登山の服装                                  2001.8.11 作成中
 基本的には国内の夏期高所(日本アルプスの3000m級の山)での登山着について説明します。3泊ぐらいの山行を想定しています。高山の春と秋の服装や低山についても触れます。

1.高山(冬季を除く)
  7月、8月でも高山では最高気温が20度以上になることは少ないが、日差しは強く天気の良い昼間は行動中は暑い。一方風があると休憩中には寒くなります。朝方は地面近くでは0度近くに冷えます。雨の時は10度以下。従って衣類を濡らしてビバークするような場合、低体温症で命を落とすことになります。一方日差しが強いときの雪渓などでは強烈な紫外線で日焼けしたり雪目になります。
  5月は雪山の装備が必要。6月末ぐらいからは雪渓が多いが夏山装備で登山ができるようになり、各地の小屋もオープンします。7月末の梅雨明け直後には最も天候が安定し高山植物の種類も多く最も快適なシーズンです。9月末には紅葉が始まり、10月末には雪が降ります。11月第1週ぐらいで大体の小屋は閉まり、上高地あたりにもバスでは入れなくなります。

 1-1 ズボン
   半ズボンも軽快ですが、原則は長ズボンです。皮膚の保護、保温を考慮します。一番良いのはウール(ナイロン混)のニッカーホース(膝下までのズボン)ですが、最近はいている人は殆ど見かけません。ちょっと大げさだから敬遠されているのでしょうか。足もとがよく見えるし足のさばきも最高です。
  長ズボンの場合、絶対避けたいのはGパンや木綿素材です。濡れると乾きませんし特に高所では冷えて場合によっては命取りになります。雨具の中にはいていても汗で濡れると同様です。その上重くて特にびったりした形のものは膝や腰が殆ど曲がらない状態になります。最近登山専門店でもこの種の綿の厚手のズボンが売られているので注意を要します。
  登山のズボンは、じょうぶで軽くて伸縮性があり濡れても保温性の高いものであることが必要です。高級品ではオーストリア製のASTRI社HーStretchlight、ロッジで1万5千円ぐらい。スイスSchoeller社のストレッチ素材を使用しており撥水性まで備えています。、春や秋はアンダータイツと組み合わせ、冬はさらにオーバパンツと組み合わせれば高所でも年間を通じて使用できます。
  こんな高級品でなくとも、ナイロンやポリエステル素材のズボンであれば問題ないでしょう。化繊のスウェットスーツが多くの学校の山岳部で登山服として使われています。特に子供はスウェットスーツが安価で伸縮性が高くて、仮に濡れても固く絞ればあまり冷たさを感じずにそのうち乾いてしまいます。
  半ズボンは尾根筋やキャンプサイトなどでは軽快で悪くないですし、真夏の山までの行き帰りにも重宝です。急な日焼けに注意すれば良いと思います。

 1-2 上着
  夏は半袖でも良いですが、原則はやっぱり皮膚の保護を考えて長袖です。ズボンと同様に木綿素材は避けます。ポリエステルなどの化繊で有れば結構ですが、最近ダクロン、ウィックロン、アクアダクトなどの保温性が高く乾きやすい素材が発売されています。アクアダクトのTシャツが3000円ぐらい、ウィックロンの半袖スポーツシャツが5000円、ダクロンの長袖シャツになると1万円位です。これらはポリエステルを主体として繊維形状に工夫があり、吸放湿、吸水発散、放湿発散性能が高められた素材です。
  もちろん化繊のスウェットスーツも結構ですが真夏はちょっと暑いかも知れません。まあ木綿でも薄手のTシャツなら良いでしょう。化繊のTシャツは案外みあたりませんものね。替えを1枚だけ用意します。雨天時はキャンプサイトについたらすぐに乾いたシャツに着替えます。
  春や秋は上着はやや厚手のウールが良いでしょう。ダクロンの下着と組み合わせます。
  高所では真夏でも防寒着が必要です。ウールのシャツやウールのセーターを1枚用意します。その上に雨具をはおれば風があっても充分防寒になります。最近のフリースも保温性が高くて良いでしょう。

