はやみね作品ミステリ小ネタ集  ※人によってはネタバレになるのでご注意を。

少年名探偵
  虹北恭助の新・新冒険

参照本:「少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険」 2002年11月5日第1刷発行

 

※説明をみる場合は空欄を反転して表示ください。

該当ページ等 小ネタ 説  明
P.55 15行目 欠けた鎖の輪
(ミッシング・リンク)
何の関連もないようにしか思えないのに、何かしら複数の事象、例えば
連続殺人や連続盗難などがおきたとき、そこに何がしかの関連性があ
るはず(とした場合)の、その「何か」が判らない(=鎖がところどころ欠
けているので鎖の輪が完成しない)状態をいいます。
……よけいややこしくなりそうな説明ですね(汗)。
エラリー・クィーン『九尾の猫』、横溝正史『獄門島』などをお読みいただ
くほうがとても判りやすいと思います(苦笑)。
P.59 タイトル 殺鯉事件 ライト・ノベルス(中学・高校生を対象とし、興味が持たれそうなエンタテ
イメントを中心に読みやすい文章で書かれた小説群といったところか?)
界からデビューし、「ブギー・ポップ」シリーズで、いちやく有名となった作
家が上遠野(かどの)浩平。この作家の一般デビュー作品のタイトルが
『殺竜事件』です。不死身の竜が殺された謎を追うミステリとのこと。未読
なので内容は紹介できません(汗)。
P.70 6行目 スケキヨ、スケタケ、
スケトモ
それぞれを漢字表記にすれば佐清(スケキヨ)・佐武(スケタケ)・佐智(ス
ケトモ)となります。それぞれの母親は順に松子・竹子・梅子。そしてその
父親は佐兵衛。これらの人々を称すればそれはまさしく推理作家の横溝
正史が生み出した『犬神家の一族』となるのであります。
ああ、オソロシヤオソロシヤ……(笑)。
P.75 8行目 生ける屍(ゾンビ) ゾンビは、よみがえった死者のことですが、ここでは「生ける屍」という表
記に無理矢理注目してみました(苦笑)。
この語句をタイトルに使った日本ミステリがあります。ミステリ好きには有
名な企画本『このミステリーがすごい』(の過去10年間ベスト)、『本格ミ
ステリ・ベスト100』で、それぞれ第一位に輝いた山口雅也の『生ける屍の
死』がそれ。
死者が甦る不可思議な現象の中で起きる連続殺人の謎を描いたこの作品。
本格ミステリ好きは読まないと損すること間違いなしの名品といったところ
でしょうか。
P.80 3〜4行目 『カンキリサイクル』 有望エンタメの発掘を目的とした講談社メフィスト賞の第23回受賞作。
作者は西尾維新。この作品から始まる一連のシリーズは「戯言使い」シリ
ーズと呼ばれているようで、その独特の感性から本格ミステリとして賛否
両論の声があがっているそうです。ちなみに私は未読なのでなんとも言え
ません。←最近、このフレーズが多いなぁ…(爆)。
P.92 7行目 うつし世は夢
夜のゆめこそまこと
続いて説明が書かれているとおり、この言葉は江戸川乱歩の有名な言葉。
乱歩の諸作品を読むと、この言葉がいかに乱歩の幻想作品世界を適確に
言い表した名文句であることかと、驚かずにはいられません。具体例でいう
と短編「押絵と旅する男」などが、格好の作品化と思われます。
「夜のゆめ」を味わってみたい方は、ぜひどうぞ〜。
P.130 6行目 ウィリアム・ジレット 19世紀後半から20世紀前半に活躍したアメリカの脚本家&舞台俳優。原作者
のコナン・ドイル自らの手による戯曲でホームズ役を演じ、大評判をよんだとの
こと。ホームズのトレードマークでもある曲がったパイプは、実はこのジレットが
劇に使用したことで広まったとの話もあり、その「はまり役」加減が目に浮かぶ
ようであります。

 

