新5Sについて
TPMのパート1活動では、5Sが基本の活動であった。TPMパート2活動では、筆者の提唱する下記の新5Sが活動のキーワードとなる。

 1.セフテイー....(安全、環境、防災)
 2.スタンダード...(標準、基準)
 3.スキル......(技能、知識、固有妓術)
 4.スピリッツ....(魂、精神、やる気)
 5.スピード.....(活動の速さ、開発の速さ、サイクル速度

1)Safety(セフティー)…安全、環境、防災 
 工場の最も重要な基盤が安全である。いかなる活動に対して最優先する。どこの工場でも「安全第一」の標語があるが、はたして本当に安全第一になっているのか見直す必要がある。設備や装置ははたして安全なのか、安全衛生に関わる社内標準が整備され運用されているか、従業員への安全教育を第一に行っているのか、安全の最も基本になる5S(従来の)は出来ているのか、指差呼称が習慣化されているのか、KYT活動やひゃりはっと活動が形骸化していないかなど、TPM活動を通して無災害職場の実現と、環境の改善(騒音、粉塵、温度他)、防災面の活動を推進してほしい。
2)Standard(スタンダード)…標準、基準、マニュアル
 あらゆる仕事の標準、基準、さらに仕事や活動を進める上でのマニュアルなどがきっちり整備され、標準、基準に基づいた仕事と、マニュアルに添った活動の推進は言うまでもない。さらに改善によってこれら標準、基準、マニュアルが日進月歩で改訂されなければならない。 最近各企業が推進している、ISO関連の認定もこの標準、基準が整備され、それに基づく仕事になっているかの認定である。 TPM活動では、製造現場の自主保全活動で設備を中心にした清掃、給油、点検基準から、6ステップでは仕事全般の標準、基準の整備を実施する。 事務間接部門の自主保全活動も同様に、整理整頓の基準化から始まり、事務仕事全般の標準の整備を実施する。さらに製品、設備開発管理の活動では、製品および設備のMP情報の収集基準から、設計基準、DR基準、初期流動管理基準の整備を行う。合わせてこれらの活動を推進するマニュアルも整備する事になる。
3)Skill(スキル)…技能、知識
 どんなに優れた標準、基準、マニュアルが整備されていても、これらに基づいて仕事や活動を行うには、人のスキルが無ければならない。 TPM活動では、このスキルの向上を特に重んじている。自主保全、計画保全の活動を通して保全技能と仕事の技能向上を、知識面、実技面で教育訓練が実施される。さらに個別改善の取組を通して、設備や加工の原理原則を学び、要因の解析力を身に付ける事が出来る。また固有技術の向上もこのスキルの向上によって得られる。スキルは企業の財産である。 
4)Spirit(スピリット)…魂、精神、元気
 4番目のSは、このスピリットである。セフテー、スタンダード、スキル、を発揮するには、仕事と活動の「やる気」即ち「魂」が無ければ活力ある工場に成らない。特にTPM活動ではこのスピリットが重要な役割を演じる。 「やる気」の無い従業員にやみくもに「やれ、やれ」と言うだけでは前に進まない。いかに従業員に「やる気」を持たせ、「元気」な工場にするかが、経営者の重要なマネージメントの一つと言える。
5)Speed(スピード)…速度
 5番目のSは、スピードである。セフテー、スタンダード、スキル、スピリットも全て整ったら、あらゆる仕事のスピードを上げる事が競争相手に勝つ事になる。企業体質の改善スピードから、製品の開発から生産立上げのスピードはもとより、仕事のスピード、活動のスピード、改善のスピード、サイクルタイム(タクトタイム)のスピードなど、全てのスピードアップが必要である。    
筆者の[TPM活動]総合目次に行く