キャンプの方法          2001.8.11 作成  2002.3.2更新
1. キャンプの目的
  キャンプ自体が目的で有る場合と、登山のためのキャンプでは全く装備の考え方が
異なります。ここでは登山のためのキャンプについて、その方法を説明します。なお、
キャンプの食料については別の項目に掲載します。用具の説明も別項目です。
2. キャンプの方法
 2−1 キャンプの場所(テントサイトといいます) 
  国立公園などではキャンプの場所は指定されています。緊急の場合以外は必ず指定
 場所でテントを設営します。なお大抵はすぐ近くに山小屋があってキャンプ地全体を
 管理しています。管理とは水場とトイレの維持を意味します。テントを設営する場合
 はこの山小屋の管理人に一人一泊300円位を支払って荷札のようなものをもらって
 テントの外から見える場所にくくりつけて表示しておくようにします。なお、積雪時
 は夏のテントサイトは全く意味がなくなります。

  さて、テントサイト以外でテントを設営する場合、水場に近く風が少なく排水が良
 い平坦な場所を選びます。河川の増水や落石の危険が無いことも重要です。特に河川
 敷の段丘などは平坦な場所が見つけやすいのですが付近の植生を観察して増水時の水
 位を見極めた上でテントを設営する必要があります。日本アルプスなどの深い谷では
 上流の雷雨で瞬時に数メートルの鉄砲水が発生します。

 2−2 テントの設営方法
  テントサイトを決定したら、整地します。テントの方向は、風向を確かめて風下側
 にテントの入り口が来るように設営します。なお谷筋では朝夕で風向が逆転すること
 が多いのですが、あまり強い風が吹くこともないでしょう。尾根筋などで突風が吹き
 込むとテント毎吹き飛ばされたり破れる可能性もあります。特に初冬は風の少ない場
 所を選ぶことが重要です。風向の確かめ方。指をなめて濡らして垂直に立てます。涼
 しい方が風上です。
  雨の時と強風の時はそれぞれ設営方法が異なります。ここでは暴風雨時の設営方法
を説明します。

  テントサイトに到着後まずザックをおろしますが、手早くフライシートかビニルシ
 ートを取り出してザックを濡らさないように覆います。このとき覆ったシートがとば
 されないように石などを載せておきます。次にザックからテントとポールを取り出し
 て、先ずテントの四隅を固定します。固定するのは風上が先です。この時ぐずぐずし
 ていると雨水が染み込みテント内部が濡れます。それからポールを取り付けてテント
 を立ち上げます。次にザックをテント内に入れ、風上側から手早くフライシートを取
 り付けます。濡れたものはなるべく雨滴を振り落としてテントの入り口隅にまとめて
 置きます。入り口は風下側にしておかないと雨が吹き込みます。一人がテント内で食
 料や食器を準備し、もう一人は外で雨具のまま水場へ行ったり張り綱の補強をします。
 最近のテントの場合はちゃんと手入れをしていれば水が下部から入ってくることは少
 ないので、排水路を作る必要はまずありません。もっとも高山では土のテントサイト
 は殆ど無いので排水路を作る必要性も少ないかも知れません。なお排水路を造るため
 にはシャベルが必要ですが重いので高校山岳部やワンゲル以外のパーティでは装備し
 ないことが普通です。土がない高所では通常ペグは必要ありません。もっぱらテント
 の張り綱は石にくくりつけます。でも一般には長めのペグを4本ぐらいは持参したほ
 うが良いでしょう。

 2−3 朝起きてから出発するまで
  朝起きたらまず靴下を履き、身支度をします。シュラフを固く巻き、ビニール袋に
 包んでザックの底に入れてしまいます。次にエアーマットの空気を抜いて畳んでケー
 スに入れます。もしテント内が濡れているときは靴下は靴を履く直前に履きます。
  朝食の支度をして食事を済ませたら、食料と食器をザックに入れます。次に外に出
 てザックも外に出します。次にテントを畳みます。テントをパッキングしたらトイレ
 に行ったり行動用の水をくんだりしてパッキングを完了します。最後に靴紐をしっか
 り結びます。体操をしたら出発です。起きてから1時間ぐらいで出発出来るようにな
 ったら一人前です。1.5時間ならまあOK。

 2−4 テント内の片付け方
  もしフライシートとテントの間に空間がある場合は、靴や雨具はそこへ置きます。
 風でとばされないように注意します。テントの広さに余裕がある場合は入り口近くに
 食料。奥にザックを置きます。余裕がない場合はザックは自分の足下に置いて、寝る
 ときにはザックの上に足を上げて寝ます。きちんと片づけないと寝る場所が確保でき
 ません。食器や食料も全部ザックに入れます。例えば二人用のテントだと、ホントに
 二人が横になるスペースしかありません。
  テントの中には紐が通っていますが洗濯ばさみを付けておくといろいろと便利です。
 雨天時はスポーツタオルを1枚テント内の掃除用にしてテント内の水たまりなどを拭
 きます。
  
 2−5 「沈」の過ごし方
  行動できない場合は一日テント内で過ごします。なんとか工夫していろいろなゲー
 ムをすると気が紛れます。

3  食事の作り方と食べ方
 3−1 ストーブの使い方
  ストーブというのは調理用のコンロのことです。
  学生時代はオーストリア製のホエーブスというガソリンコンロを使っていました。
 故障が無く(自分で修理がしやすい)、火力が強く、長時間使えましたが余熱が不十
 分だと炎が高く上がったり気化せずにガソリンが漏れたりしてテントの中ではやや危
 険な面がありました。当時(役30年前)はこのホエーブス(8000円ぐらいした)
 とコールマンのピークワンがストーブの最高峰でした。
  今は火力の強いガスコンロがあります。ガスは安全で子供でも使えます。自動点火
 しない場合のためのマッチと軍手が必要です。火力を調節し難い製品があります。
  ストーブを倒すと鍋の中身がテント内にこぼれて大やけどしたり、火災になる危険
 があります。ストーブは平坦な場所に置くことと、ガスボンベの下敷き(底面を広げ
 安定性を高める)を使うことをお勧めします。

