Opening..
Finlandia hymni | 作詩:コスケンニエミ/作曲:シベリウス |
1st stage.. Ichinokura in Breitenbrunn
1. 斎太郎節 | 宮城県民謡/編曲:竹花秀昭 |
2. Shenandoah | American Sea Shanty/編曲:A. Parker and R. Shaw |
3. Schoner Rosengarten | オーストリア民謡/編曲:井上 毅 |
4. Heilig | 作詩:J. P. ノイマン/作曲:シューベルト |
5. Ave Verum Corpus | 作曲:W. A. モーツァルト |
6. ウィーンわが夢のまち | 訳詩:あらかはひろし/作曲:ズィーチンスキー/ 編曲:源田俊一郎 |
客演指揮:辻 志朗(4 〜 6)、ピアノ:辻 悦子(6)
2nd stage.. 男声合唱組曲『富士山』
男声合唱組曲『富士山』 | 作詩:草野心平/作曲:多田武彦 |
1. 作品第壹 | |
2. 作品第肆 | |
3. 作品第拾陸 | |
4. 作品第拾捌 | |
5. 作品第貳拾壹 |
3rd stage.. “お酒の歌”をあつめて
1. 筑後酒造り唄 | 九州地方民謡/作編曲:宇田川安明 |
2. 荒もと摺り唄 | 南部流酒造り唄より/作編曲:井上 毅 |
3. 留仕込唄 | 南部流酒造り唄より/作編曲:井上 毅 |
4. お酒の歌 | アメリカ民謡/作詩:高石ともや・井上勇作/編曲:山崎朱紀子 |
5. ウィスキー・ジョニー | イギリス民謡/訳詩:高藤 淳/編曲:矢原昭人 |
6. 北酒場 | 作詩:なかにし礼/作曲:中村泰士/編曲:宇田川安明 |
and More..
(アンコールのステージ。プログラムには、曲目を記載せず。)
1. 雨(男声合唱組曲『雨』第六曲) | 作詩:八木重吉/作曲:多田武彦 |
2. そうらん節 | 北海道民謡/作曲:清水 脩/編曲:福永陽一郎 |
3. Lord, I Want To Be A Christian | 黒人霊歌/編曲:三沢 郷 |
4. 筑波山麓合唱団 | 作詩:永 六輔/作曲:いずみたく |
パーティー
1. いざ起て戦人よ | 作詩:藤井泰一郎/作曲:グラナハム |
2. ウ・ボイ | 作詩:フーゴ・バダリッチ/作曲:イヴァン・ザイツ |
Opening.. Finlandia hymni(フィンランディア賛歌)について
原曲の「フインランディア」は、シベリウスによってフィンランドの歴史を表現した劇音楽のために1899年に作曲された管弦楽曲です。そのため、民族的なものがかなり感じとれますが、曲自体は民謡とは無関係のものです。当時のフィンランドはロシアの統治下にあり、言論や自由はかなり侵害されていました。そういう複稚な環境の中で、独立への愛国熟や民族意識が高まりつつありました。この曲にもそういった背景の下に、愛国心を鼓舞するような目的もあって書かれたようです。事実この曲は間もなくロシア政府から演奏を禁止され国内では「即興曲」などといって当局の目を盗んで演奏されました。フィンランドが独立したのは1917年12月です。
この曲にはいろいろな人が歌詞を付けて合唱曲としていますが、今日ではコスケンニエミのこの詩が「フィンランディア賛歌」として定着しています。この詩の冒頭の「スオミ(Suomi)」とはフィンランドの国名です。フィンランドの人は「湖や沼の国」という意味の「スオミ」と自国のことを呼びます。「フィンランド」は外国人がつけたものです。「この国の支配されてきた歴史をはねのけ、今こそ独立を世界中に宣言せよ!」という内容のこの歌を原語で聴くとき、この国の歴史を思わずにいられません。
「フィンランディア」に対するフィンランド人の意識は、ナショナリズムを踏まえて現在でも特別のものがあるようです。去る1992年は独立75周年で、日本でも記念の演奏会が催されたのですが、この曲の時、フィンランド人の聴衆は感慨にふけっていました。
(S.I.)
