2003年7月12日〜20日スイスフライト
キャンプ報告

*インターラーケン周辺地図とフライトトラックデータ入力しました。ここをクリック(210KB)
*画像データ一部変更しました、(FLASHアニメーションの空撮)--9月2日

*参加メンバー(リーダー*ジエネス松永、現地ガイド*カリーアイゼンフット))
小川(宇都宮)、豊田(宇都宮)、菅谷(赤岩)、山本(神の倉)、角田(池田山)、新藤(グランボレ)、大野(山口)、早坂女史(新治小町-中国上海在住)

7月13日(快晴)
インターラーケンのバックパッカーズビラ(バックパッカー用のホテルで中央広場の南側)に宿泊。ここに新たにカリーのChillOut事務所が設置された。
朝一番ここで今回のフライトキャンプの説明と全員のハーネスチェックを行う。初日は軽くニーダーホーンのフライト(標高差1000m)に上がる。筆者一番でテイクオフするが、サーマルが無く沈み、中央広場に届かずツーン湖の辺のLDにランデイング、その後サーマルが元気になり、ほぼ全員ニーダーホーンをトツプアウトして二時間ほどのスイス初フライトを楽しんだ。(筆者のみ初日黒星)
昼食の後カリー撮影のビデオで全員のテイオフの良し悪しの解説。スイスでの事故の8割がテイクオフ失敗によるとのこと。
@立ち上げは風の強さと斜面の角度により立上げ速度を変える。急斜面ではゆっくり。(機体速度が速いと前かぶりになる)
A機体を頭上でブレーク操作で一度止め、見上げて機体の確認をする。(これが最も重要)
B次に走る時は機体の速度に遅れないように。ブレークは最良滑空の操作(機体の前走りが危険)
夕方、シンニングプラッテに登山電車で上がる。ここは数年前に飛んだが、登山電車を降りてからテイクオフまでの登りがきつく二度と登りたくない所、しかし今日はそうも言っていられないので又苦しい登りを我慢する。テイクオフしてしばらく良いサーマルに当たらなかったが西側の壁上でやっとヒットして山頂をトップアウトして約一時間のフライトを楽しんだ。
まずまずの初日フライトでした。

7月14日(快晴)
今日も雲ひとつ無い快晴の朝を迎えた。今日のテーマは「サーマルソアリング」。サーマルの発生する場所、捕らえ方、回し方の講義 、サーマルの中では15%のブレーク操作で左右両方のブレーク操作とサーマルの芯を捕らえるイメージが重要。(その他秘密)
グリンデルワルトのフイルストへ向かう。何時来てもグリンデルワルトの光景はすごい。アイガー北壁を目の前に豪快なフライトが楽しめる。
今日のタスクはテイクオフ後Faulh山頂レストラン(2681m)を回り、次に東の稜線を走ってSchwarzh山頂(2928m)を回り一度西に戻ってから上げ直してインターラーケンの中央広場がゴール(延べ26km)。
念願のインターラーケンにゴールすべく気合を入れてテイクオフする。定番のサーマルポイントで程よいサーマルに乗ってさほど苦労せずに稜線をトップアウト3000mまで上げ山頂レストランを下に見て次のSchwarzh山頂へ向かう、丁度この時にカリーが既に先行していたので後に続くがカリーのオメガ6プロトはとに角早い。みるみる差が開く。
山頂近くの雲の吸い上げで苦も無く山頂をトップアウトする。戻りはかなり高度ロスしたので一度サーマルポイントの谷の方を回りこみここで雲低まで上げ直す。カリーを探すと東の尾根上に待っていたので追いかける。屏風状の尾根の末端でカリーと一緒にセンタリングするが、サーマル弱く獲得高度がなかなか取れない。やっと稜線高度になったので、インターラーケン側に出てシンニングプラッテの北側を回って一気にインターラーケンに直行する。
カリーは時々翼端を折って並走するが、何と筆者のシグマ5と同じ浮きと速度。インターラーケンにランディングすると、何と大野氏が既に機体を畳んでいる。聞けばSchwarzh山頂が雲中だったので途中で引き返したとの事、少しほっとする。
その後あの粘りの豊田氏がパイロンを回って到着した、結局インターラーケン到着は3名で後はグリンデルワルトのLDにランデイングした。(今日は完璧な白星でした)
夕方はバーベキューとのこと。グリンデルワルトへ行く途中の谷にバーベキュー場があり、ここへ行くとカリーのお父さんが既に準備して待っていた。お父さんは筆者と同年齢で一年振りの再会、本人はドイツ語とフランス語で英語が苦手。美味しいソーセージバーベキューにレストランに無い美味しいご馳走に皆んな大満足。

