関東鉄道、気動車体験運転
大宮の鉄道博物館でD51のシミュレーター体験の順番待ちをしていたときに知り合った”鉄人Mさん”・・
その鉄人Mさんから関東鉄道で新旧気動車、ディーゼルカーの体験運転が行われると言うお話を伺いました。
体験運転の行われる日は幸い予定も無かったので早速申し込みを行い始めて実車の体験運転が出来ることに。

いつ頃から体験運転のイベントを行っていたかは解りませんが”鉄道の日”の記念イベントとして行った体験運転が好評でほぼ定期的に行われているとの事でした、関東鉄道は常磐線取手駅と水戸線の下館駅を結ぶ非電化の私鉄路線、非電化ながら取手駅と途中の水海道駅間は複線で列車の運転本数も多く電化されてもおかしくないのですが筑波山にある地磁気観測所の関係で直流電化が出来ず高価な交流電化は費用の関係で難しく非電化の気動車大国てきな路線になっています。

取手駅と下館駅を直通する列車は極少なく殆どが途中の水海道駅での乗り換えが必要となります、取手駅と水海道駅間は駅も有人で列車はワンマン運転ですが料金授受用の機器が無い2l両編成を主に用いています、水海道駅と下館駅間は運転本数も少なくなり無人駅が多く、車両も殆どが1両での運転で料金表と料金箱を備えた車両が使われていました、下館からの列車は一部守谷駅折り返しで運転され筑波エクスプレスの乗り継ぎ客にも便利な運転に。
体験運転は関東鉄道の最新型気動車と旧国鉄から譲り受けた旧型の気動車を距離は短いですが運転出来ると言う企画、新型車の運転と旧型車の運転をして乗り比べ出来るようになっていました。



車両基地入り口の看板

入り口付近から・・右は工場、左は事務棟になります。

事務棟の玄関、体験運転会場の看板が出ています。

壁にはこの様な案内が掲示されていました。
関東鉄道では定期的に気動車の体験運転を行っているためか案内が解りやすくこのイベントに慣れているのが解ります、車両基地は水海道駅が最寄り駅となりますが徒歩ではちょっと距離が有り行きはタクシーを利用、駐車場も確保されていて車で来る方の事も考えて有りました、まあ鉄道が好きな方が集まるため殆どの方は関東鉄道を利用していると思われますが・・。
時間には余裕が有るため案内に従いロープの外から車両を撮影、普段はなかなか近づけない床下機器も覗く事も出来しっかりカメラに収めさせていただきました。

玄関前では最新型の2400形がお出迎え、
この車両を運転することになりました。
参加人数は1度の体験運転で20人まで、ネットによる予約で早い者勝ちになります。

受付時間となりアルコール検知器による検査、モニターを見てその指示に従い3つのボタンを押し分ける反応検査を終えて参加費5000円を支払うと左の様なテキストが手渡されます、この中には新型気動車と旧型気動車の運転台機器の図解説明が書かれていて運転士が行う操作手順と車掌が行う作業手順も説明されています。

先ずは午前中の新型気動車についてその構造と取扱、運転時の流れや確認項目などの講習を受けます、受講者の中には女性の方も・・。
講師の方が”新型の方はブレーキレバーをガチャガチャやっていれば止まります・・”との言葉に会場に笑いも。
流石に商売?も上手く説明後グッズの販売も・・体験に対し買わなくても良いのですが気分を盛り上げるためにと乗務員用白手袋と車掌が扉を閉める時に吹く笛を販売しています、私も記念に購入。

講習後は実車に移り指導運転士から実際の運転機器を見ながら説明を受け1往復模範運転を見学、改めて確認方法、機器の扱い方を教わります。
新型の車両は2406号車で2007年10月に搬入されたピカピカの新車、車内にはまだ”新車の香り”が残ります、運用を離れた車両ではなく現役ばりばりの車両を動かす事が出来るのです。
体験運転は車両基地内の線路を使いますが距離にして約150m程、何時も同じ線路を使うためかその線路両端には体験運転用に小さな信号機も設置されていました、運転士や車掌はこの信号を確認し出発します。
この信号機は指導運転士が持っているリモコン(赤外線式)で操作ができ赤と青を切り替えることが出来ます、上手く作っていますよね。
体験は運転と車掌が行う作業も体験します、行きは運転士、帰りは車掌・・と言うように、車掌役は信号機を確認し客室ドアを扱う体験をします。

