改造
1.サスペンション
ノーマルより最低地上高を約50mm程度あげる。
このため前後輪のバネの交換を行った。
ジャンボリーやロシアンラリーミーティングで走り、前輪デフ下が低いのがネックである
ことを痛感した。 従ってこれは最優先で改造することにした。
この車は前輪は独立懸架でバネはトーションバー、後輪はリジッドアクスルでコイルバネ
である。 トーションバーはバネレート30%アップのもの、コイルバネは13%アップ
のもので、メーカも信頼の置けるメーカ(オストリッチ)である。
また、これに伴いラテラルロッドをアジャスタブルなものに交換した。
問題は前輪のドライブシャフトのセンター側のダブルオフセットの部分をカバーしている
ゴムブーツが、シャフトのジョイントの角度が大きくなったことにより一部接触するため、
摩耗により寿命が短くなることである。
これは改造後常に摩耗をチェックすることと、この接触部に僅かな(油気を保持する
ていど)グリースを塗布することでカバーした。 実際に改造後ラリーを含め1万km弱
走っているがゴムブーツはまだ当分使用できる程度の摩耗状態である。
また、ショックアブソーバにはランチョ9000を使用した。
ラリーのその日のルート(フラットダートが多いか否か)により、アブソーバの能力の設定
を5段階調節できる(縮側のみ)利点がある。 また調節ダイヤルの指示部が本体と同色
の黒で見にくいため、ペイントで指示部を白く塗った。
この改造の結果、ロードクリアランスの向上効果を十分に発揮でき、ヌタ場に捕まること
なく走れたし、バネレートを上げた結果もダートの高速走行のカ−ブでの耐ロール性や
ギャップでの良好な接地性(追従性)も得られたし、いろいろな路面でのショックアブソー
バの機能を十分に発揮できたと思っている。 ただし、100km/時程度までしかロシア
のダートでは速度を出していないので、これ以上については確認していない。
2.タイヤ
ジオランダーMT 235/85R16(外径806mm)を使用する
理由はノーマルの245/70R16AT(外径760mm)に対して、235/85
で空気圧を下げてもノーマルの外径以上になり最低地上高を多少上げられることと、幅を
狭くすることにより接地面が縦長になり直進性が増すことなど。
またリフトアップしたことによりフェンダーとのクリアランスが増し、タイヤの外径の
増加に対応できることも理由の1つである。
実際にロシアでのラリー中は、空気圧を前輪1.8kg/cm2、後輪2.0kg/cm2
の設定にして全ステージを走った。
その他ジオランダーMTはマッドにおいてのトラクション、マッドの排出性に優れ、オン
ロードでもATなみ(音は多少高くなるが)の性能がある。(専門誌の性能比較やガレー
ジの推奨を参考にした)
問題点はタイヤの重量がノーマル15kg/本に対し20.2kg/本と1軸当たり
約10kg増加する。
後輪はリジッドアクスルそのものが重いのでバネ下重量の変化は小さいが、前輪は独立
懸架であるためバネ下重量の変化が大きい。
このため接地性(追従性)を確保するために、バネ下の固有振動数を上げるために
トーションバ−のバネレートを大きいもの(ロ−リングも減少することによりコーナリング
性能の向上のメリットもある)にしてある。 もちろん、これはバネ上の固有振動数も
上がるので多少乗り心地を犠牲にすることになる。
このタイヤの使用結果はマッドでもダートでも期待通りであった。 また、オンロードの
性能もATと遜色無いと思う。 音が多少大きいのは気になるが、これは已むを得ない
だろう。 ただし、トレッドの耐久性についてはまだ使用中なのでわからない。
3.渡河性の向上
川渡りでのトラブルを避けるためにサファリシュノーケルを装備した。 これは
オーストラリア ホールデン・ジャッカル用のもの。
また、フロントアンダーガードを大形のものに交換し、トランスファーギアの前までの
ガードを強化した。 ワンオフの5mm厚ジュラルミン製のもの。
シュノーケルが必要になる程の渡河は今年は無かった。(水が少なかった) フロント
アンダーガードは非常に丈夫で、効果的であった。 この程度の頑丈なガードは必要だと
思う。
4.飛石対策
スト−ンガードを自作し、フロントグリル全面(ラジエータ保護)、フォグランプに取付
けた。 ヘッドライトには透明ビニールテープを全面に貼り付けた。 この効果は不明だ
が、多少のクッション性は期待できる。(ポリカーボ製があると良いのだが)
勿論ガードしたところはダメージを受けなかったが、無防備のフロントシールドは飛び石
による直径3mm程度の穴(表面層のガラスのみでブチルゴムの膜で止まっていた)が
できた。
5.悪路対策
タイヤをMTにしたほか、チェーン(キャンベルカムタイト)を装備。 これは重量がある
ため前後輪の中間にある工具収納部(後部席の下)に入れた。
6.ナイトラン対策
ライトの増設はしなかったが、ヘッドランプとフォグランプのバルブを交換し競技車専用の
光量強化形(100W相当)に交換した。
7.スペアタイヤ
スペアを2本とするため、後部車内に1本用のスチール製タイヤ固定フレームを自作し、5本
のタイダウンベルトで固定して着脱を容易にした。 固定フレームの荷重は水平方向は5G、
垂直方向は3Gとした。 フレームの固定は前側を床にヒンジで、後側は装備品ボックスの蓋
と共にベルトで固定してある。
後部席を取り外すと床に平置きにできるのだが、ラリー中にトラブルのあったエントラント
を乗せることもあるだろうと思い後部席を残したため、タイヤを傾斜させて固定しかつ後方
視界の邪魔にならないものを設計自作した。 下の写真はこの架台に取り付けられたスペア
を運転席側より見たものでフレームは見えていない。 フレーム下部は床にヒンジで固定され
ており垂直に立てることができる。
使用した結果、走行中の振動にも耐え十分に機能を果たした。
8.ナビゲーションの対策
ナビゲータ用のODメータとして永井電子機器製マルチモードメータ−をカーショップくぼた
(相模原市)で急遽お願いして取り付けて貰った。
これはラリーコンピュータまでの装備をしなくとも、ロシアンラリーでは必要な装備である
と思う。 LEDの表示は見やすく、また運転席側からも読めて正確なナビをするには便利で
ある。
ナビ用としてGARMIN社GPSVPLUSを準備していたが、持ち込み禁止ということで
マルチモードメータに変更し、出発前日に取付けを間に合わせて貰った。
9.駆動系
後輪にLSDがノーマルで装備されているので、特に改造はしていない。
プロペラシャフトのねじり振動防止のダンパーが破損していたため交換したこと、ブレーキ
パッドもヌタ場が多くて摩耗が進むことも予想されるので、新品に交換しただけ。
10.牽引装置
ウインチを付けるためには、バンパーからの改造を必要とするためこれは止め、牽引して貰う
時に牽引車との距離を長く取れるように、ソフトカーロープのほかに牽引ロープを装備した。
11.サイドステップ
不要なので取り外した。
なお、サスペンション、シュノーケル、フロントアンダーガードはハイドアウト(横須賀市)の
オーナーのリコメンドにより選定し、改造もお願いした。
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