3日目 Toulouse Matabiau →
Carcassonne
トゥールーズのホテルで朝の6:30から朝食を取る。短パンをはいた元気なご老人たちがボンジュールと挨拶をしてくれた。7時にチェックアウトして徒歩でトゥールーズマタビュー駅へ。20分かかった。TGVに乗って次の駅がカルカッソンヌ。降りる時は、手動で扉を開けないといけないらしいが、早めに準備をしないと落ち着かないので到着5分前に荷物をまとめて扉の付近へ行ったら他の客は誰もいない。先頭に降りるのか?扉をちゃんと開けられるのか?とドキドキしながら到着を待つ。黒いボタンを押したがすぐに開かない。3回くらい押したらようやく開いたが、もしかして自動で開いたのかも?よくわからないままに列車を降りた。45分くらいなので検札も来なかった。日本と違って改札口が乗る時も降りる時もない。
駅のトイレは有料で、0.3ユーロ必要だった。これも経験だから見てみようとコインを入れてみた。
中はけっこう広い。3畳間くらいあるんじゃないかと思う小部屋の右端にぽつんと、まるで和式便所のような穴が。よく見ると壁際にボタンがあってそれを押すと壁に沿って収納されていた金属のパイプの便座が直角に降りてくるのである。でもこれ小の時は座って使えないんじゃないかな? まあそれはいいとして(いいのか?)、その反対側の壁に手洗い場があって、石鹸も水もセンサーで自動で出るし、エアタオルもある。こうしてトイレ観察及び用足しを終了。
カルカッソンヌ駅からミディ運河を通過して20分くらい歩いてトロワトロンヌホテルに着いたのが午前9時頃。ホテルのチェックインは13時過ぎということだったので大きな荷物だけ預けてカルカッソンヌのシテへ。
ホテルのすぐ前がポン・ビュー(旧橋)だ。橋のずっと向こうに童話に出てくるような城が見える。橋を渡ってしばらく歩いて入城。モン・サン・ミッシェルのように小路沿いには土産物屋がいっぱい。
コンタル城を少し見てから英語の解説つきツァーに加わる。コンタル城や外郭、内郭などは自由に見て回れるが、見張り塔など、この解説員が随行しないと入れない場所があるので、見学する時には解説員つきツァーに参加するべきだ。フランス語解説であればだいたい30分ごとに出発しているが、英語は午前と午後各1回だけ。日本語ツァーはない。中庭にツァーの時間を書いてある掲示板があるのでそのあたりに集まっていると解説員がやって来る。この時間の英語の解説員は若い女性だった。はっきりした聴き取りやすい英語で話す。司教の塔や異端審問の塔など見て歩いたが、塔の中は強い風が吹上げてくるので、帽子を飛ばされないようにと注意があった。螺旋階段がとても狭い。右回りと左回りとあるがその違いに何か理由があるのかはわからない。45分間のガイドが終わると大聖堂の近くに出る。フェンスで囲まれた行き止まりになっていて、その出口から出されるとツァーで回った(解説員の随行が必要な)箇所にはもう戻れない。ツァー限定区域以外はまた自由に見学できる。聖堂内を見てから土産物屋を回り、また入り口に戻ってコンタル城の売り場に戻る。ここで少しお土産を物色。「The
Parchment」というつまり羊皮紙について書いてある小冊子(8.5ユーロ)を発見。フランス語版と英語版があったが英語版を1冊買う。羊皮紙のなめし方や写本のような美しい文字と絵の描き方とか、略符の説明などあってしかもフルカラーで見ているだけでもきれい。これを1冊しかこの時買わなかったのだが、ラテン語を一緒に勉強しているお友達と先生にこれをおみやげにすればよかったと後ですごく悔やんだ。(パリの書店でも後で探してみたが見つからなかった)。
午後2時頃、土産物街にあるレストランでオムレツとサラダを食べた。スペイン系な感じの店員の女性が感じよく、私の夫が昼飯を撮影しようとオムレツにデジカメを向けていたら、「Avec Madam!(奥さんと一緒に)」と言って私の隣に座ってポーズを取った。
