エンターテインメント        2004.9.25作成

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2004年9月23日(木) 霞ヶ浦のアサザで地域社会を再生する−NPO法人アサザ基金代表理事飯島博(朝日新聞9.18記事より)
 アサザは万葉集にも詠まれた在来種の水草。群落が増えればヨシやガマなどの植生が岸辺によみがえり水質も浄化に向かう。このNPOの「100年後にトキ が住める霞ヶ浦に」との合い言葉に、様々な霞ヶ浦再生事業に参加した住民は9年間で計9万人を超えた。流域の小学校では茨城、栃木、千葉の3県43市町村 170の小学校で出前授業を続け、毎年1万人に語りかけてきた。
 役所も動かす。護岸を土で覆って植生を復元する事業を国土交通省が00,01年度11ヶ所34億円で実施した。文部科学省所管の小学校の観察池に国交省 が1ヶ所20万円の資金を出したのも基金のアイデアだった。里山の林業者や霞ヶ浦の漁業者も巻き込みこの事業は03年施工の自然再生推進法のモデルと言わ れた。ばらばらな行政や企業、住民をつなぎ、地域社会を再生する。霞ヶ浦を日本の改革の先端地にした。
 NPO主催の飯島。「行政が国民に求めているのは合意形成というあきらめです。押し返すには夢の力が必要です。霞ヶ浦に小さな可能性をみつけ、ものすごく大きな夢を描き、多くの人と共有する。これはなかなかつぶせない。従来型の反対運動よりも大きな圧力になります。」

 浅瀬や湿原が大きな水質浄化能力を有することがようやく常識になりつつあるが、浅瀬の再生方法も国交省方式はやっぱり大規模土木工事であるという。このNPOは良いアイデアを実現し住民の支持を得て、行政を少し動かしつつあるようだ。
 8月末の暑いさなか、ある都市公園を散策したが、小さな噴水池と池に続くゆるい階段状の川が作られ、日差しの強い午後だったが子供が遊んでいた。私も友 人と共に靴を脱ぎズボンの裾をまくって流れに入った。土も植物も全くない、磨かれた石とコンクリートの水路。水路から隔てられた芝と花壇。芝には除草剤が まかれているにちがいないし、水路の循環水は藻が繁殖しないように塩素が入っている。子供の笑い声と照りつける太陽となさけない都市公園への思いとが一緒 くたになって次第に頭がくらくらしてきた。

2004年7月24日(土) 1級河川の水質−大和川はワーストワン。国土交通省7日発表。7月19日付け下水道新聞より。
 全国109の一級河川の1097カ所(河川長の概ね10kmにつき1カ所)の河川毎の平均値で比較。97.5%で鮭鮎が住めるBOD3ppm以下。8割の河川で泳げるといい、10年前と比較してかなり改善されたとのこと。以下ランキング。

 良い方は@後志利川(北海道)A荒川(新潟)B豊川(愛知)C宮川(三重)D大野川(大分)。
 悪いほうから@大和川(奈良)A綾瀬川(埼玉)B鶴見川(神奈川)C中川(埼玉)D牛渕川(静岡)
となっており、大和川のBODは5.3ppm。全国一汚い川がこのデータなら悪くないと思うかもしれぬが、下流の水質は20ppmを越えているのではない か。数年前はワーストの河川はみんな20ppmを超えていたように思う。その場合下流では100ppmつまり下水を倍に薄めたぐらいの無惨な水質だったの だ。日本の河川はもう少しでどこでも泳げるようになるというようなような雰囲気だ。しかし6月の保津川では保津峡下りの船はにぎわっていたが見た目にはと ても泳げる水質ではなかったし、五反田で毎日眺めている目黒川は時折魚がはねることもあるが真っ黒だ。実感として日本の河川の8割が泳げるということはな いだろー。

 「全ての日本の川を泳げる川にする」というような目標を掲げても、ようやく現実的に受け止められるぐらいの汚染レベルになった。行政の施策はこのよう な、多数の人が共感するわかりやすい目標を掲げることが、縦割りの行政が新たな仕事に取り組む様な場合に効果的だ。インフラや防災や生活環境について、日 本人は比較的価値観を同じくし、モラルは低いが仲間はずれを恐れるゆえムラのルールには従順である。だから地域の自然環境や住民の仕事が似通っているほど 共通の目標が立てやすいのではないか。もちろん川で水遊びするものは川で生活するものへの配慮が前提であるし、それを学ぶことが水遊びの最大の収穫でもあ る。市町村合併は行政の地域性を希薄にし、単に効率化だけを目指すものだ。地方はその個性を磨いて魅力にするような行政が必要と思う。