 3−2 ご飯の炊き方
  米を炊く人も少なくなりましたが私は乾燥食品はまずくて食べる気がしません。か
 といってレトルトは重くてかさばる。やっぱり米を炊くのが一番です。
  疲れてただでさえ食欲がないので米を上手に炊くことは大変重要です。米は良くと
 ぎ、コッフェルに入れて、1.5cmぐらい水を余分に入れて中火で炊きます。米の
 とぎ汁を水場に流さないこと。最近は無洗米が良いと思います。無洗米はできるだけ
 水を入れてから火にかけるまでに時間をおくこと。吹きこぼれたら火力を少し弱めま
 す。固い棒を蓋に当ててみるとことことと中で沸騰しているのが解ります。この音が
 止まったら5分で火から下ろし、ひっくり返して10分ぐらい蓋を取らずに蒸らしま
 す。もし芯があったら少し水を足してかき混ぜてからもう一度炊きます。コッフェル
 の外側の吹きこぼれが焦げ臭くなるため焦って早めに火から下ろしてしまう場合と、
 火力が強すぎて底の方を焦がしてしまう場合が失敗の大半です。吹きこぼれるとき蓋
 が持ち上がらないように蓋の上に石を乗せておきます。メシを失敗すると責任重大で
 す。ですからリーダが責任をとるために自らメシを炊くことをお勧めします。

 3−3 炊事の方法
  最近はカロリーメートやチョコバーなどだけで食事を済ませると、食器もストーブ
 も不要だし10分も有れば食事が終わります。だんだん宇宙食みたいな食事が主流に
 なるのだろうけど私は反対。いろんな装備が軽くなって二人で3泊ぐらいなら17k
 位の装備になる。宇宙食になるとたぶん一人12kg位で済むようになると思うが、
 おいしい食事とそのための炊事という作業があってこそキャンプが楽しいのだ。

  おかずの内容については食料計画のところで述べます。ストーブは一つしか有りま
 せん。メシは冷めにくいので始めにメシを炊き、次におかずを暖めます。おかずが出
 来たらすぐによそって食事を始めます。食事中からお湯を沸かし初めて食事を終わっ
 た人から自分のスープやココア(ミロ)などを作り、最後に余ったお湯で食器を洗い
 ます。少量のお湯だけでスプンや箸で食器をきれいにし、なるべく土を掘った穴に流
 して埋めます。残飯は捨てずに持ち帰ります。食器はペーパーで拭きます。お湯で洗
 うと多少の臭いは残りますが油分は大体きれいになります。くれぐれも水場で洗剤な
 どを使わないようにしてください。残飯を水場で流すのはほとんど犯罪です。

 3−4 食べ方
  必ず全員によそってから同時に食べ始めること。特に衰弱が激しい場合には時間を
 かけてもちゃんと食事をとらせる。食欲が無い場合にはスープやラーメンが食べやす
 い。

4. 睡眠の方法
 4−1 テント内の位置、向き
  テント内で寝る方向は原則として入り口側が頭ですが、テントを張った場所が水平
 でない場合は、高い方を頭とします。昔のテントは下部がスカートになっていたので
 両端が特に寒かったのですが、現在のグランドシートが屋根と一体になったテントで
 は、寝る場所による差は少ないと思います。

 4−2 シュラフの使い方、畳み方
  シュラフは濡らさないようにします。高山の春秋ではシュラフカバーが有効です。
 シュラフは固く均等に巻きます。シュラフはパッキング(ザックに荷物を詰めること)
 するときに一番底に入れるので固く巻いていないとパッキングが崩れて背負いにくく
 なります。雨の時などは行動中に再度パッキングをすることが出来ません。

 4−3 エアーマット
  断熱と岩の上でも快適に眠るために、エアーマットは必需品です。仮にテント内に
 多少の水が入ってもシュラフの濡れをある程度防げます。昔五色ヶ原で豪雨の夜、旧
 式テントの中は川のように水が流れ、シュラフは濡らさないようにザックに入れたま
 まエアーマットの上に座って夜を明かしたことがあります。いろんな製品があります
 がエアーマットが小型で実用的です。

 4−4 寒いとき、暑いとき
  寒いときは頭まですっぽりとシュラフに入ります。または隣の人と密着します。そ
 れでも寒いようなら防寒具を着てシュラフに入ります。タオルを首に巻いて下半身は
 シュラフ毎ザックに突っ込みます。テント内で蝋燭1本灯すだけでも暖かくなります。
  もし乾いた衣服が全くない場合はストーブを付けます。ストーブを付ける場合は不
 完全燃焼に注意すること。下着などを乾かしますが焦がさないように注意。湯気は盛
 大に出てくるのですが時間をかけても完全に乾かすのは困難です。
  暑いときはテント内の換気をします。エアダクトを解放します。場合によっては入
 り口を開けてもかまいません。低山の場合は入り口を開けると蚊などの虫が侵入しま
 す。網付きのテントであれば問題なし。高山では虫の心配は殆どありません。

5. トイレ、歯磨き
  トイレはテントサイトだと最近は清潔なトイレに入ることが出来ます。ペーパーは
 持参要。ペーパーはくずかごに捨てる場合もあります。トイレが無い場合はどこでも
 トイレです。
  歯磨きはできたら歯磨き粉無しで歯を磨いてください。


END
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