下痢止め(止瀉薬)
医薬品名
構 造 及び 性状
常用量
作用・適用
副作用及び注意
クレオソート
モクタールから得たフェノール類の混合物(wood creosote)。グアヤコール、メチルグアヤコールなど10種類以上のフェノール誘導体を含む。
1日最大0.5g殺菌作用。他の整腸生薬と配合されて止瀉薬とする(正露丸)。
ゲンノショウコ
ゲンノショウコの地上部。タンニン酸(葉約20%、茎5%)が主成分。
粉末1日最大3g。タンニンによる整腸作用。止瀉作用。
タンニン酸アルブミン
アルブミン(乳性蛋白などに由来)とタンニン酸が結合し、かつ加熱硬化処理をしたもの。
1日最大量4g。水に溶解しないため、口腔、胃ではタンニン酸の収れん作用は現れず、腸にいたってはじめて膵液により徐々に分解してタンニン酸を遊離して、全腸管にわたって緩和な収斂作用を及ぼす。胃腸障害を起こしにくい。止瀉作用。長期大量で、肝障害。便秘、食欲不振ほか。
塩化ベルベリン
塩化ベルベリン
1日最大0.3g。 腸内殺菌作用、腸内腐敗・発酵抑制作用、創面治療、抗炎症作用、蠕動抑制作用、胆汁分泌作用。
下痢症に用いる。
便秘など。
タンニン酸ベルベリン
ベルベリンとタンニン酸の化合物で、ベルベリンとして約30%含んでいる。
1日最大0.3g。 腸内でベルベリンとタンニン酸に分解され、その部位での殺菌作用とタンニン酸の収れん防腐作用が発揮される。
下痢症に用いる。
ときに便秘など。
次没食子酸ビスマス
次没食子酸ビスマス
1日最大2g収斂作用により消化管粘膜に被膜を形成し、粘膜の感受性を低下させ、二次的に蠕動運動を抑制する。また、腸内の硫化水素と結合して、、ガス刺激を緩和する。これらの作用により止瀉作用を現す。間代性痙攣、昏迷、錯乱、不安、不快感、記憶力減退、頭痛、無力感、注意力低下、振戦、吐き気、食欲不振、歯肉縁、舌、口腔内等に青色又は青黒色の着色ほか。
塩酸ロペラミド
塩酸ロペラミド
1日1mg。 腸管に選択的に作用し蠕動を抑制するとともに腸管における水分・電解質の分泌を抑制、吸収を促進。
下痢症に用いる。
著しい便秘、過敏症(発疹)、腹部膨満、悪心、嘔吐、食欲不振、口渇、眠気、めまい、肝障害ほか。

注意:常用量は、大衆薬配合量の1日量の最大値を示してある。


整腸作用の活性生菌 ほか
商品名*
構造式又は性状
常用量
作用
ラクボン
有胞子性乳酸菌
Lactbacillus sporogenes
1日3〜6g。
1日3回に分割
(1g中20mgの菌体を含んでいる場合)
腸管内で発芽・繁殖。乳酸菌を産生して腸内の腐敗細菌群の増殖を抑制。
アンチビオフィルス
耐性乳酸菌(アシドフィルス菌)
Lactobacillus acidophillus
1日3gを3回に分割。
(1g中生菌107〜109個含有している場合)
腸内細菌叢の乱れを防ぎ、菌交代現象及び下痢・鼓腸などの胃腸障害を改善する。抗生物質投与時においても腸管内でよく増殖する。
ビオスミン(ビオフェルミン)
ビフィズス菌
Bifidobacterium bifidum
乳酸菌(フェーカリス菌)
Streptococus feacalis
1日3〜6gを3回に分割。
(1g中ビフィズス菌0.2mg、フェーカリス菌0.1mg含んでいる場合)
ビフィズス菌は乳酸と揮発酸を産生して、腸内菌叢の正常化をはかり、整腸作用をあらわす。フェーカリス菌はビフィズス菌優位の菌叢に導く。
ミヤリサン
宮入菌
Cl.butyricum V.Miyairi
1日1.5〜3gを3回に分割。
(1g中20〜40mgの菌体を含む場合)
胃酸、胆汁酸、消化酵素などの影響を受けず、腸管内で宿主固有の乳酸菌群などと共生しつつ増殖し腸内菌叢の異常を改善。
抗生物質による腹部症状の改善。宮入菌は緑膿菌、Proteus、Candida等の病原性細菌の発育を阻止。
ガスコン
(ジメチルポリシロキサン)
ガスコン1日120〜240mg。食後又は食間、3回に分割。胃腸内のガスに起因する腹部症状の改善。胃腸内に無数に存在する小さなガス気泡の表面張力を低下させて、遊離気体に合体させる。その結果、腸内ガスは血流に吸収されやすくなるし、又あくび、放屁となって体外へ排出されやすくなる。有機ガスは血中に吸収され、空気又は無機ガスは体外に排出される。

*注意)商品名は医療用に用いられる場合の商品名で、大衆薬の同名製品のことではありません。大衆薬の整腸薬はこれら又は同種の菌を数種類配合している場合が多いです。
注意)O-157などの病原性大腸菌による下痢が疑われる場合は下痢止め(止瀉薬)は使用しないこと。ただし、整腸菌類は大丈夫です。

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