 都市と田舎の情報格差が薄れてきたので、今や知的な仕事こそ田舎向きである。オーストラリアやマカオに移り住む日本人のリタイヤが多いと言うが、安い土 地や新鮮な食い物や美しい自然はもっと身近なところにもある。そこで行政は医療や教育の質を高めて、自然を守り伝統的な行事を復活し地元の産業を育てるの だ。いつもの話になった。

2003.7.12(土)  国土交通省 8日発表による2002年度1級河川の水質調査結果。

 109水系の1094地点でBODを測定し年間平均値を比較した結果。環境基準を満たした点は全体の85%。( )内は昨年順位。

[ベスト5]
  1(1)尻別川(北海道)
  1(3)後志利別川(北海道) しりべしとしべつがわ
  1(3)札内川(北海道)
  1(2)宮川(三重)
  5(10)大野川(大分)

[ワースト5]
  1(3)鶴見川(神奈川)
  2(2)大和川(奈良・大阪)
  3(1)綾瀬川(埼玉・東京)
  4(5)猪名川(大阪・兵庫)
  5(4)中川(埼玉・東京)

 川の風景は魅力的である。東海道新幹線から眺めると木曽川が一番美しい。水量が多く広い河川敷には木が良く育っていて醜いコンクリートや石積みの護岸が見えない。醜いのは最近はやりの河川敷の花壇などを配した平面的な公園だ。
 大きな川は豊富な水の流れと風にそよぐ緑の木々があるだけで十分に美しい。河川はデザインしないことが最高のデザイン。人工物を見せない工夫が唯一のデザインであって欲しい。
関連HP <http://www.mlit.go.jp/river/press/200307_12/030708/index.html> 

2003年2月12日(水)  環境(サステナビリティ)報告書
 下記のURLは、中央青山監査法人の環境報告書に関するページだ。「自主的な報告で有りながら作成公表している企業数が急増している」とあるが、環境報 告書は、公共事業にこそ求められているのではなかろうか。LCAのような製品レベルの評価法はほぼ定まったが、企業や自治体の事業全体に対する環境監査の ノウハウは現在どこにあるのか。
 「外部行政監査は莫大なマーケットだ」とは以前から言っているが、現時点では「会計監査」の域をさほど出ていないようだ。様々な外部監査システムがビジ ネスになると思うが、例えば「(水道)事業監査」と「環境監査」はいわば縦割りと横割りの関係にあり調整を要する。監査法人が得意な「会計監査」がいわば 横割りだから、「環境監査」はマッチングがいいというわけだ。
 情報処理の資格に「システム監査」というのがあるが、この分野も建築の「設計・施工管理」のようなメーカーから独立した事業になかなかならないのが不思 議だ。知恵を売る商売のタネはいくらでもあるのだが、知恵にはカネを払いたがらないのが、いまなお日本の商慣習であるらしい。

http://www.chuoaoyama.or.jp/environment/trend/030206_0101.html

2003年1月19日(日)  コンビニおにぎりの添加物
 最近、「服部栄養専門学校」服部幸應が、博士号を取得すると言う話を週刊誌だかで読んだ。博士号を取得する理由として、インスタント食品やレトルト食品 に使用される添加物の害を勉強する必要があるからだという。家庭で作るおにぎりが半日しか持たないのに、コンビニのおにぎりが1週間も持つのは自然ではな い、という。センセーショナルな事例を挙げて添加物の害を仄めかしただけで、具体的な事実を明確にしないのは科学的な態度ではないので、彼は本当に勉強し たのかと思う。家庭で作るおにぎりが半日しか持たない最大の理由はおにぎりを握る手が汚いからだ。
 確かに料理(食品)にはうまいまずい以外に栄養という側面があるが、衛生や添加物という面もある。O157、雪印や狂牛病などは食品事業のリスクが大き いものであることを知らしめた。例えば添加物の規制は行政の仕事だが、先のような問題が発生するたびに明らかになるのは、行政が消費者の為ではなく業界の 利益のために機能していることである。服部氏は「料理業界」をつくり行政を牛耳ってレトルト食品業界やコンビニと戦うべきであったかも知れない。

 「買ってはいけないおにぎり」 http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~k15391/lecture/me1-2002b3.pdf