20人の参加者は取手側と水海道側の運転台に10人ずつ分かれます、体験運転の順番は予約を入れた順番になっている模様で私は取手側の運転台に、1番目は”鉄人Mさん”(画像左)ご自分の帽子とナッパ服で参加していました、そのものずばり運転士ですね。
運転時はマスコン(加速のための左側レバー)の操作は5ノッチまで有りますが3ノッチまで、走行速度は15Km/hまでとなります、15Kと言うとかなり遅く思えますが実際に走ってみると結構早く感じる物です。

順番を待つ間は車内で乗客・・となりますが車内は真ん中の画像のような状態に、前を見る方、他の方の運転を見て参考にする方、車内の写真を撮る方、座席で順番を待つ方・・と皆さん思い思いに過ごします。

右画像は順番が来て買った手袋を付けいざ運転席にと収まった私、嬉しさと緊張がゴッチャになってきます、確認しながら機器を操作し丁度逆転機レバーを前進に入れた所。(鉄人Mさん撮影)


←初めて実車のハンドルを握りゆっくりですが走行中の私、帽子は雰囲気を楽しめるようにと関東鉄道さんが用意してくれた物で希望によりかぶれます、ただ大分大きくて落ちそうになりますが・・。
運転の流れは取手側の運転台ではまず運転台選択スイッチを”後”から”前”に切り替えて列車の進行方向を変えるエンド交換、切り替え完了したら連絡ブザーで車掌側の運転台に連絡、車掌側でも切り替えを終えるとブザーで連絡が帰ります。
運転席のシートに座り指導運転士よりマスコンキー、車のキーと同じ役割のカギを受け取り運転台のロックを解除、この操作でブレーキハンドルが運転位置まで回せます(運転台のレバー類は施錠してあります)、次にエンジン・・走行用機関の油圧状態を示す”機”と書かれた緑色のランプが点灯している事を”油圧よし!”と指差確認。
ブレーキの源にもなる圧縮空気が込められている”元空気溜圧”が規定範囲になっていることを確認・・”元溜よし!”・・体験と言えどもしっかり指さし確認の連続・・最初は声を出しての指さし確認は恥ずかしい感じもしましたがいざ運転席に座ると気にならない物です、元溜・・はモトダメと言うのかと思っていたら”ゲンダメ”と呼ぶそうな。
次いでブレーキ試験、ブレーキハンドルを運転位置まで動かしフレーキシリンダー圧力を示す針が”0kPaになる事を確認しブレーキレバーを3ノッチ位置まで回して圧力が100kPaになる事を確認する・・。
進行方向を前進にするため逆転機ハンドルを”前”位置に転換・・表示灯の”↑”が点灯するのを見て”前進よし!”と指さし確認し出発信号を見ます・・赤から青に変わったら信号を指さし”出発、進行!”と確認、まだ走れません、車掌役の方がドアをまだ閉めていませんので。

