ。
キンジー・ミルホーンはアメリカの女性ミステリ作家、スー・グラフトンが生み
出した探偵。『アリバイのA』『泥棒のB』など、アルファベット一文字をタイト
ルに冠したシリーズとしても有名。この料理は『アリバイのA』で登場してい
るとのこと。いや、でもまさかスー・グラフトンまでフォローしているとは・・・。
驚きです(汗)。
P.103 4行目 如意蝦捲
(ルイエシヤチアヌ)
さっぱりわかりません(爆)。字面からしてエビ春巻きだと思うんですが・・。
関連したミステリも不明。アメリカの作家、E・D・ヴィガーズが生み出した
ハワイはホノルル警察のチャーリー・チャン警部シリーズなのか、オランダ
の中国研究家、ローバート・ハンス・ファン・フーリツクが生み出したディー
判事シリーズなのか、はたまた嵯峨島昭のグルメミステリ関係なのか・・。
謎は深まるばかりです(苦笑)。
P.114 7行目 加護 麗 けっこう珍しいと思われる苗字から、モーニング娘。の加護愛を連想してし
まうのは私だけ?
P.119 2行目 矢口 淳子 「加護」との関係で、モーニング娘。の矢口真里を連想してしまうのは私だ
け? ←名前が全然違うやんっ(爆)!!
※上2つの項目は
 "おまけ"から持込み
※上の追記 ※宮岡はねるさん からの情報。
2番目の袋閉じで、カーゴ・クローネン=加護麗という真相が明らかにされ
ました。事前にカーゴ=加護という、「読みが同じ」という手がかりが提示
されているんですが、このままだとかなり見当がつけられそうなので、カー
ゴ・クローネンの名前から目をそらしてもらうよう、「矢口淳子」という人物を
登場させ、セットでモーニング娘。(またはミニモニ)の方向に連想させるよう
に仕掛けられました。
ううう・・・。 ということは、私、まんまと乗せられてしまったわけですね。
まんまと目をそらしてしまいました(苦笑)。
P.119 8行目
P.119 13行目
井上快人
川村春奈
この二人組みは、実は他の作品で既に登場しています。角川スニーカー
文庫の企画アンソロジー『殺意の時間割』のなかにある「天狗と宿題、幼
なじみ」がそれです。でも不思議なことが一つ。こちらでは井上快人となっ
ていますが、「天狗〜」では小林快人となっています。快人くんの身の上に
いったい何が起きたというのでしょうか(笑)?
P.123 3行目 仮面 正体を隠す「モノ」として神秘的な意味合いが感じられるのか、ミステリで
仮面を取り扱った、また仮面という語句を使ったものは、たまに見かけら
れます。イギリスの作家、ヒュー・ウォールポールの短編『銀の仮面』は内
外のアンソロジーでよく取り上げられて、名作と評判のもの。
で、私の所有本のなかでタイトルに「仮面」とついた長編国内ミステリをあ
げてみました。ヒマな方はどの作品が誰の手によるものなのか、考えてみ
てください(笑)。
『海の仮面』『黄金仮面』『仮面の恐怖王』『仮面劇』『灰色の仮面』『仮面
の祝祭2/3』『仮面舞踏会』『仮面よさらば』『肌色の仮面』『仮面山荘殺人
事件』『仮面法廷』 以上11作品。ちなみに『仮面舞踏会』は作者が2人お
りました(笑)。
P.149 13行目 中庭には〜
迷路がある
この設定で思い出されるのは、泡坂妻夫の長編『乱れからくり』。代表作
として『11枚のとらんぷ』とよく並べてあげられる作品です。序盤で隕石に
ぶつかって人が亡くなるという、これ以上は考えられないというほどの自
然現象が発生します。こんなシチュエーションはミステリ界でもたぶん初
めてでは? 最初読んだときは「なんじゃこりゃ?」と思いましたが、読み
終えた
後はなぜか不思議と満足してしまいましたとさ(笑)。
P.167 3行目 雪の山荘 この設定が本格ミステリにとって大きな魅力となる大きな要因として、
・科学捜査を行うことが出来ないため、知恵と論理だけで犯人を特定しなけ
 ればならないこと
が考えられると思います。
こういった設定がなされた・・・と記憶している(爆)、ミステリを既読のなか
からあげてみました。

 『十角館の殺人』綾辻行人
 『双頭の悪魔』有栖川有栖
 『探偵映画』我孫子武丸
 『そして扉が閉ざされた』岡嶋二人
 『星降り山荘の殺人』倉知淳
 『鬼面の研究』栗本薫
 『凍える島』近藤史恵
 『思い通りにエンドマーク』斎藤肇
 『ゆきの山荘の惨劇』柴田よしき
 『パンドラ・ケース』高橋克彦
 『最長不倒距離』都筑道夫
 『人格転移の殺人』西澤保彦
 『ある閉ざされた雪の山荘で』東野圭吾
 『鴉』麻耶雄嵩
 『海底密室』三雲岳斗
 『密室殺人講座』水野秦治

さてさて。お気にめすものはございましたでしょうか(笑)?
P.224 14行目 『名探偵の掟』 ミステリの枠を超えて、人気作家になりつつある(もうなってる?)東野圭吾
の、本格ミステリを揶揄してるかのようなその内容に、ミステリ好きの間で
物議をかもしだした問題長編(連作短編集?)のタイトルがこれ。天下一大
五郎という名探偵が数々の苦難にもめげずに大活躍(?)しています。姉妹
作に長編『名探偵の呪縛』があります。
ここ以降は私観(汗)。
本格ミステリを揶揄しているようにみせながら、実は本格ミステリの可能性
と方向性を客観視しながら真剣に考えているという、真摯な姿勢が感じられ
る意欲的ミステリだと私は思っておりますです〜。
※03.07.12追加項目
 P.288 4行目
「雨……あがってる」 ※宮岡はねるさん からの情報。

