●死神(河原崎建三)

 <新必殺仕置人>が時代劇専門チャンネルで始まった。久し振りに見る鉄つぁんや若き主水…やはり、面白いなあ。本作は元締めを阪神タイガースの往年の大打者、藤村富美男が演じている(名前も寅の会の元締め虎と、トラづくしだ)。その元締めを陰ながら守り、仕置人を監視し、<死神>と呼ばれ仕置人達から恐れられている男、演じるのは河原崎建三さん。<死神>はギリアク人(何人やねん)で、虎に拾われ育てられる。虎には絶対の服従だが、仕置人には非情。仕置きを監視し、裏切ったり、失敗したりした仕置人を容赦なく殺していく。めちゃめちゃクールで恰好良いのだ。普段は顔を出しているが、仕置の場では妙な仮面のようなものを付け、それが表情を隠して一層不気味感を醸し出す。一話目では、中村主水と取引しようとした仕掛人(阿藤快さん)を殺すため、いきなり落ち葉の敷き詰められた地面からどわわ〜〜んと現れ、小型の銛で阿藤さんの首を射貫いていた。ほとんど台詞もなく、話してもごくわずか。だから、よけいに怖い
 河原崎さんは役者一家で、父は前進座の大物、兄二人も俳優である。この三兄弟、顔がよく似ている。奥様はキーハンターのチャーミングなユミちゃんこと、大川栄子さんである。かめ夫が池袋で仲睦まじく歩くお二人を見かけたとか。お子さんのことでいろいろあったようだが…
 <死神>は人の心を知ったとき、哀しい最後を迎える。本作は全体的に哀しいトーンが漂っていた。だが、こういう個性的な役柄のおかげで、本作はシリーズ最高傑作と名高いのである(2003.3.21)
名前 河原崎建三(かわらざき・けんぞう)
生年月日 1943年11月3日
主な出演作 <儀式>(1971)、<卑弥呼>(1974)、<青春の蹉跌>(1974)、<郡上一揆 >(2000)ほか
MEMO 前進座の河原崎長十郎の三男で、兄は河原崎長一郎、河原崎次郎。妻はキーハンター@大川栄子