第8回演奏会 曲目紹介

(第8回演奏会プログラムより転載)

1st stage..  一ノ蔵 イン イタリア

 私達一ノ蔵男声合唱団は昨年の4月末から8日間北イタリア音楽の旅に出かけてきました。本日の第1ステージは、イタリア北部の町クルゾーネの大聖堂で演奏した中からのものです。その時のエピソードなど混じえて紹介させていただきます。

『斎太郎節』
 宮城県を代表する定番の民謡です。大聖堂での「エンヤ〜」をご想像ください。

『上を向いて歩こう』
 NHKの「夢で会いましょう」で誕生した名曲です。「スキヤキ」の名で世界をまたにかけた曲です。口笛でのメロディが高らかに聖堂に響き渡り、いつもとは違う世界が生まれました。

『鉄腕アトム』
 1951年、雑誌「少年」の4月号の第1回は今でも鮮明に残っています。63年元旦からはTVアニメ化され「アストロボーイ」の名で世界41ヵ国を飛び回って現在に至っています。今日のステージ上にいる、かつての少年達のヒーローでもありました。この歌について通訳の方は「日本の子供の歌」と紹介したそうです。

『作品第貳拾壹』(男声合唱組曲『富士山』より)
 日本を代表する男声合唱曲名曲中の名曲。日本の誇りをいかに伝えるべきか努力した曲です。イタリアの人たちにはどんなふうに聴こえたのでしょうか。本日は頂上をめざします。

『Heilig』
 シューベルトの「ドイツミサ曲」の中の1曲です。“聖なるかな”という意味です。4年前はオーストリア・ブライテンブルンの教会で、300年前のパイプオルガンの前で歌いました。今回はア・カペラで歌い、荘厳な教会の天井から降ってくるように響く自分たちの声が夢のようでした。

『ヘブライの捕虜達の合唱』(行け、我が思いよ黄金の翼に乗りて)
 イタリアオペラ界、というより、世界最高のオペラ作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの出世作、歌劇「ナブッコ」の中の合唱曲。ヘブライに捕らえられたユダヤ人たちが、故郷を偲んで歌う曲です。パイプオルガンの奏者と指揮者の位置がうまく定まらず、急遽ア・カペラで歌いました。ちなみに、今年はヴェルディ没後100年です。

『Ma Come bali bela bimba 』(上手に踊るきれいな娘さん)
 北イタリアの民謡を捜しているうちに見つけ出した、いかにもイタリアらしい曲です。踊りの好きな可愛い娘、夜も昼も踊り回る……といった他愛もない歌詞が続いています。イタリアの教会では、教会にふさわしくない、ということで歌うことを許されなかった曲です。本邦初公演(?)です。

2nd stage.. 21世紀へのメッセージ(祈り、平和、愛)

 昨年は世紀末と言うことで、多くの人がその100年を振りかえりましたが、20世紀は戦争の世紀であったと言う人がいました。世紀を越えて、今も世界のあちこちで繰り返されている対立。国・民族・宗教・肌の色の違いからくる差別、等々。 私たちは真の平和がくることを望んで、21世紀のスタートに開くこの演奏会に「祈り、平和、愛」のテーマの曲を選びました。戦争で国を分断されたその悲しみと統一を願う歌、そして統一された喜びの歌。自分達の国を興し平和を願う歌。安らぎと平和を神に祈る歌をお聞き下さい。

『リムジン江』(リムジンガン)
 1960年代の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の曲で、パク・セヨン(朴世永)は 国歌の作詩者。臨津江(リムジンガン)は朝鮮半島を南北に分ける軍事境界線に沿って流れ、黄海に注ぐ川です。その流れに託して南北分断の悲しみを歌ったもので、故郷と同胞を思い祖国統一を願う心を歌い上げています。素朴な美しさを持つ朝鮮メロディーが印象的です。

『壁きえた』
 男声合唱組曲「壁きえた」の8曲の中の同タイトルの曲。1989年、東西ドイツが統一され、分断の象徴であった壁が崩壊し平和に戻る喜びを表現しています。1番は、壁崩壊を祝い夜のベルリンの街に繰り出した人々が、壁を越えて再会できた喜びを、2番では過去の歴史に対しての未来への願望を歌っています。

『フィンランディア』
 原曲は1899年シベリウスによって、フィンランドの歴史を表現した劇音楽。当時のフィンランドはロシアの統制下にあり、高まりつつあった愛国熱や民族意識のもとで、1917年独立。この曲は「フィンランド賛歌」として歌われています。

『コシ・シケレリ・アフリカ』
 南アフリカ共和国の第二国歌とも言われ、映画『遠い夜明け』の中でも大合唱されていた反アパルトヘイトの歌。この歌は祈りの歌であり、戦いの歌でもあります。

『巡礼の合唱』
 ワーグナーが1845年に発表した歌劇「タンホイザー」の第3幕第1場で歌われる合唱曲。男声合唱の重要なレパートリーですが難曲といわれています。13世紀、年老いた巡礼たちがようやく故郷に戻ったことを感謝する場面で、万感を込めて歌われる曲です。

『詩編』
 旧約聖書、詩編98篇歌にもとづいて作曲されたもので作者は不詳。歌い出しの部分は、全世界が愛と平和に満ちた世の中になるようにとのファンファーレです。曲の途中に出てくる「Chant」の部分はこの曲独特の男声4声の重厚な祈りのハーモニーです。注目してお聞き下さい。

『Dona Nobis』
 ミサ曲「Agnus Dei」の後半で歌われる祈りの曲。歌詞は題名の3つの言葉だけで構成されており「Dona」=あたえる、「Nobis」=われらに、「Pacem」=平和。「われらに安らぎと平和を与えたまえ」と神に願いを繰り返し歌い求めます。男声合唱では珍しい3部輪唱曲です。

ブラウザの「戻る(Back)」ボタンなどで戻ってください


Last update : 25 February 2001

Copyright (c) Akihito YAHARA 2001 All rights reserved.