アイヌの模様
始め「文様が魔よけ?」と疑問でしたが、萱野氏の縄模様ー魔よけは、神社のしめ縄にも通じるものがあって、「なるほど」でした。

参考リンク集

+++ アイヌ語豆辞典 +++ 民族衣装に見るアイヌ文化 +++
http://www.jeton.ne.jp/users/k-one/ainu01.html

フリイさんのページ具体的な模様はこちらで。
http://www.na.rim.or.jp/~hakusan/ainu01.html


――2001.11.17の木彫り・刺繍講習会の当日に配布した資料です――

 

アイヌ民族の文様について

 

女の文様(刺繍)

イカルカルといって、着物、きゃはん、手甲、ぼうし、敷物などのすべての織物に文様のし しゅうや、もようを切りぬいて縫いつけるものでした。 地方により色々な差があります。例えば北海道アイヌと、樺太にくらしていた樺太アイヌの 文様には、はっきりした違いがありますし、昔は服を見るだけでどこの出身のアイヌか知る ことができたそうです。
<北海道アイヌ>太い直線と細い線のししゅうを組み合わせたものが多く見られ る。あまり多くの色彩は使わず、おちついた地味なできあがり。
<樺太アイヌ>美しい原色を多く使って、細やかな手法にすぐれている。オロッ コやギリヤークの文様の影響。 (第2図参照)
アイウシ、モレウなどが基本的なモチーフ

  <アイウシ>       <モレウ>     <シク>    <ウタサ>
 

魔よけの意味がある
ゆるやかに曲がる線モレウは、縄紐自体におそらく結界的意味性があるとみているようです。 「着物のまわりに縄模様の刺しゅうをする考え方の中には、畑や山で子供を寝かせたまわり にぐるりとタラ(背負い縄)をめぐらせるのと同じ考え方があるように思います。どんな魔 人でも、この縄より内側へは入れないものと信じられていました。自分たちの着る着物の袖 や襟、それにすそまわりに縄を張ることによって、魔物が体内に侵入できないようにとの願 いがこめられていたと考えています。(萱野)」
模様が入っているのは、襟、袖口、裾、背中であり、一番無防備で、魔人が侵入しやすいと ころなので、文様によってそれを防ぐ意味がありました。特に背中は自分では見えないとこ ろですから、ひときわ目立った大胆な文様を刺繍して守ってもらわなければなりません。
 

男の文様(木彫り)

イヌエといって、シカのつのや動物の骨に彫ったり、木でつくった器、刀のさや、ツキパス イや日用品のすべてに彫りつけました。 たいへん緻密な模様で、身につける者の技量を示 す役目もしました。 たくさん種類があって、おもに、おぼんかツキパスイに彫られているもので、自然のくらし のなかから見つけたものと、外国から手に入れた衣服などの模様から考えついたものでした。
 
参考文献・URL
『アイヌのむかし話』 四辻一朗著 国土社 
『アイヌ 海辺と水辺の民』 大塚和義著 新宿書房 
『アイヌ文様と衣装のいろいろ』 関東ウタリ会編
http://www.allforest.jp/top.html (フリイさんのページ)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/2648/lernejo/ikarkar01.htm(珍獣の館)
http://www.jeton.ne.jp/users/k-one/ainu01.html 


男の文様:イヌエといって、シカのつのや動物の骨に彫ったり、木でつくった器、刀のさや、ツキパスイや日用品のすべてに彫りつけました。
 たくさん種類があって、おもに、おぼんかツキパスイに彫られているもので、自然のくらしのなかから見つけたものと、外国から手に入れた衣服などの模様から考えついたものでした。
女の文様:イカルカルといって、着物、きゃはん、手甲、ぼうし、敷物などのすべての織物に文様のししゅうや、もようを切りぬいて縫いつけるものでした。
 アイヌ文様を正しく知るいちばんたいせつなことは、北海道アイヌと、樺太にくらしていた樺太アイヌの文様には、はっきりした違いがあることです。
北海道アイヌ:太い直線と細い線のししゅうを組み合わせたものが多く見られる。あまり多くの色彩は使わず、おちついた地味なできあがり。
樺太アイヌ:美しい原色を多く使って、細やかな手法にすぐれている。オロッコやギリヤークの文様の影響。

『アイヌのむかし話』 四辻一朗著 国土社 p100-109
アイヌ民族が登場する児童書
アイウシとモレウを基本的なモチーフにしている。
萱野茂の体験に根ざした見解によれば、「アイヌ語の世界では、モレウおいう単語以外に聞いたことがない(萱野)」。ゆるやかに曲がる線モレウは、縄紐自体におそらく結界的意味性があるとみているようである。「着物のまわりに縄模様の刺しゅうをする考え方の中には、畑や山で子供を寝かせたまわりにぐるりとタラ(背負い縄)をめぐらせるのと同じ考え方があるように思います。どんな魔人でも、この縄より内側へは入れないものと信じられていました。自分たちの着る着物の袖や襟、それにすそまわりに縄を張ることによって、魔物が体内に侵入できないようにとの願いがこめられていたと考えています。(萱野)」

*大陸の民族の模様との比較ができる地図もおもしろいです。

『アイヌ 海辺と水辺の民』 大塚和義著 新宿書房 p44-45