     
 
        

7月15日(晴れ後曇り)
今日は少し雲が出ている。今日のテーマは「XCフライト」。XCフライトの大事なことは
@常に安全なランデイング場を確認し続ける事、
Aサーマルを捕らえたらひたすら上げきる事に専念する、回りの人の動きに気をとられない事、
Bサーマルを上げきったら、回りを良く観察して次のサーマルポイントを判断する、サーマルで上げている人の位置、雲の位置、サーマル雫の垂れるピーク、風向き、日差しの角度。(その他秘密)
今日はあの恐怖のテイクオフのシルトホーへ。ラウターブルネンの谷からロープウェイを3回乗り換えて、007でお馴染みの回転レストランのあるシルトホーン山頂(2970m)に到着。天気予報よりかなり雲が張り出し日差しもなく雨が降りそうな気配、しかも風向きは西風でより安全な東のテイクオフが使えない。
西のテイクオフは8年前始めて飛んだときの恐怖のテイクオフである。2〜30m先が断崖絶壁でテイクオフ失敗すると間違いなくデッド。ただこの事実を知っているのは松永氏と豊田、筆者のみ他のメンバーは知らない(知らない方が良い)。
今日のタスクはテイクオフ後東のピークに向かいこのピークをトップアウトしたらインターラーケンの中央広場まで直行する(15km)。
カリーと松永氏が慎重にテイクオフサポートする為、最後に出る。よってシルトホーンのフライト経験(過去3回フライト)のある筆者が一番にテイクオフする事になった。
テイクオフしてびっくり、左のブレークとDラインが一本絡んでいた。ここは落ち着いて絡んだラインを引き込み直した。回転レストランを回り込むと雲の吸い上げサーマルで山頂をトップアウトする。後続を待つため回転レストラン上空をセンタリング、2番手のガッツな早坂女史が上がってきた。その内に雲中に入り始めたので、東のピークへ向けてスタート。殆ど雲低ぎりぎりなので苦も無くピーク上空へ、ここで後続を待機したいがなにせ雲中に入ってしまうので、早坂女史に走ろうと無線を入れる。後はひたすらフルグライドでインターラーケンへまっしぐら。
結局、インターラーケン到着は5名とカリー、松永氏と2名が飛行場、豊田氏は不運にも途中で突然の大シンクにはまり(多分バレーウインドの入り始めの乱流か?)谷の中の唯一の緊急ランディングに無事降りてヒッチハイクで帰ってきた。(今日もまずまずの白星でした)
夕方久しぶりの(スイスでは二週間振り)サンダーストームとなったが、レストランで豊田氏の緊急ランディングとそれぞれのフライト話しに花が咲いた。


7月16日(晴れ後曇り雷雨)
今日の天気予報は午前中晴れ午後サンダーストーム。よって当初予定のべルビエ移動を中止して、シンメンタール入り口にあるストックホーンの牧場からツーン湖畔までのベストグライト(最良滑空)訓練に行くことになった。ここで本日のテクニック講義は最良滑空方法。
最適滑空テクニックはXCフライトでもっとも重要で、ポイントは風が弱い時はフルグライド、向かい風で少しアクセル。沈下率3m/sになったら少しアクセル、アクセルとブレークは同時操作しない(沈下著しい)、乱流に入ったらアクセル戻し少しブレーク、(その他いろいろ秘密)
テイクオフに上がると、全員GPSにLD地点を入力させられる。スイスグリッドで指定され皆戸惑う。全員一斉スタート。テイクオフ後右前の斜面で少し上げてから、左側の岩尾根のサーマルでソアリング。高度上げてから目的のLDに向けて走る。余裕で湖畔の目的地に到着してしばしツーン湖の上空で空撮して牧場にランデイングした。全員ランディングした30分後に突然強風と雷雨が襲ってきた。(今日もまずまずの白星でした)
雨の中、ツーンにあるアドバンスの本社に見学。あのロベール氏、オリビエネフ氏に会う。その後古都ツーンの街を見学した。
今日の宿泊はシンニングプラッテの山頂ホテル。最終の登山電車で上がる。雨が降ったので久しぶりに涼しい。山頂ホテルはアイガーの北壁からユングフラウ、昨日飛んだシルトホーンが一望できすばらしい。


