抗真菌薬(水虫薬)
名  称
構   造   式
用法・用量
作   用
ウンデシレン酸
CH2CHCH2(CH2)6CH2COOH
軟膏剤に5〜10%配合。1日2〜3回。ウンデシレン酸は汗の中に含まれる脂肪酸の一種。皮膚の表面を酸性にして、皮膚糸状菌に対する発育条件を不適化して発育を阻止する。
サリチル酸
液剤、あるいは軟膏剤として、成人では2〜10%配合。大衆薬では5%。角質溶解作用、いわゆる皮がむける状態にして新しいケラチン組織を再生しつつ、白癬菌の発育を阻止する。皮膚が化膿している場合には使う前に適切な処置をすること。
チアントール
dimethylthianthrene(上)とditoluenedisulfide(下)の混合物。1日1〜2回塗擦。十分にすり込むことが重要。1919年Bayer社で創製された。糸状菌に強力な発育阻止作用がある。また、皮膚寄生虫(かいせん虫など)に対して著効する。これら作用のほか、著明な止痒、消炎作用を有する。皮膚に対する刺激作用はない。
トルナフタート
軟膏(2%)を1日2〜3回塗擦。
白癬菌、小胞子菌、表皮糸状菌類にのみ、選択的抗菌性を示す。白癬菌に対しては、ごく低濃度でも抗菌活性を示す。
ピロールニトリン
1%軟膏1日1〜3回塗布。
ただし、大衆薬では、0.2%ピロールニトリンと抗菌スペクトルの異なるクロトリマゾール0.4%を配合して使用(ピロエースW)。
糸状菌(Trichophyton interdigitale,Trichophyton asteroides,Microsporum gypseum,Epidermophyton floccosum)に効果。
クロトリマゾール
1%液、軟膏、クリーム。1日2〜3回塗布。真菌細胞の細胞膜、核膜などのリン脂質分子に特異的親和性で結合し、それらの透過性を変化させ、すぐれた抗真菌作用をあらわす。また、カンジダにも効果がある。
ビホナゾール
液、クリーム1%。1日1回塗布。皮膚糸状菌、酵母類、癜風菌などに優れた抗真菌作用がある。細胞膜の構造・機能を障害し、抗真菌作用を発現。1日1回の塗布で効果を現すが、2度塗布すれば、さらによい効果となる場合もある。
硝酸エコナゾール
液、クリーム1%。1日2〜3回塗布。抗菌スペクトルが広く、皮膚糸状菌以外、放線菌やグラム陽性菌にも強い抗菌活性を示す。殺真菌作用が強い。細胞膜の物質輸送と透過性障壁を阻害し、細胞発育阻止または細胞死に至らしめる。
硝酸ミコナゾール
クリーム、液1%。1日2〜3回塗布。
大衆薬では、局所に薬物をとどめるように設計して、1日1回の塗布にする製剤がある。
白癬菌属、カンジダ菌属、アスペルギルス属、クリプトコックスなどの諸菌に強い抗菌作用。低濃度では主として細胞膜透過性を変化させることにより抗菌作用を示す。また、高濃度では細胞の壊死的変化をもたらし、殺菌的に作用する。
硝酸オキシコナゾール
液、クリーム1%。1日2〜3回。
大衆薬では、局所に薬物をとどめるように設計して、1日1回の塗布にする製剤がある。
抗真菌活性は、直接的細胞膜障害作用により発揮される。また、低濃度域での部分的発育阻止効果には、エルゴステロール合成阻害作用が関与している。
シクロピロクスオラミン
液、クリーム1%。1日2〜3回塗布。皮膚糸状菌及び酵母類に広く抗真菌作用を示し、その作用は殺真菌的である。多くのグラム陽性、陰性の細菌類にも抗菌作用を示す。作用機序は真菌細胞膜の輸送機能を阻害することによる。


水虫薬立体構造

おのおのの立体構造が似通っていることがわかります。ビフォナゾールは塩素を含んでなく、分子構造から、炭素が主体であり脂肪に溶けやすい性質を持っていることが推察されます。このため、皮膚などにとどまっている時間が長く、一日一回で効く理由となっているのでしょう。



抗真菌薬の抗菌スペクトル



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