ドアが閉まると運転席の戸閉め知らせ灯の”戸”が点灯、それを見て”戸閉めよし!”と確認、次いで車掌より出発合図のブザーが鳴ります、これでも確認項目は体験用に少なくなっていると思いますが指さし確認の連続でここまで来てやっと走り出せることになります、もう一度信号機の青を”出発、進行!”と確認し主幹制御器、マスコンハンドル・・車のアクセルに相当するレバーをゆっくり1ノッチへ・・”運転”の表示灯が点きエンジンの回転が上がり車両が動き出します、今この左手の操作で本物の鉄道車両が走り出した・・何とも言えない気分に、2ノッチ、3ノッチと進めるとエンジン回転が上がりグイッと加速が増します、5ノッチまで有りますが体験ではここまで・・でも力強い加速を感じます。(^^)
制限速度は15Km/h・・速度計を確認してノッチオフ、丁度連結のため誘導信号にてホームに侵入するときがこの速度になります、15Kmと言うとかなり遅く感じますが自分でハンドルを握っていると速く感じますね。
停止位置の標識が近づき今度はブレーキ・・止める方が難しいと言われる鉄道車両ですが新型気動車の全電気指令式ブレーキは反応が早く、ブレーキレバーの操作に遅れもなくブレーキシリンダの圧力が変わります、ブレーキレバーにもノッチ・・クリック感があり丁度ロータリースイッチを回す感覚、カチ・カチ・・と操作できレバーの角度に合わせてブレーキ力が決まります、電気指令式ブレーキの場合はブレーキ弁とは言わずブレーキ設定機と呼ばれていた様な。
15Kからではブレーキも3ノッチまでで十分・・レバーを回すと直ぐに減速を始めます、停止位置が近づき3ノッチから2ノッチへ戻すつもりが勢い余って1ノッチまで戻ってしまい慌てて2ノッチにするも停止位置をチョイとオーバー・・しかもちょっとカックンブレーキにて停車・・(^^;;;
しかし初めて操作しましたがホントに操作に対しての反応が早いですね。
停止後はブレーキレバーを非常ブレーキの位置まで回し、逆転機を中立へ・・マスコンキーで施錠しキーを抜き取ります。

キーを指導運転士に返すと今度は車掌用客室扉スイッチのキーが手渡されます、反対側の運転台とまたブザーで連絡を取り合いながら運転台の切り替え操作・・前位置から後ろ位置へ、客室扉用スイッチにキーを差し込み解錠して扉を開けます。
乗務員室窓から顔を出して出発信号機を確認・・大きめの帽子が風で飛ばされそうになり慌てて押さえる・・出発信号機は赤、まだ反対側運転台では運転のための確認作業中でしょうか・・。

進行方向の運転台側で確認が終わり準備が出来ると出発信号機が青に変わります、”出発、進行!”と指差し確認、乗客は居ませんが”乗降よし!”と確認し扉スイッチを扱い扉を閉める操作・・扉が閉まると車体の側面にある赤ランプランプが消えるので”側灯よし!”・・安全が確認出来たらブザーで運転士に発車を連絡、列車が動き出したら扉スイッチのキーを施錠位置に回し抜き取ります、窓を閉め後ろを振り向き”後部よし!”と指差し確認して車掌体験も終わり・・キーを返却し先ずは新型気動車の体験運転が終わります。
画像は走行中の前方展望・・どうこう言っても素人が運転しているので速度は15Km/hまでですが乗っているときの15Kより自分で運転している時の15Kの方が速く感じるのは不思議な物、15Kまで加速したらノッチオフ、マスコンハンドルを”切”位置に戻します、でも30トン以上ある車両は勢いで走り続けます、ポイントをゴトゴト渡るのもよい雰囲気に・・遅いながらも走っているのを実感。

反対側運転台もこの様な状態に、座席に座っている方はいませんね・・新車なので車内もピカピカ。
12月ですが暖かい日で車内では少し汗が出るくらいでした。
午前中の新型気動車体験運転を終えるとお昼・・講習が行われた部屋で食事となります、幕の内弁当と缶入りですがお茶も用意されお弁当もボリュームがありお腹いっぱいに・・。
食後は皆さん思い思いに過ごされますがやはり常連さんが多いためあちこちに固まりレール談議で盛り上がっている様子・・。
下の画像は新型気動車2400形の下回りを撮影した物・・ロープの外からと言えども普段は近づけない距離で撮影できました。
運転した2406号車では有りませんが関東鉄道で使われているディーゼルエンジン、DMF13HZと言う型式で13000ccの6気筒、シリンダーが水平になる形で取り付けられ過給器と吸気冷却器も備えます。
車で言うならインタークーラーターボ・・となります、出力は330psですが車とは違い最大出力で連続運転されても壊れないと言う値です。
こちらは車両基地の片隅に放置してあったエンジン、DMH17形という17000ccで8気筒、180psの国鉄時代初期に基本設計がされたエンジンで標準化のため古い設計ながら長く使われていたエンジンです。
関東鉄道では旧型車両もこの古いエンジンから左の新型エンジンに全て載せ替えています。
  
