「妊娠中毒症と貧血の予防のための健康管理(食事)」

妊娠中毒症

妊娠中毒症は主に妊娠30週ごろからあらわれる妊婦特有の病気です。
原因はまだはっきりしていませんが、妊娠の経過に伴うからだの変化や胎児の成長に母体が適応しきれない時に起こると考えられています。
悪化すると、早産や死産の原因となるばかりでなく、母体の生命も脅かすようになるので、日頃から妊娠中毒症の早期発見と予防に心がけましょう。

「妊娠中毒症の症状」

  • 高血圧:最高血圧140mmHg、最低血圧90mmHgを超えるようになる。 
  • タンパク尿:尿にたんぱくが出るようになる。
  • むくみ:足の甲やすねを押すとはっきりとへこみの残るようなむくみが出る。

「予防」

  • 妊娠初期から睡眠、休息を十分にとり過労を避ける。
  • 良質の動物性たんぱく質、植物性脂肪などの栄養を十分にとり、 塩分はひかえめにしましょう。
  • 妊娠中毒症は早期に発見して日常生活に気をつけていれば悪化することはありません。


妊婦の貧血

妊婦が貧血になると、胎児に十分な酸素と栄養がいきわたらなくなり、胎児の成長が悪くなります。
また、母体の出産時の出血に対する抵抗力も弱まり、産後の回復が遅れたりします。

「予防」

  • 貧血を防ぐには、栄養のバランスに注意し、特に妊娠初期から赤血球のもととなる栄養を多く含む食物をとることが大切です。
  • 鉄分、たんぱく質、ビタミンを多く含む食物(レバー、卵、肉類、緑黄色野菜、海草類など)は、貧血の予防に効果があります。
*実際に貧血だと分かった場合は医師の指導で増血剤を1・2か月服用することで、かなり改善されます。


妊娠中の食生活の注意事項

  1. ボリュームより質のよいバランスのとれた食事
  2. 良質の蛋白質・カルシウム・鉄分を含む食品摂取を増やすこと
  3. 一日にお30種類、一週間に70種類以上の食品のとれるメニュー
  4. インスタントやレトルトなどの加工食品が多くならないようにする。
  5. 動物性脂肪や砂糖分の摂取は控える
  6. 野菜は色の濃い野菜や根のものの利用を心がける。サラダだけでは、量や種類が不足する。
  7. 薄味になれる。
  8. 海草や緑黄色野菜、大豆製品などの植物性食品に含まれる鉄分は動物性蛋白質やビタミンCと同時に取ると、吸収率がよくなる。
  9. 果物は野菜の代わりにはならない。果物の取りすぎはエネルギーの取りすぎになるので気をつける。


妊娠による体重増加の指標

赤ちゃんの出生時の体重は、約3Kg。羊水や胎盤などを加えても全部でせいぜい4Kg。母体の妊娠による変化(乳房、子宮の増大、血液の増加)が3Kg。妊娠中増えた体重の残りは、お母さんの体の脂肪ということになります。
一般に体重増加は10Kgまでに抑えるように指導されますが、理想は7Kgとされています。

厚生省では現在、妊娠中のい女性の栄養所要量を、前半期で1日1950Kcal、後半期で2150Kcalと指定しています。(妊娠していない女性は1800Kcal)

但しこれらは、妊娠前の体重バランスが標準的な場合について言えることで、実際には個々のケースによって、適切な体重増加の値は異なってきます。

出産前の定期検診などの機会に助産婦さんや保健婦さんなどからあなたに適した食生活の指導を受けることが大切です。


食事指導について

保健婦さんたちは、検診などの結果から、あなたに合った食事指導をしてくれます。

ここではその場合一般的に広く使われている「四群点数法」によった食事管理について女子栄養大学出版の食品80キロカロリーガイドブックを例にしてしその利用法を説明します。

四群点数法とは

  • 食品を栄養的な特徴によって、四つのグループに分ける。
  • 食品の重量は80キロカロリーを一点とする単位(エネルギー点数)で表わす。
  • 一日に食べるべき食品の量を第一群〜第四群ごとにエネルギー点数で示す。

第一群乳・乳製品/卵
第二群魚介・肉類/豆・豆製品
第三群野菜/芋類/くだもの
第四群穀物/砂糖/油脂/その他嗜好品

実際に食べた量の計りかた。

食べる前と食べた後の重さを計って、その重量の差が実際に食べた量

調理には、計量カップや計量スプーンなどを使って、全体のカロリーを正確に把握できるようにしましょう。

ガイドブックではこの四群点数法で一点とされる食品の量の目安として各食品ごとに一点分の量の写真が掲載されており、目で見て直接把握できるようになっています。そのため、日本語の出版物ですが写真情報によって、カロリー計算を行うことができます。

一部調味料などについて写真では判別できないものがあるので 以下に追加資料を掲載します。括弧内は掲載ページを表わします。

第一群
調整粉乳(24P) 1点=16g
クリーム高脂肪(24P) 1点=19g
脱脂粉乳(24P) 1点=23g
加糖練乳(25P) 1点=25g
ヨーグルト脱脂加糖(26P) 1点=110g
加工乳濃厚(26P)1点=120g
加工乳普通(26P)1点=130g
ヨーグルト全脂無糖(27P) 1点=135g
卵豆腐(27P) 1点=140g
普通牛乳(27P) 1点=140g
加工乳・低脂肪(27P) 1点=160g
第二群
みそ(73P) 1点=45g
豆乳(75P) 1点=175g
第四群
もち(101P) 1点=35g
上白糖(108P) 1点=21g
水飴(108P) 1点=25g
蜂蜜(109P) 1点=28g
りんごジャム(109P) 1点=30g
いちごジャム(109P) 1点=30g
オレンジ・マーマレード(109P) 1点=30g
メープル・シロップ(109P) 1点=32g
植物油(110P) 1点=9g
ラード(110P) 1点=9g
マーガリン(110P) 1点=11g
バター(111P) 1点=11g
マヨネーズ(111P) 1点=12g
フレンチ・ドレッシング分離形(111P) 1点=21g
フレンチ・ドレッシング乳化形(111P) 1点=24g
ピーナッツ・バター(113P) 1点=14g
濃厚ソース(138P) 1点=65g
ウスターソース(139P) 1点=70g
めんつゆ(139P) 1点=100g
濃い口醤油(139P) 1点=140g
酢(139P) 1点=500g

画像資料及び四群点数法の概要については、女子栄養大学出版の許可を得て引用しています

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