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NPO(Non-Profit Organization)のこと


参考:
SilverNet http://www.jca.apc.org/silvernet/npo.html
『ボランティアの時代』 田中尚輝 岩波書店
『NPO法人を作ろう』 米田雅子 東洋経済新聞社


店主紹介で近くの図書館の仕事がNPOに委託されたということがきっかけで、 「NPO、NPOというけれど、NPOって何?」「非営利団体ということは知っているけれど、じゃ運営費はどうなってるの?」ということから調べはじめました。 関連本を読んでいるうちに、考えさせられることがいろいろ出てきたのでメモしておきます。

非営利ということ

まず「非営利」とは「無償」とは別の概念だということです。「利益を関係者に分配しない」けれど、「財・サービスを提供することで利益をあげてはいけない」ということではありません。利益を上げる収益活動を行ってもよく労働の対価としての謝礼や給料も支出できます。それを越える利益があっても、NPO会員には分配せず、事業のために再投資されます。

株式会社では、この「利益」は株主に分配(配当)されますね。 NPOはボランティア団体とも違います。ボランティア団体では、会長にも事務処理をしている人にも給料など支出されません(必要経費は別です)。

この点が難しいところで、私も常々思い悩むところです。社会のためになるなら給料など貰えなくても活動していくんだ、という方もおいででしょう。 しかし凡人の私など、手間がかかるばかりで面白くない作業をしていると、「こんなこんなことしてるまに仕事したら、いくらになるかなぁ」と考えてしまいます。そして、「ただでやってあげてるんだから、仕事の質はどうでもいいでしょう」という気持ちが出てきます。

ボランティアが、都合の良い時間に好きなことをして、なおかつそれが誰かの役にたつようにというには、どうしても個々人をコーディネートする人が必要でしょう。このコーディネートは短時間でちょこちょこっとできるものでしょうか?担当する人数にもよりますが、常に全体に気を配り相談にものり、ボランティアを受け入れる(サービスを受ける)側が快適でな思いでいるか常に意識するには相当のエネルギーが必要です。私だったら無償でこんな仕事をする気にはなれません。

日本のNPOで給与を受け取れる役員は、全体の役員総数の3分の1以下です。他の人は無給のボランティアなのですから、この有給・無給の境が頭の痛いところですよね。田中尚輝氏は「解決するには一方的に有給職員の能力を高めること」と言っています。

運営のしかた

実はこの項目が一番興味深かったです。NPOだけでなくボランティア団体、サークルの運営にも共通することだからです。以下、『ボランティアの時代』から、なるほどと思ったところを抜粋します。

必須条件は「使命」である。人は、お金のみによって働くのではない。「ラジカル・ウィル」よる行動はお金よりも大きなエネルギーを出す場合がある。使命にもとづいて活動の目標や課題が設定されますが、目標は達成されると全てが終焉してしまう。多くの団体が自然消滅していくのは、使命が不明確であるためである。使命を具体化するに「なぜ、このような活動をしなければならないのか」、「行政がおこなえばよいのではないか」、「このようなことをすれば、対象者の自立を阻害するのではないか」、「どのような状況になれば、使命を達成したといえるのか」、「ボランティアが活動中に事故をおこしたらどうするか」などという議論を、多くのメンバーの参加を得て行い、全体の意思を一致させなければならない。

NPOには企業にあるような「強制力」(給与と引き換えに利益をあげなければならない)がないのだから、ボランティア達の自発的な善意を効果的に組み合わせて大きな成果を得て、参加メンバーの充実感を確保することによって活動への意欲を喚起するしかない。

使命を明確にしなければいけないのはわかりました。しかし、使命とは漠然としたものになりがちです。目標や短期の課題を次々定めていくことが充実感・達成感につながると思います。 「達成」についても興味深い記述がありました。

「自己評価」とは、自己を自分もしくは他者にむかって開示し、自己の長所と弱点を見直し、 的確に備えるものです。(田中弥生氏による) ”自己満足型”ボランティアであれば、自己評価は必要ないであろう。 評価する前から答えはあきらかであり、「自分はすばらしいことをしている。 相手は喜んでくれている。私は幸せだ」ということになるからである。”自己実現型”ボランティアや NPOは、こうであってはならない。自分の活動を他人が見ても分かるように整理し、 「自己の長所と弱点を見直し、的確に把握して、次のステップに備え」なければならない。

ボランティアやNPOの活動をする人たちには、思い入れの強い人が多い。 こういう人たちの陥る危険性は自己を客観的に見ることができず、主観主義に陥ることである。 だが、収支計算書(一般にいう「決算書」)や予算書をつくれない組織が社会に対して 重要な役割を果たせるわけがないのだ、ということを肝に銘じてほしい。

資金はどう作る

運営費はどうやって調達するのでしょう。 NPOを運営していくための人件費を含めた活動資金源は、参加会員からの会費徴収や、サービスを提供することによる事業収入、そして民間企業からの寄付金や政府からの補助金などが主流です。 補助金は申請しても下りるかどうかわかりません。補助金が特定のNPOには必ず必ず入るということになると問題です。「裏でなにかあるのか」ということだし、NPOの有給職員は給料だけもらっていればいいのですから、質が下がります。 米国では、NPOに対する寄付金については、その金額分が寄付した人の所得額から控除される税制特権が認められていて、「企業からの寄付金」がNPOの活動を活発化させています。  日本で同様の恩恵を受けられるのは「特定公益増進法人」という団体に該当します。特定公益増進法人は公共法人、公益法人の中でも「公益の増進に著しく寄与する法人」と判断された場合にのみ認められる特別な法人格です。

安定しているという意味では参加会員からの会費が一番です。NPOには、会員が「お金を払ってでもサービスを受ける価値がある」という「売り」が必要なんですね。

図書館の仕事とNPOについて(工事中)

図書館をNPOで運営するというのはどういう仕組みになっているのか、身近なところのを調べてみますか。