1st stage.. Ichinokura in Breitenbrunn ステージ紹介
一ノ蔵男声合唱団結成10周年記念オーストリア・ドイツ音楽の旅において、私達はウィーン郊外のブライテンブルンという小さな町の合唱団と交流演奏会をおこないました。第1ステージでは、この演奏会で歌った曲目の中から、6曲を再演しました。
(以下、第6回演奏会プログラム文に一部追加) 1997年4月26日、我々合唱団40名は、ウィーン空港から30分余り、夕もやのブライテンブルン(Breitenbrunn)に到着した。まわりを葡萄畑に囲まれたいかにもヨーロッパの片田舎といったたたずまいの静かな町である。旅装を解く暇もなく早速歓迎会が催された。ブライテンブルン当地の教会合唱団との交流である。当地ご自慢の白ワインの乾杯の後は、片言の英語と身ぶり手振りの交流である。やがてエールの交歓。もうさながら旧知の間柄。
翌朝は教会ミサに参加。朝もやが晴れるにつれて堂内に七色の影を映すステンドグラスと、300年の歴史を誇るパイプオルガンの荘重な音色。神父さんの魅力的なバリトンの語り声。正しくヨーロッパの日曜の朝である。男声で「Heilig」、混声で「Ave Verum Corpus」、ゴシック調の堂内に響きわたる私達の歌声。キリスト教徒ならずとも感動の一刻であった。
教会の外で待機していたのは、オーストリア国営放送2chのクルー。リンゴの花の下でインタヴューを受け、「遥かな友に」を歌う。
夕刻からいよいよ本番。町一番のレストランが会場。会場は満員、2chの録画も始まる。
第1部は我々男声。日本民謡(「そうらん節」、「斎太郎節」)、「富士山」(第2曲)、「Shenandoah」と歌い、最後はお馴染み「筑波山麓合唱団」。途中からの身ぶりに会場も大うけである。
第2部は当地の教会合唱団。第3部は急ごしらえの一ノ蔵混声合唱団。指揮はこの旅の仕掛人の一人、辻志朗先生。「早春賦」から「雪の降る街を」迄の日本の四季のステージである。「村祭り」では篠笛とチャンチキ、おかめひょっとこのお面で会場を沸かせた。最後は合同で「ウィーンわが夢のまち」。ブライテンブルン我が夢のまちである。アンコールが鳴りやまず次々とレパートリーが歌われた。特に「Schoner Rosengarten(美しき薔薇の園)」は、現地の民謡をドイツ語で歌い盛大な拍手をいただいた。
演奏会後のパーティーでは和気あいあい。持参の一ノ蔵もあっという間に空になった。歌に国境はないと言うが、本当にそのことを体感した時間であった。ブライテンブルンとは「豊かな泉」。その泉はすでに枯れてはいたが、我々の心の中には永遠にこの泉は湧き続けていることであろう。
2nd stage.. 男声合唱組曲『富士山』 について
(第6回演奏会プログラムより) 標題はあえて難しい漢字を使った作品番号ですが、その内容は富士山を舞台とした大人のための御伽噺であり、ダイナミックな情景描写です。富士の持つ優しさ、美しさ。格調高く厳しい存在感。それらが一曲ごとに、日本画のように繰り広げられます。日本人が生活してゆく上でひとつの拠りどころとなっている富士の様々な様相を、華麗に表現した作品です。心地よいハーモニーと芸術性をお届けしたいと登り始めてはや3年、今回ようやく全曲演奏します。果たして頂上までたどり着けるでしょうか。
3rd stage.. “お酒の歌”をあつめて ステージ紹介
(第6回演奏会プログラム文を改訂) 我が男声合唱団は、宮城県の銘酒「一ノ蔵」の名を冠しいるにもかかわらず、これまでレパートリーの中に“お酒“の歌はほとんどありませんでした。結成10周年を過ぎ、新たなスタートに当たり、私達とは切っても切れない“お酒“の歌を集めてみました。
今回の6曲のうち4曲は、団員により作詩、訳詩、編曲を施し合唱曲に仕立たものです。私達の手作りの“お酒”の香りは、いかがでしょうか?
