第2日目(10月7日) 岳沢から前穂〜奥穂〜涸沢キャンプ地まで
真下に上高地と早朝の乗鞍・焼岳の展望
5時過ぎ起床の6時過ぎ発を目標に。今日も天気に恵まれ有難い。皆出発が早い。5時過ぎから登る足音が聞こえた。
薄暗りの中をヘッドランプを灯しながら。我々はテントの中で腹ごしらえをする。昨夜腹一杯食ったのに朝もまた食えた(^ ^ゞ
6時20分、さあ〜出発だ!
ノッケから急登に入る。この重太郎新道は、穂高の主と呼ばれた今田重太郎翁が開いた前穂への最短コース。前穂から岳沢へなぎ落ちる急峻な山襞にとられた道は、今尚岳沢ヒュッテの人達で仕事の合間を縫って保守管理がされているという。
30年前にも通った事があるが、古い事ゆえ記憶にあまり残っていないが、こんな整備された道や梯子も無かったように思う。
でも急峻な道には変わりはない。
高度を上げるにつれ今までの景色が大きく広がり、写真を撮らずに進めようか(^ ^ゞ ポリポリ
右に紀美子平と奥穂への縦走路
既に枯れているお花畑からダケカンバ林に入ると、にわかに傾斜が厳しく鎖場が出てくる。それを乗り越えたところがカモシカの立場と呼ばれる展望台に出る。途中、団体さん24名中男性1名のリーダと一緒になる。まあ〜よくしゃべり、怖さも恐れないおばちゃんグループな事よ。でも皆山慣れしているようだ。スリルを楽しんでいる。肝心なところは、真剣に足場を固め、ゆっくりであるが着実である。見上げるような岩場からでも下に上にデジカメを構え、キャ〜キャ〜云いながら楽しんでいる。
最近の中高年の登山ブームは凄い。中でもおばちゃんパワーの凄さが一際目立っている。
子育てを終え、山の魅力と下山後の温泉の味を知ると、もう堪らないのはよ〜く解る。(^^)
せいぜい事故の無いよう気をつけて下さいね。幸いこのコースを選んだ男性のリーダーは、登りは事故が少ない事を熟知して選んだみたいだ。確かに下りは危険が多いかも。

前穂高岳山頂に立つ(別途画像あり)
森林限界を通過した時点で前穂への中間地点岳沢パノラマ展望台に着く。ここの展望も誠に良し。
再び傾斜が増し、険しい岩稜帯に変わる。奥明神沢側に傾斜した斜上バンドから滑りやすいスラブへと鎖に助けられながら登るとそこは紀美子平の分岐点である。AM8:47。ここにザックをデポして前穂高に登る。空身だから登りやすい。
この日は大勢の人が登っていた。奥穂から下ってきた人が圧倒的に多かった。登りに約30分。
前穂山頂より槍や北穂を望む。右下が涸沢
前穂山頂からの展望は素晴らしく、暫し見とれるほどだった。360度の大パノラマ。ぐるっと一回り見渡せば、正面に蝶ヶ岳、常念、東鎌尾根、その奥に鹿島槍、そして手前に槍ヶ岳から南岳、北穂、涸沢岳、奥穂、その下に涸沢カールから今日の宿泊地涸沢キャンプ地がはっきり肉眼で見える。更に手前東の方角に北尾根の急峻な尖峰が続く。写真を撮りまくった。真下に徳沢や奥又白池が見え、その高度感は足がすくむような気分になる。

また元の紀美子平に戻り、次の奥穂までの吊り尾根最低鞍部を目指す。やや登りの巻き道を歩いていくが、左側に岳沢が大きく口を開けている。何でもない道だが、ここに大きな危険がはらんでいるのだ。と言うのが、奥穂から下ってきた場合、下り坂なので石に躓いたり前にヨロケルと、岳沢に飛び込んでしまう可能性が極めて高い。落ちたら一巻の終わり!滑落事故が多いのもここなのだ。実は、ここで友人が亡くなったのもこの場所だった。あっ!と一声残して。その時私は先頭を歩いており、最後尾の友人が落ちた事も知らず後ろから同じ仲間から声をかけられ初めて事の重大さを知る。
改めてこの場所が過去幾人かの人達が飲み込まれている事だろうか。だから登りにすればある程度危険を回避できると思うからだ。
奥穂高(3190m)を正面に難所が続く
最低鞍部を過ぎると本格的な奥穂への登りとなる。暫くゆるやかだが徐々に険しくもろい岩棚を登る。30mの鎖場が現れ足元の岳沢側は視線を留める場所もない急斜面なのでスリップは絶対許されない。特に足場が外に傾いているから岩が濡れているときは要注意。やがて南稜ノ頭に立つ。山頂はもうすぐだ。

PM12:40着。日本第三位、3190mの奥穂山頂もまた高度感たっぷりな360度の大展望だ。後ろの前穂高にガスがかかり始め、西穂にもガスが張り込め、ジャンダルムやロバの耳が見えないのは残念だが、前穂を登る途中充分見てきたからまあ〜良いか(^^)
穂高山荘(拡大写真あり)
奥穂からの下りはゴツゴツした岩が続くが、やがて遥か真下に奥穂小屋が見えてくる。
足元が切れ落ちた鉄梯子になると渋滞の順番待ちにノロノロとなった。足元には白出のコルには穂高山荘が目の前に迫っている。大勢の登山客で小屋は一杯であった。昨日の小屋は、1枚の布団に4人寝かされるギュウギュウ詰めにうんざりしたと是まで出会った人達の話であった。

赤く色づいたナナカマドの葉と実
奥穂小屋から涸沢までザイテングラードを下る。結構長々と続く下りだ。途中梯子など設置した個所もあったが概ね安全な登山ルートになっている。涸沢に近づくにつれダケカンバやナナカマドの赤い葉と実が色とりどり密集し、涸沢の秋の紅葉が一段と鮮やかになり、至るところで写真や紅葉を楽しむ登山客で賑わっていた。16:20着。
やっとキャンプ地にテントを設営し、本日の宿泊はここである。相変わらず小屋の混雑は察しつく。涸沢小屋は新装なり綺麗であった。涸沢ヒュッテは元のまま。水は無料なので助かる。テント場は色とりどりで別の花が咲いたようだ。沢山のテント村も秋の夕暮れま遅くまで賑わっていた。




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