キハ2400形の床下・・左は台車で空気バネを用いたボルスタレスという構造の台車、古い台車を見慣れている目にはシンプルに見えます。
真ん中はエンジンからの動力が繋がる駆動側の台車、2軸を駆動するので推進軸・・プロペラシャフトは歯車箱の上の方に繋げられてもう1軸側にもプロペラシャフトが延長されています、もう片方の台車は動力が繋がらないトレーラー台車になっている所が電車とは違う所でしょう。
右は変速機、停止状態から起動、低速域に使用するトルクコンバーターを用いた変速段とギア比を変えた高速域用の直結段2段を備えます、変速は速度や負荷に応じて自動的に切り替わる自動変速となっています、体験運転では速度が低いのでもちろん変速段のままですね。
  
2406号車の補機類・・左はブレーキや扉の開閉に使用する圧縮空気を作るエアーコンプレッサー、電車の場合は専用のモーターを用い元溜圧力が下がると回り出す間欠駆動ですが気動車の場合はエンジンの力で何時も圧力のかからない空回り状態で回されていて元溜空気圧が下がるとバルブが閉じ圧縮を開始する構造、圧力の上昇はエンジンの回転数に左右される所があります。
真ん中の画像はやはりコンプレッサーですがエアコン・・冷房用のコンプレッサーです、バス用の物を流用し車と同じく走行用エンジンの力で駆動します、エンジン出力に余裕が有るためこの程度の負荷は問題無いのでしょう、専用のエンジンと発電機を用いる電気式に比べ軽く構造も単純になります。
右はプリント基板などが収まっている制御機器、気動車と言えども制御はマイコン絡みの電子機器で行われるためこの様なユニットを目にすることが出来ます、箱の右下にある窓からはICや動作確認用の発光ダイオードが付けられた基板が見えます。

