第5回演奏会 
〜結成10周年記念〜

1996年12月7日(土) 17:00開演
横浜市従会館

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開幕曲

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第1部 Sea Shanty

第2部 男声合唱組曲『富士山』より

第3部 日本民謡

第4部 アラカルト 

アンコール


第5回演奏会 曲目紹介

(第5回演奏会プログラム「曲目紹介」より転載)

第1部 Sea Shanty 曲目紹介

Sea Shanty

「Sea Shanty」は、帆船華やかなりし時代に水夫達によって歌われた労働歌に基づいています。帆や錨の巻き上げ作業のかけ声と共に歌われたり、順風航行中に歌われ、多くは、大洋はるか遠く離れた故郷を懐かしむ気持ちが込められています。いつかどこかで聞いたことのあるような親しみやすいなつかしいメロディは、いつの時代にも人々の心に郷愁の念を抱かせるのではないでしょうか。

1. Swansea Town
 英国ウエールズの港町 Swansea から南米を廻りサンフランシスコへ航海しながら、最愛の恋人 Nancy と、古き良き故郷 Old Swansea Town を想い、『もう一度帰ってくるよ』と歌う、典型的な Sea Shanty の一つです。3番の、いよいよSwanseaの町の沖まで戻ってきた、再会のシーンは感動的です。堂々たるメロディと、めりはりとノスタルジーの交錯する Parker/Shaw の編曲が、男声合唱の魅力を引き出しています。

2. Homeward Bound
 帆船の旅は、風まかせ。 『ほら。ほーーい。』というかけ声の合間に『風よ吹け!強く吹け!。』と歌います。やがて、長かった航海もいよいよ終わりに近づきます。『我らの船は世界中を回ってきた!。そしていま故郷に向かっていることを、神に感謝しよう!。』 ヨハン・シュトラウスのオペレッタ「ジプシー男爵」の挿入歌としても良く知られています。

3. I've Got Six Pence
 長い航海中たまに立ち寄る港町で、水夫達は羽目をはずさずにはいられません。わずかな給料を『2ペンスはパッと使って、2ペンスは人に貸してやって、2ペンスは故郷にいる妻に送ってやろう。可哀想な妻に...。』 あっと言う間に一文無し。いつの時代も、男は変わらないものです。

4. Shenandoah
 七つの海を制覇したヨーロッパの人達はやがて新大陸を開拓し、この曲の舞台、ミズーリ河も渡って行きました。インディアンの酋長 Shenandoah の娘に一度は恋をし、7年ぶりに再会した主人公。『騙すつもりはないのだ』と言いながら、しかしまた、彼らに別れを告げ、西へと向かって行くのです。

5. Rolling Home
 イギリスの港町から、大西洋を渡り、ミズーリ河を越えてきた私たちの船の旅も、いよいよ最終地 New England(Boston の北の地方)へ向かうこととなりました。『過ぎゆく波はつぶやく...あなたの故郷では出迎えの大きなウエーブが待っていますよ...。』 『さあ、夜通し見張りをしながら、喜びのコーラスを歌おう!。やがて、夜明けの鐘が鳴る頃には、だれもが親愛なる New England を想い、ため息をつくのだった。』

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第2部 男声合唱組曲『富士山』 曲目紹介

組曲『富士山』を演奏する理由

 組曲『富士山』に取り組んで約二年近くになります。この組曲は五曲から成り、昨年は二曲演奏いたしました。今回は一曲だけ増やし、一曲目 作品第壹(一)、二曲目 作品第肆(四)、三曲目 作品第拾陸(十六)を演奏致します。後ほど聴いておわかり戴けると思いますが、草野心平の富士山を中心とした自然の美しさを見事に詠み込んだ、まるで日本絵画を思わせる情景が描写されています。

 この作品のタイトルに難しい漢字でナンバリングされていますのは、美術造形作品を連想させる狙いがあって、その重厚さを詩に冠しようと計られたものらしいのです。この芸術作品に、「一ノ蔵男声合唱団」は一丸となって挑んでおりますが、歌えば歌うほど難しさが加わり、なかなか先へ進めない状況が今日まで続いています。本日も皆様に満足して戴けるかどうかとても心配ですが、一生懸命頑張って演奏いたします。

 一曲目「麓には桃や桜や杏さき むらがる花花に蝶は舞ひ ・・」幻想的でロマンに満ちた夢の世界、まるで万華鏡を覗き込んで居るような美しさが、音声と調和し日本の歌ならではの味わいを感じさせてくれます。
 二曲目「川面に春の光はまぶしく溢れ そよ風が吹けば光たちの鬼ごっこ 葦の葉のささやき 行行子は鳴く 行行子の舌にも春のひかり ・・」何と繊細なものの捉え方だろうか。ユーモアに富んだ「光たちの鬼ごっこ」。よしきりの鳴き声は「ギョギョシ、」と鳴く故そのまま漢字に当てはめられたそうです。一方、一面うまごやし(クローバまたはシロツメグサ)の原っぱでは少女たちが花輪を編んで遊んでいる。はるか遠い富士山が少女たちの編んだ縄跳び遊びにつきあっている、このような詩情溢れる表現が果たして男声合唱で出せるのか、心配なところです。
 三曲目、牛久の果てから眺めた夕暮れの富士山、・・刻々変化していく山肌の色合い、そして次第に黒富士となって威厳を放ちその余韻が残ります。演奏が、このイメージになりますかお楽しみに・・・・。

