■100円リミッターカットの作成■

2001.11.02


普通に走っていて、リミッターが効くことはまずほとんどないのですが、GSX1400メーリングリストでも話題になっているうちに自分で作ってみようということで、作成、装着、走行してみました。

■回路および動作原理■

まず、回路図ですが、以下のとおりです。

ニュートラルの時は、トランジスタがオフになり、回路に影響を与えなくなります。ギアポジションセンサはオープン状態になり、ECUのA/Dコンバータには5Vが印加されます。

ニュートラル以外の時は、10KΩ程度の抵抗を介してトランジスタのベースに12V程度が加わります。トランジスタはオンになり、桃色と黒/白の間にツェナダイオードが接続された状態になります。

1〜3速では桃色のラインの電圧がツェナ電圧を超えないので、ギアポジションセンサの電圧がそのままA/Dコンバータに加わります。4〜6速では、ツェナ電圧を超えるため、ギアポジションセンサの電圧がツェナダイオードで制限される形になり、A/Dコンバータには2.5V程度の電圧が印加されることになります。

すなわち、ギアが4〜6速のときは、ECUには「偽の3速信号」を送ることになります。3速の場合、エンジンは9000回転弱まで回りますので、実際のギアが6速であれば、約300Km/hのスピードになります。

オン状態でコレクタとエミッタの電位差が0Vになるのが理想ですが、実際は若干電位差があります。電位差はエミッタに流れる電流量によって変化するため、ベース抵抗を調整して桃色のラインが2.5Vのときツェナダイオードが動作するようにします。

■作成したリミッターカットの特徴■

@製作費が非常に安い!部品代で100円以下!小さくてシンプルです!
Aもともとあるハーネスには一切手を加えません、専用のコネクターも、入手する必要がありません
B取り付け、取り外しが簡単にできます
C1〜3速は、オリジナルの燃調マップになります!4速以上は3速の燃調マップを参照することになります

万が一配線が外れても、ノーマルに戻るだけですが、180Km/hを超える速度で走行中に外れたら(外れなくてもそもそもそんな速度で走ること自体(笑))たいへん危険ですので、心配な場合はハーネスにハンダ付けされることを強くお勧めいたします。

■作成■

製作、装着、走行などはくれぐれも自己責任でお願いいたします。まず、材料を揃えます。特に入手しにくいものはありません。熱収縮チューブは必ず使用してください。


トランジスタに、部品を空中配線ではんだ付けします。ダイオードは向きに注意してください。


はんだ付けの後、熱収縮チューブでショートしないように保護します。


リード線の長さは10cmもあればOKでした。(私のは長すぎです)先端には、切った抵抗の脚を使ってコネクタ差込端子をつくります。長さは10〜12mmぐらいです。


トランジスタ全体を、防水のため熱収縮チューブでカバーして完成です。

■車体への取り付け■

まず、作業がしやすいように回りのコネクタを全部抜いた状態にします。


ギアポジションセンサのコネクタの後ろ側から、差込端子を挿入して回路に接続します。無理に挿そうとすると端子が中で曲がってしまいますので、ラジオペンチなどを使って少しずつやさしく挿入します。


挿入したら、タイラップなどでハーネスに固定します。


元通りにコネクタたちを接続します。

■テスト■

ギアがニュートラルであることを確認し、メインスイッチをオンします。FIランプが点灯したあと、すぐに消灯すればとりあえず回路は機能しています。


ニュートラルでも、FIインジケータが点灯しなければとりあえず一安心です。

次に暖機運転の後、クラッチを握ってギアを6速にいれます。アクセルを開けてエンジン回転をあげ、6000回転以上回れば取り付け成功です。

これで、180Km/hの速度リミッターは解除されました。リミッターは解除されましたが、走行にはくれぐれも気をつけてくださいね。

■謝辞■

この100円リミッターカットは、GSXメーリングリストのくにさんによるギアポジションセンサ周りの解析結果なくしては作ることはできませんでした。その他の方からも、多くの情報をいただきました。篤くお礼を申し上げます。

m(_v_)m


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