ことのおこりは、作者はやみねさんから私への挑戦でした。

#以前、『「ミステリーの館」へ、ようこそ』の小ネタを見せてもらったとき、

#「あれ?SAMANAさん、これに気づかなかったんだ」 ってネタがあった
#のを、『ブレードランナー』を見て思い出しました。

#そこで、SAMANAさんに挑戦。いったい、どんなネタだったでしょうか?
#(ヒント:推理小説に関係ありません)

私、全く判りません(汗)。
そんな私に救いの神様、宮岡はねるさんから回答をいただきました。

#『ブレードランナー』は、全編、酸性雨が降っているジトジトジメジメした、
#日本の梅雨のような映画なんです。
#で、ラストシーンで一瞬だけ青空が広がる場面がありますが、それを
#生かして『ミステリーの館』も、全編、雨降りにして、最後のシーンで青
#空が出てきたのでは?
※一部、はねるさんの文章をSAMANAが加工。

なるほど、とても説得力があります(笑)。
ということで、はやみねさんからの挑戦は見事にうちやぶられました。
私ってすごいなぁ……。 ←違うだろっ(爆)!!

 

*************** ここから下は お・ま・け ***************

該当ページ等 小ネタ 説  明
P.27 5行目 魑魅魍魎 「いろいろの化け物。さまざまの怪物」などを指し示す言葉。さあ。あなたは
この言葉で表現されてしまう教授のことを可哀相だと思いますか? それと
ももっともだと思いますか(笑)?
P.30 10〜11行目 でっきるっかな?
でっきるっかな?
1970年から1990年と20年もの間、子供向けの工作番組としてNHK教育テ
レビで放映されたのが『できるかな』という番組。高見映扮するノッポさんと
ぬいぐるみのゴン太の2人によるもので、ノッポさんが工作をしだすとこのフ
レーズが流れ出した記憶があります。
ちなみにノッポさんは番組中ではいっさい喋らないキャラクターで有名でし
た。それだけに最終回でノッポさんが最後の挨拶を「喋った」ことは、かなり
衝撃的だったようであります。
P.45 13行目〜
P.48 11行目
※亜衣と
  レーチの描写
この手法は偶然にも、お互い仲の良いSF作家、かんべむさしと堀晃のそれ
ぞれの傑作短編で見ることができます。かんべむさしの短編「決戦・日本シ
リーズ」では野球の阪神応援団と阪急応援団からの視点で、堀晃の短編
「最後の接触」では頭脳と肉体からの視点で、それぞれシンクロしています。
ともに傑作なので、古本屋等で見かけたときには、ぜひどうぞ(笑)!!
P.74 13行目 ポチアマゾン 普通はこんな名前をつけないと思うので、やっぱりこのネーミングには元ネ
タがあるんでしょうね(笑)。思いつくのは「仮面ライダー・アマゾン」ぐらいな
んですが・・・・(汗)。
P.83 13行目 トップブリーダー 「ブリーダー」は、犬の種の質的向上を目的として専門で飼育や繁殖に携
わる人のこと。そのトップということですから、そのブリーダーたちの頂点に
たつ人の事をさす言葉だと思われます。コマーシャルの影響でよく使われ
ようになった言葉なんじゃないでしょうか。
P.128 15行目 R.P.G(ロール・プ
レイング・ゲーム)
テレビ・ゲームのドラゴン・クェストやファイナル・ファンタジーなどがすぐ思
い浮かびますが、検索で調べたところ、元はアメリカで生みだされたボー
ド・ゲームの一種だそうです。ファンタジー小説の具現化を狙って、最初か
らテレビ・ゲームのスタイルで誕生したとばっかり思っていたので、少しビ
ックリしました(笑)。
P.149 8行目 杉作って猫〜 講談社のマンガ雑誌、週間モーニングに「クロ號」なるマンガが連載され
ていたようで(現在も連載中かどうかは不明)、その作者さんが「杉作」と
のこと。恐らくこれが元ネタだろうなと思って、PCに映るコミックスカバー
絵をみていたら、変な気分になりました。この絵のタッチ、どこかで見た
ような記憶が・・・。
あっ!! 復刊した『怪盗道化師(ピエロ)』のイラストじゃないか(爆)!!
で、確かめたところ、やっぱり『怪盗〜』の絵は「杉作」となっておりました。
失礼いたしました(汗)。
P.199 7行目 『い〜つも、すまない
〜いわない約束でしょ。』
この定番化したやりとりは、1961年にスタートした伝説のヴァラエティ番組
『シャボン玉ホリデー』のなかの一コントが発祥とのこと。クレイジー・キャッ
ツというバンドが活躍し、なかでもボーカルの植木等は「無責任一代男」と
して、超人気者となったそうです。
ちなみにこのあたりの話は、私はリアル・タイムではありませんので、あし
からず(苦笑)。
P.248 1行目 通信教育で〜 このギャグは、吉本新喜劇で長年活躍していた岡八郎が得意にしていま
した。この台詞のあとにおかしな動作で笑いを誘い、最後にお尻をかいて
「くっさ〜」のひと言に皆コケて、ギャグ終了というパターンだったように思
います(笑)。

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