褥創・このいまいましい奴

Mr.Hiromichi Mukaibou, "WORKING QUADS" writer

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発信人:向坊 弘道
FROM; MR.HIROMICHI MUKAIBO.
グリーンライフ研究所. 向洋興産株式会社.
GREEN LIFE INSTITUTION IN JAPAN.
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ADDRESS; 3106 ARIGE, KITAKYUSHU
CITY, 808-01 JAPAN.
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WORKING QUADS 12号・原稿


向坊弘道さん、自宅の電動ギャジベッドで休んでいるところ

 ◆ 褥創・このいまいましい奴


 褥創がやっと15年ぶりに治ったよ! と喜色満面の友人にうらやましく思い
ます。しかも、彼は脊損だから、頸損の私はそれ以上の時間をかけないと治らな
いのが道理です。それを考えると暗澹たる気持ちになります。毎日2回、傷口を
消毒して手当をし、清潔なガーゼを当てるだけでも大変な根気が要りますが、こ
れを怠ると、恐ろしい菌が身体全部を犯して一晩で死ぬこともあります。

 私の場合、一人暮らしですから、ヘルパーの居ない夜の15時間は寝返り(体
位交換)もできないので、尾てい骨の部分にできた100円玉位の褥創がガンと
して治らないのは当然かもしれません。この部分だけはどうしても血の流れが悪
くなります。深夜に一度でいいから体位交換を!と思い詰めてみても、このド田
舎では近所に住んでいるのはキツネやタヌキばかりで助けにはなりません。

 空気マットや棒枕も思ったほどの効果はなく、手術で皮膚移植という強硬手段
も成功率は低いそうです。どうしたらいいか、皆目見当がつきませんが、一つだ
け強い味方があります。それは、モトクロス用モーターバイクの空気清浄用エ
アーフィルターという素材でできた”寝たきりマット”です。

 このマットは座布団くらいの大きさで、中央の穴を患部に当てると、褥創が完
全に布団から浮いた状態になります。何十年も私の体を保護してきたこの不思議
なマットは、入院中に看護婦さんの不注意で外傷的にできたあの忌まわしい皮膚
剥離さえなかったら、ほぼ完璧に私の尾てい骨の古傷痕を守っていたに違いあり
ません。

 愚痴を言っても始まらないけれど、少しづつ治っている、という担当医の言葉
を信じてがんばらなくっちゃ! と思います。

( 終わり)

(1997年9月29日、『ワーキング・クォーズ』編集部へ電子メールで到着)



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