うもり傘にタイヤがついたものをイメージして作られたクルマがシトロエン2CV。

このイメージ自体、クルマとはこういうものだという既成の概念をことごとく粉砕している。

つまりこのクルマを世に送出すときの成り立ち、割り切った考え方が、

現在と比べて逸脱しているのかもしれない。

それがそのままスタイルやメカニズムに具現化されている。

今の車には少なくとも、ステイタスなどのヒエラルキーが存在している。

2CVは生産中止になるまで約40年間生産される間、最初からミニマムに徹してきた。

そのことにより機能としての存在価値は少しずつ遅れて離れ、

結果的に車のヒエラルキーからちょっと外れたところに存在することになった。

それでも最初から他の車とは競争するつもりはなかったのだろう。

それが所有する人間には、クルマに関する負担をかけない使いなれた家具のようになった。

だから今でも街で2CVを見かけると嬉しくなってしまう。

今年の夏、屋根を全開にして、すだれを屋根一面に被せて走っているのを見かけた。

本当に使いなれた家具のようだった。

こんなことができるクルマがそうあるはずがない。

2CVの方からはクルマとしてミニマムの機能しか提供しない。

後は自分の生活や幸せのために役立つように使い込めば良いのだからと言わんばかりに。

そんな理由でこの車の存在や考え方に共鳴して運転している人も、

2CVと渾然一体となって素敵に思える。

クルマの安全基準や環境問題は今後も厳しくなっていく。

したがって2CVのような楽天的だったクルマはマーケティング上、作れなくなる。

各メーカーとも環境にやさしい低燃費、低公害、小型化でこれを乗り越えようとしている。

具体的には、化石燃料を使うクルマは電気モーターとガソリンエンジンを使い分ける

ハイブリッド車や直噴エンジンで低公害、低燃費を実現させている。

しかし化石燃料を使う今のクルマの機能は、2CVで十分だったのかもしれない。

まるで環境にやさしいクルマというのはこんなものだから

と言っているようだ。

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