 さて残り二曲、作品第拾捌(十八)、作品第貳拾壹(二十一)に取り組み、全曲を完成させ次回の演奏会でご披露出来ることを願い、また練習に励みたいと思います。

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第3部 日本民謡 曲目紹介

日本民謡

 四季折々の変化に富んだ厳しい日本の自然環境の中で、人々は助け合い、力を合わせて自然と共存しながら生きてきました。特に、日々の仕事の中で唄われる仕事唄には、掛け声の迫力の中に、生き生きと日々を過ごす人々の姿が表現されています。

そうらん節(北海道民謡)
 「唄で始まり、唄で終わる鰊漁」と言われ、大勢の海の男たちが夜を徹して漁をする時に力を合わせ、また疲れや眠気を紛らすために声を合わせて唄った曲です。沖揚げ音頭とも呼ばれ、沖合いに仕掛けておいた定置網に捕えられた鰊を、特大のすくい網に追い込み、一気に舟にすくい上げる時に、男たちが力を合わせるために唄いました。迫力のある男たちの掛け声と、仕事の合間に唄われる周囲への思いやりに溢れる調子の良い節が印象的です。

最上川舟唄(山形県民謡)
 代表的な山形県民謡ですが、これは昭和十一年に最上川の船頭たちの掛け声に「酒田追分」を加えてアレンジした新民謡です。日本三大急流の一つとして知られている最上川を下り、酒田の町まで年貢米を運ぶため、船頭の掛け声に呼応してみんなで乗り出して行きます。命懸けの旅に出る船頭の緊迫した掛け声と、安堵した時にふと思う、故郷の家族や酒田での愉しみ、自然とともに織り成す様々な人間の心情が唄い込まれています。

牛追い唄(岩手県民謡)
 岩手県の山奥、沢内盆地では、米を牛の背に積み、牛方たちが一人で七、八頭もの牛を追いながら二晩も三晩もかけて、盛岡や黒沢尻にある南部藩の米蔵まで運んでいました。牛方たちが道中のうさ晴らしに唄ったのがこの歌です。牛の歩みに合わせて険しい山道をのんびりと歩く牛方の掛け声は、共に旅する牛達への愛情に溢れ、牧歌的な哀愁に満ちた、美しい旋律に乗せて、山々にこだまするように心に響きます。

斎太郎節(宮城県民謡)
 「大漁歌い込み」の名でも親しまれ、誰もが知っている民謡の一つです。宮城県沖は寒流と暖流の出会う良漁場であり、そこで働く漁師達の仕事唄です。仙台平野という土地に根差し、常に大漁を願いながら働く海の男たちの姿、また「エンヤオット」という力強い掛け声からは、漁場の雰囲気そのままに厳しい大自然の中に生きる男たちの力強さが伝わってきます。

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第4部 アラカルト 曲目紹介

 第4部ア・ラ・カルトは一ノ蔵男声合唱団10年の歴史の中から選ばれた名曲の数々です。

筑波山麓合唱団
 永六輔、いずみたくのコンビがデューク・エイセスのために作ったお国めぐりの一曲です。お国は、御存知茨城県、ガマの油の故郷です。男声合唱団なら一度は歌いたくなるコミカルな曲です。この他に「いい湯だな」(群馬)、「女ひとり」(京都)等があります。

Swing Low Sweet Chariot
 数ある黒人霊歌の中でもとりわけ名曲の誉れ高い曲です。「揺れるよ幌馬車」という邦題では何のことか分かりませんが、この幌馬車とは、当時の黒人奴隷の最後の救いであった天国への旅立ちを意味しています。「筑波山麓…」と共に、一ノ蔵男声合唱団10年来のレパートリーの曲です。

《デュエット、カルテットのコーナー》
 一ノ蔵名物の「木登りコーナー」。前回は『ソリスト』の名唱(迷唱)オンパレードでしたが、今回は選りすぐり(?)の多重唱をお届けしましょう。

女・女・女
 フランツ・レハールの最高傑作のオペレッタ「メリー・ウィドウ」の第2幕、主人公ハンナの屋敷の舞踏会で、彼女を狙うフランスの伊達男達によって歌われます。これに対し御婦人方も「男・男・男」を歌います。いつまでたっても女性は実に扱いにくいものです。

秋のピエロ(「月光とピエロ」より)
 堀口大学の詩に清水脩が作曲した、男声合唱のバイブルとも言える名曲です。5曲からなる組曲のうち、この第2曲は特に人気が高く、ルオーの名曲を思わせる劇的な曲です。

からたちの花
 北原白秋、山田耕筰の名コンビによる名曲であることは説明はもう不要ですね。「からたちのそばで泣いたよ…」どのように表現するか御期待下さい。

狩人の合唱
 ウェーバー34才の時に完成したドイツ・ロマン派を代表する国民歌劇「魔弾の射手」(悪魔に魂を売った射手の物語)の終幕、射撃競技の御前試合の日、森の広場に集う狩人たちの勇壮な合唱曲です。


Additional update : 13 March 2016

Last update : 24 January 1999

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