この後もまだ城内をぐるぐる散策。中世の香りたっぷりで幸せな時間を過ごした。出口付近の小さな土産物屋に入ってカルカッソンヌの名前入り指貫(ゆびぬき)を8個買った。日本の指貫は指輪状になっていて指を通して使うが、ヨーロッパの指貫はカップ型をしている。カップの底に針の頭があたる小さい凹みがあって、金属製か陶器製で、カラフルな模様なども描いてあってなかなかかわいいのだ。刺繍の時に指の先にはめ、凹み部分に針の頭(糸が通っている方)を当ててぐいっと押し込むのに使うらしい。
店主のおじさんに「これはフランス語でなんと言うのですか」と訊いてみたら
「デ」と言った。メモを渡して書いてもらったら「1 de, 2 des」(deのeの上にアクセントがついている)と書いてくれた。不定冠詞のdeかと思って、いや名前を知りたいんですが〜と言うと、それが本当に指貫の名前なんだそうだ。
失礼しました。おじさんにお礼を言って店を出た。
ホテルに戻ってチェックイン。ところが部屋番号に従って行ってみると、窓からカルカッソンヌが見えない位置だ! 窓からカルカッソンヌが見えると旅行案内書に書いてあったのにちょっとショック。しかし後でよく考えると、旧橋の前にある建物に邪魔されて、3階まである客室のどの部屋からもカルカッソンヌは見えない。4階のレストランからの眺望が売りらしい。レストランは午後10時までで、フランスのこの時期は午後10ぐらいまで明るいのでライトアップされた夜景を見るには夜遅くに外へ出なくてはならない。
朝から5時間以上歩き続けて疲れたが、少し休むと夕食の買い出しに。駅には何もなく、駅から戻る途中にある「MONO PRIX」というスーパー?みたいなショップに入る。食料品だけでなく、衣料品や化粧品も売っている。ここで飲み物などを買い、さらに歩いて別のパン屋でサンドイッチを買う。サンドイッチといっても食パンではなくフランスパンにハムなどが挟んであるやつだがなかなかおいしい。夫はチーズが苦手なのでハムサンドを、私はチーズも入ったのを買うのだが、ブルーチーズが少し入っていた。日本のサンドイッチでブルーチーズって見たことないな。しかし、そんなに食べにくくはない。私にとってありがたいことは、苦手なカラシが入ってないことだ。日本のフランスパンに比べてフランスのパンは中がわりとしっとりしている。毎晩これですますのも寂しいのだが、割と気に入っている。
夜、ライトアップしたカルカッソンヌを見ようということでまたまた外出。昼間行った時は、外郭と内郭の間を(カルカッソンヌの城郭は二重構造で、その間を歩き回れる)半周しかしていなかったので逆回りに歩いてみた。本当に石だらけだ。石の文化。
半周した所で人気が少なくなったことに気づき、ちょっと怖いかなと思って城郭の外に出た。ちゃんと一周してから出ればよかったのだが、半端な場所から出たために道に迷う。道を尋ねるフランス語をこそこそっと練習してから、赤ん坊を抱いた若い女の人に道を尋ねた。
「この道をまっすぐ右に行くと……」と彼女が射した方角は私たちが行こうとしていたのと逆方向だった。訊いて良かった。少し歩いてから念のため、庭に水やりをしている男性をつかまえてもう一度訊ねてみた。最初は「○○はどこですか」と言いたいことだけ丸投げの私のフランス語だが、何回か訊ねるうちに、「すみません、道に迷いました」など前振りをつけることを覚える(笑)。緊張のあまり地名を噛んでしまうこともあるが、「R」の発音を気をつけるとだいたい通じる。そうこうしてフランス語を学習しながら無事旧橋にたどりついた。ポン・ヌフ(新橋)から写真を撮ると旧橋とカルカッソンヌがセットになっていい絵になるということで、新橋まで行って撮影。この時午後10時ぐらいだったと思うがようやく薄闇になる感じで漆黒の空にライトアップというわけにはまだいかない。カルカッソンヌのシテの城郭のところにぽつんぽつんと設置されていたライトの前に人が立っているらしく、人の影がくるくる動くのが遠くからでも見えてユニークだ。
↑カルカッソンヌの城塞遠景
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