Sonnar T* 38mm f2.8の作例
高級コンパクトカメラの分野を切り開いたコンタックスT2。城主も欲しかったが、購入したのはお妃の方が先だった。忘れもしない5年前、銀座の某イタリアンで夕食をともにする直前、イタリア出張用にと買ってきたカメラがこれだった。カール・ツアイス=いいレンズという知識はあったらしく、当初は3万円前後の普通のコンパクトを買う予定が7万円の出費となった。お妃の買い物には俗人では想像のつかぬことが多々ある。今思えば、なぜ京セラTプルーフにしなかったのだろう、という疑問も残ったりする。
チタン外装のボディは丈夫だが重い(ボディのみで295グラム)。スイッチオンでバリアが開き、レンズがウィーンと出てくるのは近代的。定価12万のカメラだから、こうしたギミックは当然である。
レンズは4群5枚のゾナーT*38mm f2.8。7枚羽根の絞りをもち、ボケ味にも気を配っている。
作例はネガフィルムからのスキャン。
ただシャッターを押しただけでこの描写。
最高シャッタースピード1/500秒だから、絞りはf8かf11くらいだと思う。
アサカメのMTFデータによると、絞りf8でミリ10本のラインは半画角16ミリまで90%を超え、しかも放射方向も同心方向もピッタリ一致している。f5.6での中心解像度はミリあたり180本に達する。下手な一眼レフレンズも顔色なしの数値性能。
実際のプリントでは、もっと目が覚めるようなブルーをしている。これがツアイス・ゾナーの色なのか、それとも一切濁りのないオーストラリアの空の色そのものか。いずれにしても晴天下でこそ映えるレンズだと思う。