食事が終わり昼休みが終わると今度は旧型気動車の体験運転に移ります、先ずはテキストを用いて構造と取扱の講習・・とくに旧型ではブレーキの扱いに重点を置きます、今までの気動車に多く用いられている自動空気ブレーキ・・その扱いは難しく午前中の新型の様にガチャガチャやっても止まりません、確実なハンドル操作が求められます。
好きで調べ、この自動空気ブレーキの構造や動作原理は知っているのですが理屈を知っていてもまともに操作できないのがこのブレーキ・・でも一度扱って見たかったブレーキです。
体験運転用にかり出された車両はキハ350形気動車の3519号、2両編成となります、元は国鉄時代のキハ30系気動車ですがドラマの撮影に協力した関係で昔の京浜東北線、今の京葉線で使われる車両と同じスカイブルーに塗装されていました。
新型もそうでしたがホームがないので専用のタラップを用いて車内に入ります、そのタラップにピタリとドア位置が合わせられて止まっている旧型車・・運転士の腕が感じられます。
キハ350形の運転台、やはり時代を感じさせますが私などの歳では運転台と言うとこのデザインが思い出されます。
画像は体験運転の途中で撮影した物ですが扉が閉まっていることを示す”知らせ灯”の光が暖かみを感じさせてくれます。
メーターパネルの上には関東鉄道で追加したワンマン運転時に客室扉を開閉するスイッチが見られます、バス用の物を流用した様に見られます。
キハ350形車内風景、冷房装置が取り付けられサービスアップがされています、国鉄、JR時代に使われていた出入り口のステップは埋められていました。 キハ350形の運転、車掌業務を行っている”鉄人Mさん”、旧型気動車の運転席はちょっと窮屈に見えてしまいます。
順番が来てブレーキ練習をしている私、練習時には丁度良い減圧操作ができたのですが・・・。
(鉄人Mさん撮影)
マスコンで3ノッチを投入し加速中、新型に比べのっそりした加速に感じましたがエンジンの唸りが楽しめました。
(鉄人Mさん撮影)
旧型車の運転の流れも新型とほぼ同じですが操作する所が少し増えます、運転台の切り替えには専用のスパナの様な形をしたハンドルを用いますがこのハンドルは新型には無かった変速機の操作を行うハンドルと兼用されます、脱着出来るブレーキハンドルとこの変速機ハンドルがキーと同じ役割をしているのです。
運転台の切り替えも終わり出発信号機が青に変わったことを”出発、進行!”と確認しマスコンの変速レバーを手前に切り換え変速段へ、この気動車はトルクコンバータが絡む変速段とコンバーターを通さずエンジンと推進軸を直接繋ぐ直結段を運転士が手動で切り換えます、直結には速度が40Km程度に上がってから切り換えるので体験運転では使用しません。
扉が閉まります、車掌からのブザーで発車となりますがマスコンハンドルもそのままでは回せずハンドルノブの手前にある小さなボタンを押さないと回せません、ボタンを手のひらで押しながら1ノッチへ・・ここでちょっと待ちます、変速段に切り替わった事を示す”変”ランプ点灯を見て”変よし!”と確認・・マスコンハンドルを2〜3ノッチへ進めます、このランプが点くまでノッチを進めることが出来ないのが新型と違うところでもあります。
新型に比べエンジン出力が低く車体も重いのでエンジン回転の割には加速はのっそり・・でも自分の手でこの2両の気動車を動かしているわけです、制限速度は同じく15Km/h・・2両編成の分ちょっと走行距離は短くなります、2回目なので少し余裕も出来乗り心地も楽しめます、新型が空気バネの台車ですがこちらはコイルバネを用いた台車で線路からの振動もよく伝わりポイントを渡ると走っている実感も・・でもノンビリはしていられません、いよいよ難しいブレーキ操作・・。
惰行に移り目は停止位置の標識に、ブレーキレバーを運転(緩め)位置から重なり位置へ回し・・次いでブレーキ位置へ回す・・・シュー・・とブレーキ管から空気が抜け減圧する音が聞こえ少し遅れてブレーキ管圧力を示す針が少し下がる、この辺かなとブレーキハンドルをまた重なり位置に戻すとまた少し遅れてブレーキシリンダ圧力の針がじわりと上がりブレーキが利き始める・・。
減圧している時間、減圧量でブレーキ力が決まります、ブレーキハンドルを操作してから実際にブレーキが効き始めるまで2テンポ位遅れる感じ・・これはブレーキを緩めるときも同じでハンドルを緩め位置に回しても直ぐには緩みません、なかなか緩まないからと緩め位置に長く置くと今度はブレーキが完全に緩んでしまいます、このタイムラグがこの自動空気ブレーキの難しい所です。

私の場合ちょっと減圧量が足らなかった模様で停止位置に止まりきれず1mほど行き過ぎて停車、緩める余裕もなく一発制動緩め無し・・幸い強いブレーキにはならなかったのでドスンと止まる事はなかったのですがこれまたカックンブレーキ状態・・初めて触った実車の自動空気ブレーキ・・強者でした。
停止後はまたブレーキハンドルをブレーキ位置に回し追加減圧・・車体が動き出さないようブレーキを強めにかけて変速レバーを中立へ逆転機ハンドルも中立へ・・ブレーキハンドルと変速レバーを外し運転体験は終了・・車掌役になります。
外した変速レバーを運転台切り替えスイッチにセットし反対側運転台からのブザーを待ちます、ブザーを確認したらレバーを”前”から”後”に切り替えてこちらからもブザーで連絡、新型と同じく客室扉開閉スイッチのキーを受け取り扉を開きます、この後の流れは新型気動車と同じですが今回は車内放送を行う体験も・・これって結構緊張しますね、私は通り一遍の事しか喋れませんでしたが他の方は慣れているのか案内放送が上手い・・大抵の方は関東鉄道の駅名を出しますが他の路線に飛んでしまう方、中には関西方面の路線案内をする方も・・(^^ゞ
皆さんの車内放送は聞いていて面白かったですね、体験運転中時には急ブレーキになる運転も有りしっかり”運転中やむを得ず急ブレーキを使用・・”と放送する方もいて思わず笑いも・・。
運転、車掌の体験が終わりノンビリと風景を楽しんだり車庫内に停車中の車両をカメラに収めたり・・乗客として乗っていても他の方の運転も気になります・・停止位置手前で止まってしまい再起動する方、急ブレーキになってしまう方・・発車時もガツンという衝動と共に走り出す事もあり、マスコンハンドルを1ノッチで止めずにいきなり2ノッチに進めると逆転機のギアがかみ合うときにショックが出てしまうとか・・気動車もこんな衝動が出るのかと改めて感じました。

