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図書館に関するデータで遊ぼう

貸出し密度と図書館の床面積の関係

図書館ってどれくらいの広さがあるものなのか、データをあれこれいじって考えてみました。

下の表は人口15万人以上の公共図書館のデータのうち(日本の図書館2001 (社)日本図書館協会)、貸出し密度7冊/人以上の図書館のデータを、貸出し密度の高い順に示したものです。これは人口15万人以上の公共図書館の上位20%にあたります。ちなみに、上位10%は貸出し密度8冊/人以上となります。

貸出し密度:貸出し冊数/人口(人口1人当たりの貸出し冊数)
総床面積:分館がある場合、全部床面積の合計

県番号市名貸出し密度
(冊/人)
奉仕人口
(千人)
蔵書数
(うち児童書)
(千冊)
貸出数
(千点)
総床面積
(m2)
総面積
(ha)
可住面積
(ha)
41佐賀18165488(135)2,9671館 9,37410,3769,538
13調布10196986(216)2,04311館 7,8092,1532,143
12佐倉9174574(123)1,5506館 8,77510,3607,935
13立川8162717(180)1,3359館 8,0912,4382,417
13西東京8177643(149)1,3776館 5,4401,5851,572
15長岡7190577(157)1,4245館 9,03826,24517,489
13三鷹7164571(177)1,1265館 5,5191,6501,647
13日野7163625(129)1,1119館 5,5542,7532,644
35宇部7172354(81)1,1721館 4,09421,03811,566
23安城7157473(144)1,0481館 3,94531,7433,862
14小平71711,175(325)1,13610館 10,5792,0462,035

貸出し密度上位館で総面積が5,000m2未満のところはまずありません。ほとんど 8,000〜9,000m2です。唯一安城市立図書館は3,945m2ですが、安城市は総面積  31,743ha なのに 可住面積 3,962haという地理的条件が影響していると思い ます。逆に可住面積 3,962haの安城市でも、延べ床面積 3,945m2を確保 しているとも言えます。 「図書館は広いほどよく本が借りられる」と言いきるのは早計でしょうが、活発に利用されるにはある程度の広さが必要なのでは? 東京など広い場所を確保しにくいところでは、調布市のように小さな分館をたく さん作ることが好感されているのかもしれません。

延べ床面積が広くても、利用されない図書館はあるでしょう。 十分なスペースをもちながら、何が要因で貸出し率が低いのでしょうか? 本が貸し出されなくても、他の方法で図書館が利用されていればもちろんそれでいいのです。 どちらにしても、その町に住んでみなければなかなか分からないことではあります。

人口15万人以上の都市の他の館についても計算してみましたが、表をここに載せるのは読みにくくなりそうなので省略します。また、図書館の広さだけではなく、蔵書数も合わせてみてみる必要があるでしょう。


蔵書冊数と抜けていた佐倉市立図書館のデータを追加しました。(色の違う部分)

蔵書が多いからといって、貸出し冊数が多いとは限らないように見えます。人口が同程度だということは資料費も似たりよったりなのか、蔵書冊数と貸出し数の関係は全然わかりませんでした。では、何が貸出し冊数の多さに関係してくるのでしょう。蔵書構成でしょうか?新刊書の割合でしょうか?

かくして、データ遊びはまだ続くのでした・・・。