●蟹江敬三

 先日<卓球温泉>を見る機会があった。面白かった。それと同時に(蟹江さん…すっかり出世したな…)と嬉しくもあった。わたしにとって蟹江さんは刑事物の犯人役、あるいは時代劇の脇役、そんなイメージが長い間あった。それが、いまや味のあるバイブレーヤー。主役も張れる、素敵な役者さんである
 鬼平犯科帳の小房の粂八はいうをまたぬ(池波調(笑))蟹江さんの当たり役だ。今まで牟田悌三さん、寺尾聡さん、新克利さん、藤巻潤さんなどが演じてきたが、蟹江さんの粂八は枯れた渋さを漂わせていてとてもよい。池波さん原作では<闇の狩人>の雲津の弥平次もよかった。これは、原作を先に読んでいたのだが、蟹江さん演じる弥平次がぴたりとはまっていた
 亀石征一郎さんと違って、蟹江さんの悪役は愛嬌もあって好きだ。どこか気弱なワル…そういえば偉い人の役はあまりないな。武士でも下級武士、あるいは町人が多い。庶民的なキャラクターのせいだろうか
 意外なところで特撮ものにご出演されている。<ウルトラマンA>の牛神超獣カウラ、<ウルトラマンレオ>の円盤生物ブニョ…ヒッピー風の青年高井が牛神男となり、カウラに変身したり、妙な顔のエイリアン、ブニョだったり…幅が広いな…
 西田健さん曰く、日本のトミー・リー・ジョーンズである。トミーに負けないくらい活躍して、大人の渋さを世のお子様達に見せつけて欲しい。歳をとるのもかっこいいんだぜ!って
名前 蟹江敬三(かにえ・けいぞう)
生年月日 1944年10月28日
主な出演作 <ウルトラマンA>(1972)、<元禄太平記>(1975)、<野々村病院物語>(1981)
<鬼平犯科帳>(1989〜99)、<闇の狩人>(1994)、<葵・徳川三代>(2000)ほか
MEMO 鬼平犯科帳の小房の粂八役以来いい人の役が多い