*************** ここから下は お・ま・け ***************

該当ページ等 小ネタ 説  明
P.11 4〜5行目 暴れん坊将軍 徳川八代将軍の徳川吉宗が、火消しの「め組」に居候する侍として身をおいて、
世にはこびる悪を懲らしめるという娯楽時代劇ドラマ。1978年から25年にわた
って放映された長寿番組でした。主演は松平健。
このタイトル名は、その独特なネーミングから下ネタ系の決まり文句としてもよく
使われていました。
P.15 12行目 白のキャミソール
〜幅広ベルト
よくわからないのでgoo辞書を使って翻訳してみました。
 「白の、肩からひもでつる腰丈までの短い婦人用の袖なし下着に」
 「桜色の、前身頃を着物のように打ち合わせて着るブラウス。」
 「綾織りまたは繻子織りにした先染めの厚地綿織物のズボンと」
 「幅広の腰に締める洋服用の帯」
あああ、余計わかりづらい(汗)。
P.15 13行目 GUERLAINの
チェリーブロッサム
GUERLAIN(ゲラン)は、1800年代前半から続くフランスの香水メーカー。
チェリーブロッサムはそのゲランが生み出した香水の品名。日本で初めて売り
だされた時は、限定発売で数日間で完売したという伝説の香水だそうです。
う〜ん。たぶん私は「チキンラーメン」の匂いのほうが好き(爆)。
P.20 15〜16行目 脇から離さない〜
えぐり込むようにして
基本的にこの言葉の後に続くフレーズは「打つべし!」だと思います(笑)。
原作:高森朝雄(梶原一騎)、作画:ちばてつやによるボクシング漫画「あした
のジョー」で、ボクサーじじいの丹下段平が「あしたのために その1」として
主人公の矢吹丈にジャブの基本として教えたテクニック。
このフレーズどおりにジャブを打ってみたことが「ない」という読者は、絶対に
いないと私は固く信じてます(笑)。 
P.68 1行目 『子猫物語』
『名探偵ベンジー』
『子猫物語』は1986年製作の日本映画。子猫のチャトランがひょんなことから
様々な動物たちと出会い、成長していく姿を描いたもの。
『名探偵ベンジー』は1980年製作のアメリカ映画。犬のベンジーを主人公とし
た映画としては3作目にあたる。タイトルどおりベンジーが探偵として活躍する
お話で、ミステリ的にはやはり『名探偵ベンジー』のほうに魅かれます(笑)。
P.68 5行目 『わんぱくフリッパー』 1960年代のアメリカTV番組でイルカのフリッパーが活躍するお話。映画化や
テレビ・リメイクもされているようです。私は元版も映画もリメイク版も未見。イ
ルカに関しては「城みちる」ぐらいしか思い浮かびません(爆)。
P.70 5行目 ユキオ、カズオ、
テルヒコ
この3つの名前から浮かぶのは、1960年代、歌謡界に個々にデビューした3
人の青年(当時)で、誰がつけたか「御三家」と称されて一躍人気者となった
橋幸夫(ユキオ)・舟木一夫(カズオ)・西郷輝彦(テルヒコ)であります。
3人ともいまだ現役で個々に活躍しつつ、「御三家」としてコンサート活動も行
われているようです。
P.70 6行目 ウタエ、テルエ、
ハナエ
この3つの名前がわかる人は、私と同世代の人でもかなり少ないんじゃない
かと思われます。この3人がそろった時の名前を聞けば「ああ、そうか」という
人が多いかもしれませんが。
3人そろった時の名前は「かしまし娘」。そう。正司歌江(ウタエ 長女)、照
江(テルエ、次女)、花江(ハナエ、三女)の3人による三味線とギターを持ち
ながらの歌もの漫才で、私は小さいころテレビでよくこの人たちの漫才を見て
いまして、今でも笑えるに違いないそのネタとイキの間で、とても好きだった人
たちです。
キツいネタがあるにも関わらず、吉本興行出身の漫才師にはあまり感じられな
い「おだやかな味わい」が感じられて、「これが芸というものなんかな?」と思
わずにはいられません。
P.71 12行目 フジカZC1000 いわゆる8ミリフィルムを使ったホームムービーカメラの一種だそうです。
「特殊撮影にも対応できる超高級システムカメラ」だそうで、学生時代に映画
づくりをしていたというはやみねさんならではの小ネタではないでしょうか(笑)?
P.72 12行目 某温泉ホテルのCM 知ってるホテルCMはいくつかありますが、「コイは踊る」に関係するものなんて
全く判りません。ハ○ヤ、琵○湖温泉ホテル○葉、有馬○衛の向○閤なんて
のは関係ないだろうしなぁ…(汗)。
P.80 1行目 Rカンピンタン Rはとりあえずおいといて、「カンピンタン」は三重県方面の方言で「乾燥した」、
「干からびた」という意味があるそうです。乾物屋ですからぴったりといえばまさ
にぴったりした屋号なんでしょうが、それにしてもマイナーすぎる屋号だと思う
のは私だけでしょうか(爆)?
P.124 15行目 ブランコにのって
〜なくてはいけない!
このシーンは、日本映画界を代表する映画監督であった黒澤明が昭和27年に
製作した映画『生きる』での有名なワンシーン。主演の志村喬扮する、自分の
生き方に反省した某市役所の市民課長が、ブランコにのりながらこの歌を口ず
さんでいるのです。なぜそんな地味なシーンが名シーンとされているのかは、
実際に映画を見ていただいたほうがいいかもしれません。オールタイムベストで
は常に名があがるほどの名作だそうです。
P.137 7行目 背の高い外国人
〜ホールドを掛けている
スピニングトーホールドといえば兄のドリー・ファンク・Jrに弟のテリー・ファンク
といういわゆる「ファンク兄弟」が父から譲り受けた必殺技。「ファンク兄弟」とい
えば、1977年に始まった全日本プロレスの「世界最強タッグ決定戦」優勝チ
ーム。そして「最強タッグ決定戦」といえばファンク兄弟とブッチャー・シーク組と
の歴史に残る壮絶な決勝戦。
フォークでテリーの腕を真っ赤に染めたその残虐さ、そしてその仕打ちにナック
ルパンチでブッチャーに怒りのパンチを見舞うテリーのテキサスブロンコ魂。
あの迫力ある名勝負を、テレビとはいえリアルタイムで見て大興奮したことは、
私の人生の中でとても幸せなことだったと、マジでそう思っております、ハイ。

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