南部流酒造り唄について
今回の演奏会では、初の試みとして、南部杜氏に伝わる酒造りの作業唄をテープから採譜し、男声合唱に編曲して歌うというステージを設けました。この企画が実現に至るまでの経緯と、今回取り上げる曲に関して説明します。[きっかけ]
2年前に一ノ蔵男声合唱団のメンバーで宮城県の(株)一ノ蔵の金龍蔵を訪れた時のこと。蔵を見学させて頂いた後、従業員の皆さんに我々の合唱を披露しました。そのお返しとして、杜氏さんが酒造り唄を唄って下さったのです。その時に、実は南部杜氏協会で保存のために酒造り唄のテープを作ったことを聞き、ぜひ我々も歌いたいとお願いして、(株)一ノ蔵よりそのテープを譲って頂いたのです。
さらに1年前にメンバーの数人で再び(株)一ノ蔵の本社蔵を訪れた時には、曲のイメージを掴むために、杜氏さんに無理にお願いして、実際に酒造り唄を唄いながら仕込みの作業を実演して頂きました。[選曲]
「南部流酒造り唄」のテープには、「流し唄」「米研ぎ唄」「荒もと摺り唄」「もと搗き本調子唄」「仲仕込唄」「三転(サンコロ)搗唄」「留仕込唄」が収録されています。その中で、皆で唄う曲であまりメロディが難しくない曲で、特に気持の高揚や仕事の雰囲気を出しやすい曲という観点から、「荒もと摺り唄」と「留仕込唄」を唄うことに決めました。
「荒もと摺り唄」は、酵母の発酵を促して酒母を作るために蕪擢(かぶらがい)で原料をすりつぶす、最もつらい作業で唄われた曲です。「仕事に楽はありゃしない」という、全国の酒屋唄等でもよく出てくる有名な歌詞で始まります。単純なメロディと特徴的な歌詞から、作業の雰囲気が最も出し易い曲です。
「留仕込唄」は、酒の材料となる麹、酒母、蒸米、水を全て混ぜ合わせる最終的な仕込み作業で、材料を蕪擢でかき混ぜる時に唄われます。また、酒造りの最終段階で唄う唄であることから、祝い唄として酒の席などでもよく唄われるそうです。2年前に東京で行われた「一ノ蔵を楽しむ会」でも、(株)一ノ蔵の役員一同が合唱していました。単純なメロディの繰り返しや、段々と発展していく歌詞、最後に一斉に言う口上と掛け声から、次第に気持が高揚していく様子や、酒造りが最終段階まで順調に進んだという晴々とした気持を表現することが出来ると思います。[曲作り]
南部杜氏の方々が唄うテープを元に、出来るだけ忠実に楽譜にし、みんなでテープを聞いて真似して唄うことから始めました。もともとリーダーが唄ったメロディに他のみんなが答えるという構成が基本であり、我が一ノ蔵男声合唱団が誇る名ソリスト達を各曲のリーダーに据え、合唱団がそれに答える形で曲の雰囲気を盛り上げていけるよう、難しい編曲は避けて出来るだけ仕事唄の素朴さを残すように仕上げました。その結果、リズムやハーモニーといった合唱としての曲自体の面白さよりも、声の出し方や力の入れ加減といった唄い方によって仕事の迫力や緊張感が大きく左右される作りになったと思います。本番でいかに酒造りの作業者になりきってその雰囲気が出せるかが問題です。「お酒の歌」について
この歌は、フォークグループの草分け、高石ともやとナターシャーセブンの代表作の一つです。1番から5番までの各前半は、酒好きな男とつきあう女のほのぼのとした恋愛物語ですが、各後半は、酒の銘柄の羅列となり、まじめに聴いていた人に思わず笑いを誘います。今回は、我々の合唱団名にちなみ、酒蔵一ノ蔵の銘柄を織り込んで6番を作ってみました。「ウィスキー・ジョニー」について
元はイギリスの Sea Shanty。作家のC. W. ニコルさんの、ウィスキーにちなんだ曲ばかりを集めたCD「Whisky」に収録されています。編曲はほぼCDのままの簡単な2部合唱としました。航海の途中の港町で酔っぱらった様を歌ったものですが、我々にとって英語の歌詩では歌う方も聴く方も酔いきれないため、団員による日本語訳を作ってみました。「筑後酒造り唄」、「北酒場」について
いずれも、合唱指揮者辻正行先生が主宰されているプロの男声合唱団「クロスロード・シンガーズ」のために、同団所属の宇田川安明先生が編曲されたもの。しゃれたアレンジだが我々にとっては難度が高く、特に「北酒場」はリズムに苦労しました。
Last update : 24 January 1999
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