最適生産システムの構築


1.最適生産システムとは、次の条件を満足する生産方式がシステム化されている。

@生産ラインの条件(最適ライン
・素形材ラインから加工ライン〜組立ラインの各ライン間が一連の流れに成っている。(工場全体同期生産)
その結果、「停滞ポイント」が極少であり、「購入在庫」「仕掛かり在庫」「完成在庫」はミニマムである。よって「生産リードタイム」は最短である。
・生産の指示は客先の要求量(確定情報)によって「組立」「加工」されている。但し生産量の大きな変動は平準化する仕組みに成っている。
・以上の結果、在庫回転率、総資産回転率などが極めて高いレベルを維持している。

A生産工程の条件(最適工程)(最適作業)
・工程の必要な機能(信頼性、柔軟性、保全性、操作性、安全性、省エネ性、経済性)を充分満足している。特に要求生産量に対する効率的な生産対応を行う条件として、信頼性と柔軟性が最も重要な条件である。
・工程間の生産タクトは同期され、中間仕掛かり在庫もなく全数品質保証されている。(工程間同期生産)
・工程内も部品が作業者の手元に同期した一個取り化、ポリボックス入替えのワンタッチ化など、高い付加価値作業になっている。(工程内同期生産)
・オペレーター(直接員)は設定された標準作業を行い、高い技能で多能工であり、生産量の変動に柔軟に対応出来る。
・監督者、管理者、スタッフは高い固有技術と問題解決能力(現状把握力、解析力、改善力、維持管理力)を持ち、常に改善と維持がされている。
・工程を取り巻く5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が徹底されている。
・専門保全、品質保証、物流などの(準直員)サポート組織が有効に機能している。
・以上の結果「設備(作業)総合効率」が高く、「時間当り出来高」のバラツキが無く、「工程不良、納入不良」がゼロである。

B生産指示、生産進捗、品質など管理の条件(最適管理)
・生産指示情報と生産進捗情報は現場現物で分るように単純化され、「目で見える管理」に成っている。
・品質管理の仕組みと諸管理が徹底されている。その他全ての管理が効率化され「目で見る管理」になっている。

C製品、設備初期管理の条件(最適設計)
・市場(客先)のニーズに合った製品開発と、製品設計段階から生産工程の設計を行うサイマル活動(源流活動)がシステム化されている。
・既存の生産システム改善から生まれた情報を基に新工法開発、より経済的な設備投資計画、工程設計がされている。
・工程の据付けから量産立上げは「初期流動活動」がシステマチックに展開され、垂直立上げがされている。

D原材料、部品の購入面の条件(最適購買)
・最も品質が良く最も安価で安定した原材料や部品を調達するシステムで購入されている。
・調達先メーカー(二次メーカー)が最適生産システムを構築している。

以上の条件の一部を図式に現した(ここをクリック)最適生産方式の図式

2.最適生産システムの構築で得られる成果指標

@経営指標
・工場総資産利益率 ・工場総資産回転率 ・在庫回転数
・売上高工場粗利率 ・一人当り付加価値額 ・付加価値対管理費率
・労働分配率

A品質指標
・重大クレーム件数 ・納入不良件数
・工程不良率 ・手直し率

B納期指標
・未納件数 ・生産リードタイム ・生産遵守率

C原価指標
直労生産性向上率 ・総合能率 ・設備総合効率 ・出来高/人H当り 
・製造原価低減額 ・間接材料費、経費低減額

D安全、スキル、モラール指標

・災害件数 ・国家検定技能者人員 ・多能工化率、ILU比率
・5S評価 ・提案件数/人

3.各種活動方策と「最適生産システム」との相関マトリックス

活動方策 最適ライン 最適工程 最適作業 最適管理 最適設計 最適購買
TPM活動
同期生産活動
現場管理活動
設備管理活動
品質管理活動
購買管理活動

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