7月17日(小雨曇り晴れ)
朝この山頂からフライトする予定だったが、残念ながら雲中、途中駅まで降りたがここも雲中で諦めて登山電車で下山。今日はフイッシュへ移動。カンデルスタッグから列車の上にそのまま車を乗せて長いトンネルを抜けると何と快晴の青空。フイッシュからロープウエイで上がったところが今晩の宿泊ホテル。すなわちここが明日のテイクオフである。

7月18日(快晴)
いよいよ最終日、すなわち千秋楽。今日のテーマは総仕上げでサーマルテクニック、XCテクニック、最良滑空テクニックを全て屈指せよとの事。タスクは一度西側のBrig方向に7km先のピーク(又は4km先の街)に行き、戻ってから東側の谷の終点まで約25km先の街ゴール(延べ39km又は33km)
昨年も飛んだが、今年は意外とサーマルが小さく弱い。Brig方向に走ったがどんどん沈下して4km先の街で引き返した。その後はテイクオフより下がってしまい上げ直しに四苦八苦奮闘、やっと程よいサーマルで山頂をトップアウトした、約束のスタートPM2時までまだ30分近くある。
山頂からアレッチ氷河を空撮しながらセンタリング待機する。高度も3200mになったのでもう待てない、大会でないのでまあいいかと、15分ほどフライングでスタート難関の谷渡りも結構な高さでこなし、次の尾根で上げ直し。さらに次の尾根で上げ直していると突然の大コラップス機体が真横まで、これを立て直してさらに荒れたサーマルで回していると二度目のコラップス、さすがに二度連続の大コラップスには参った。目線で目的地までワングライド行けそうなので、ひたすら最良滑空フライトに専念する。本当は稜線まで上げて氷河上を走りたかったのに。
対地速度が40kmから30km,10km、と次第に落ち、対地50m位からホバリングしてバックし始めた。着地と同時に数m引きずられた。何と北風の強風が吹き荒れている。しかもますます強くなる。風の状況を無線で知らせる。松永氏と大野氏がランデイング、カリーも苦労しながらランデイング。カリーの指示で後から来る山本氏に少し戻って風の弱いところにランデイングするように松永氏の無線連絡。他のメンバーは途中にランデイングした。
他のメンバーが必死にもがいている時に筆者のゴール無線でだいぶひんしゅくを買ったらしい事と、プレパイロンは街までで引き返し、さらにスタート時間をフライングしたので本日のフライトは白星でもなく黒星でもない灰星でした。

今晩のホテルは断崖絶壁の中に建つ築300年の歴史のある氷河ホテル。ここで氷河の中をトンネルでくり貫いた中で特別に熟成したワインを飲み、レストランで今回のフライトキャンプの打ち上げを楽しく行いました。


 山頂をトップアウトすると眼下にアルプス最大の「アレッチ氷河」、身震いする。

7月19日(快晴)
チューリッヒ空港に行く途中ルッツェルンで街の見学を2時間ほど、空港でカリーともう一週間別のツアー(新治小町)をガイドする松永氏と別れて全員帰国しました。
今回のメンバーは、何時も今日は勝った負けた、通産何勝何敗と言いながら、皆んなガッツが有りフライト技術も高く、特に上海から駆けつけた早坂女史はレストランで英語通訳から会計まで面倒を見ていただき。実に楽しいメンバーのフライトキャンプでした。また最高の天候に恵まれ、カリーのベストガイドでのビックフライトが出来ました。


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