20人の体験運転が無事終了・・反対側運転台ではどうだったか解りませんがピタリ停止位置に・・と言う方は居なかった様な・・時計をちょっと見た指導運転士の方が・・「リベンジ・・やりますか。」との言葉、「15分程休憩を取り時間の許される方もう一度体験しませんか?」と思わぬお言葉が・・なんとキハ350をもう一度動かせるチャンスが・・車内は拍手に、指導運転士がタラップのある位置まで車両を移動させ15分程休憩・・タバコを吸う方自販機でコーヒーを飲む方・・。
体験運転も常連さん?が多く見られ機器の確認動作や扱いも手際よい為か予定していた時間より早めに終わった様です、時間の都合で帰られた方もいて少し人数も減りましたが嬉しいオマケが付きました・・また車両に乗り込みます。
リベンジの体験では時間短縮のため運転台切り替え作業は指導運転士が行い私達は出発信号の確認からの体験に・・私の結果はやはり減圧・・ブレーキをかける操作がちょっと遅く停止位置に止まれませんでしたが緩めにトライ・・しかし緩めの操作をしてその効果が出るか出ないかの内に止まってしまった感じ・・でもカックン・・は少なかったかな?・・。

  
旧型の体験に使われたキハ350形の床下機器です、左はエンジンですが2400形と同じ型式のエンジンが使われています、国鉄時代はDMH17形エンジンが使われていましたがシリンダーを水平位置にして使われたDMH17H、180psのエンジンでした、関東鉄道ではエンジンを統一し全ての車両にDMF13HZ形・・13000ccの6気筒エンジンに交換されています、ただ旧型車の場合は最大出力を230psと新型に比べ100ps低くして使われています。
真ん中は変速機、変速機は元々付いていたJR時代の物から更新されていますがやはり変速段と直結段の2段しか有りません、変速操作は運転士がレバーの操作で行います、エンジン出力が抑えられているのはこの変速機の関係でしょう、JRでもカミンズ社製のエンジンに積み替えた際、最大450psのエンジンをやはり変速機の耐久性の関係で250psに抑えて使われていました、ディーゼルエンジンは出力を抑えて使うと殆ど故障知らずになり信頼性が上がるとか。
右の画像は駆動側台車、この型式では駆動軸が台車の1軸だけになるのでプロペラシャフトも車軸の中心辺りに繋がります、旧型では進行方向を変える逆転機はこの中に収められています、中立から変速に切り替え1ノッチを入れた時に初めて逆転機内のギアがかみ合うとの事で、そのギアが正常にかみ合うと運転台の”変”ランプが点灯します、そのためいきなり2ノッチに進めたりすると急にギアがかむため”ガツン!”と言うショックが出る模様です。
  
同じくキハ350形の補機類・・左はコンプレッサー、エンジンが同じなのでコンプレッサーも2400形と同じタイプが使われていました、通常の運転では吐出量も間に合うと思いますが体験運転では運転距離も短くエンジンの回転も上がらない割にはブレーキの使用頻度が多いため圧縮が間に合わず”元溜圧力”が規定値より下がってしまうという事が発生、2400形でも同じ事が起きて停車中に空ノッチでエンジン回転を上げてコンプレッサーを回すと言うことが有りました。
真ん中は放熱器・・いわゆるラジエーター、元々付いていた物を流用していますがファンを回すシャフトが細くしかも少し変心していてヨレヨレ回っていたのがそれこそ心細い・・。(^^ゞ
右は台車・・古い人間なので台車と言うと揺れ枕釣りの有るこのタイプが連想されます、電車の101系や103系の台車に似ていますがブレーキシリンダーが車体側に付いているので台車には無くちょっと忘れ物をしてきたような感じに見えます。
旧型車にも冷房が取り付けられていますが2400形とは違い専用エンジンで直接駆動される長距離バス用の物が使われていました、エンジン出力が抑えられているのでその方が良いでしょう。