 1-3 雨具
  雨具は上下セパレートのゴアテックス(ナイロン)がよいでしょう。通常2万円以上します。
  ナイロン製は通気性がないので、雨に濡れなくても汗で衣服がぐっしょり濡れてしまいます。出来るだけ汗をかかないような工夫をする必要があります。
  ポンチョは脇が開いているので通気性は抜群ですが、風が強い場合はあまり役に立たないのとビニールのため木や岩に引っかけてすぐに破れる、などの欠点が有ります。一方キャンプサイトでは雨を通さないのでシートとして色々役に立つ面もあります。
  ロングスパッツというのをご存じでしょうか。膝下からくるぶしまでを覆うナイロン製のいわばレッグウォーマーのようなものです。本来は雪山で使用します。多少の雨の場合はスパッツと雨具(上着)もしくは傘(風がない場合)の組み合わせが快適です。なおショートスパッツというものがあって、くるぶしの部分ぐらいを覆うものですが、深い砂地を歩くような場合に靴に砂が入らなくて便利です。
  傘はテントサイトでも役に立ちます。軽くてじょうぶな物がよいのですが、ユニクロで軽い1000円の3段折りタイプを見つけました。

 1-4 帽子
  帽子は日よけと頭部の保護のために必要です。日よけのためにはつば付きが良いでしょう。風でとばされないように紐またはクリップで襟に止めます。まあおしゃれ第一でも結構だと思います。  保護と言ったのは頭を木や岩にちょっとぶつけたときにけがをしないという程度の意味です。岩登りではヘルメットを着用しますが沢登りやガレ場など転落の危険や落石の恐れが有る場合はヘルメットの着用を勧めます。藪こぎでも深いブッシュに頭から突っ込んで行くような時は役に立ちます。

 1-5 下着
  下着も乾きやすく保温性の高いものが良いでしょう。専門店では良い下着が販売されていますが、普段の下着でもまあ結構でしょう。綿でも網シャツはべたつかず保温性も良くて良いと思います。最近は普通の下着でも吸湿発散作用を持つものが販売されています。

 1-6 靴下
  ウールまたは化繊(ダクロンなど)のやや厚手のものを選びます。濡らしたら直ちに出来るだけ絞ります。靴の中も出来るだけ水分をふき取ります。濡れたままで歩くと皮膚がふやけてあっという間に足じゅう豆だらけとなり豆がつぶれてさらには出血する場合もあります。そうなると次には化膿して腫れあがります。くるぶしぐらいまでの水たまりを歩いた程度で足が濡れるような靴は絶対にはかないことです。沢などでスリップして濡らす場合が問題。コースによっては替えを持参します。

 1-7 手袋
  急な下り坂などではどうしても木や岩に手をついてバランスを確保することが多くなります。このような場合には手袋をすると保護になります。雨でなければ軍手で充分です。軍手はキャンプでの調理時にも役に立ちます。皮膚感覚に近い皮製もあります。指の先が露出するものが良いかも知れませんが私は使ったことはありません。なお、岩登りのように手のホールドが重要な登山や鎖場では手袋の着用は慎重にすべきです。
  晩秋の高所や厳冬期の低山では保温の意味で手袋が必要です。岩登りでなければスキー用のものが良いでしょう。雪がなければウール(目が積んだ毛糸)のものも良いです。

 1-8 着替え等
  3泊ぐらいなら着替えは不要でしょう。まあパンツ1着位はあっても良いと思います。ボタンがとれたり衣類が破れたときのために小さな裁縫道具セットを持参すると良いと思います。

2.低山
  国内の低山では真夏の登山は不適です。夏の登山では熱中症に注意して水分を十分とって日陰で休むこと。吸汗性と放熱性の良い衣服を着用すること。帽子は必需品です。低山では5月頃の新緑の季節がベスト。その次は11月末ごろの紅葉の頃。本州以南では気温的には4月と10月がベストと思います。
  低山では下草が多く虫も多いので長ズボンは必須。さほど保温を考えなくても結構です。軽く薄手の生地であれば木綿でも可。雨具は忘れないようにします。10度以下になるような季節では夏期高山の項に準じます。


  END

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