記念にと希望者の方にはこの車内補充券・・列車内で乗り越しや乗車区間の変更精算をしたときに車掌さんが発行してくれる切符を発券してもらえました、既に車内補充券自体も珍しく、専用の改札挟も貴重品・・好きな区間を指定して発券してもらえますが関東鉄道ではまだ現役の切符になるためしっかり”無効”のハンコが押され記念品とされました。
  
 
新旧気動車の運転台見比べ・・左かキハ350形、右がキハ2400形・・時代の差が感じられます、350形では電車には無い変速機切り替え用のレバーが有りますが2400形では電車の運転台とあまり違いが有りません、最近の車両はメーター類も簡素化されパネル面にはスピードメーターと元溜空気圧力とブレーキシリンダー圧力の複合型メーター2つだけになっています、最近の電車もほぼ同じで天井付近に通常は見ない架線電圧計やユニット電流計が付けられている物もあります。

リベンジの体験運転も無事終了し車両を乗降タラップの有る位置へ移動させます、タラップは水海道側にあり私の居る取手側の指導運転士は”今日はこちら側で良かった、タラップに合わせて止めるのは大変なんですよ・・”と実際の運転士でもこのブレーキを扱うのは難しい様子でした。
ここからは関東鉄道の車両基地で捉えた車両達です、型式表示や会社のマークなどは関東鉄道の物ですが懐かしい塗色に塗り替えた車両も見られます。

JRの首都圏色に塗装されたキハ100形
元は国鉄、JRのキハ30形両運転台気動車。

国鉄時代の旧標準色に塗装されたキハ300形
元は国鉄、JRのキハ35形など片運転台の気動車。

水海道駅に停車中のキハ350形の3518番。
2008年1月に水海道、取手間で乗車しました。

車両基地に並ぶ新旧気動車群。
架線が無いのでスッキリ撮影出来ます。

関東鉄道の新造車2100形、2両編成でDMF13HZエンジンと空気バネ台車を備えますが在来車との連結運転を考えてか自動空気ブレーキを採用した形式になっています。
料金箱などの設備はなく主に取手と水海道間で運転、同じ仕様で水海道から先の無人駅が有る区間で運転される両運転台の車両は2200形と言われます。

2300形気動車は体験運転に使われた両運転台の2400形を片運転台にして2両編成になったタイプ、全電気指令ブレーキを備えるため在来車とは連結出来ませんが2100形と同じく取手と水海道間で運転されている模様です。
2400形は料金箱や料金表を備え水海道と下館間で主に運転されていました。

庫からちょっと姿を見せているロッド式ディーゼル機関車。

ロッド式ディーゼル機関車用の予備部品が・・
ロッドとバランスウェイト付きクランク。
日も西に傾き、体験運転を終えての帰り道に振り返り撮影、運転したブルーのキハ350形も見えます。
帰りは水海道駅まで歩いてみましたが・・やはりかなりの距離が有りました、12月でしたが暖かい一日で助かりました。
体験運転の記念品・・運転士のバッジは”体験”の文字が有る以外は実際に関東鉄道の乗務員が付けている物と同じだとか。
体験運転証明書は運転回数の記載はなく体験の都度日付が入った証明が発行される物と見られます。
右上のキーホルダーはオプションの別料金で製作してもらいました、裏には体験運転記念と名前が書かれています。
体験運転は第2日曜日に開催されることが多く、私が毎月第2日曜日に行っている射撃記録会と重なってしまいます、
また機会が出来たら是非参加したいと思います、実車のハンドルを握ると言うことはなかなか出来ない体験なので。