2002年12月11日(水) 「環境経営度調査」 製造業10日、非製造業11日付け日経産業新聞
 製造業ランキング。@日本IBM Aキャノン BNEC Cリコー D松下電機産業 Dソニー F九州松下電器 Gデンソー Hホンダ I富士写真フィ ルム Jトヨタ自動車 KTDK L日立製作所 Mコクヨ Nコニカ O富士ゼロックス P松下電池工業 Q松下電子部品 Rカシオ計算機
S松下冷機  /松下グループとトヨタグループが目立つ。評価項目:運営体制・情報公開、環境教育・社外貢献、ビジョン、汚染リスク、資源循環、製品・物流対策、温暖化対策。
 非製造業ランキング。@西武百貨店 A損害保険ジャパン B西友 C三菱商事 D岩谷産業 Eファミリーマート Eイトーヨーカ堂 GNTTドコモ H 住友商事 Iセブンーイレブン・ジャパン Jトーメン K原信 Lニチメン Mイオン N東洋物産 O日立物流 Pムトウ Q東日本旅客鉄道 R日本マク ドナルド R日本通運 /西武が高評価で2年連続トップだが、今年は金融、商社の躍進が目立つ。評価項目:運営体制、情報公開、啓発活動・サービス、ビ ジョン、リスク管理、資源循環、温暖化対策。 以上日経産業新聞より。
 
 アンケートへの回答による評価であるので、日経本紙でも扱わないのかも知れない。12年前、NECのさる部長と廃棄物処理学会のヨーロッパ視察旅行で知 り合った。氏は機械の技術者であったが計量士の資格を持っておられた。NECでは環境委員会という社長直轄の独立組織があって、独自の基準を決めた上で全 工場の抜き打ち監査を毎年実施していると聞いた。組織の不正を防止したり組織目標と異質な課題に取り組む場合は組織自体の自律に委ねることはできない。工 場排水による公害問題が当時既にリスクとして十分に認識されていたにも関わらずNECの取り組みは先進的であった。
 私の知る某大メーカーにはそのような組織はない。環境を商売のネタと捕らえることはできても、装置にとらわれ未だに事業の芽がでない。自社内の環境への統一した取り組みすらできずに、他社に手を貸す事業が実現できるわけもないのだが。

2002年12月26日(木)  海水中のCO2固形化−26日付け日経産業新聞より
 化研(水戸市)は海水中に溶け込んでいるCO2を電界処理で固形化し海底に沈める新しい技術を開発した。国や電力会社などに同技術をベースに共同事業化を働きかけ、早期実用化を目指す。
 開発したのは[除炭酸システム」。海水に含まれるカルシウムイオンと炭酸イオンを海水中に設置した電解槽で電解反応させ不溶性の炭酸カルシウムを生成す る。この課程で海水中の炭酸イオン濃度がCaCO3の生成量に比例して低下。CO2吸収余力を高めた弱アルカリ性の海水が大気中のCO2を吸収する仕組 み。生成されたCaCO2粒子はそれ自体の重みで海底へ沈殿、海底千メートル付近に堆積させる。 同技術を実用化、メガフロートのような巨大装置を二千億 円から四千億円かけて建設すれば日本が削減義務を負う年間のCO2量約一億八千万トンの削減が理論的に可能、という。発電によるCO2排出量1に対する固 定化量は20なので電力を使う固定化処理のメリットは大きい。CO2を海底1000m付近に堆積させ鉱物化すれば海水に溶け込む心配はないと見ている。海 水の電解処理に伴い、大量の水素資源を回収できる。C02一億八千万トンの処理で現在の市場価格で六千億円から一兆円の水素資源の回収が見込める。これに より水素の価格が下がり燃料電池の普及にも役立つと見ている。化研は前期の売上高8億円の環境・化学分析の会社。基礎技術と関連装置の特許を出願した。− 以上日経産業新聞より

 環境税(CO2税)を創設してメガフロートの建設、運転を行えば良い。実に明るい話題だが検証すべき事は多いだろう。しかしわざわざ空気中の低濃度の CO2を回収するよりも、途上国のCO2発生源で捕捉するほうが低コストとなるだろう。援助によるCO2固定または排出量削減のための投資は援助元のポイ ントと見なされるはず。

2002年11月7日(木) 下水道事業における排出枠取引制度 −日本下水道新聞 11月5日付け
 国土交通省下水道部は、高度処理についての排出枠取引制度を活用した対応を検討するため委員会を設置した。来年三月までに東京湾流域を対象に取引モデル を検討する。「排出枠取引」とは、汚濁物質の排出総量を決めた上で、排出枠(排出許可証のようなもの)を発行して、あらかじめそれを各自治体に配分してお いた上でその権利を売買する経済的手法のことを言う。東京湾におけるモデルの枠組みは、流域の7都県市で高度処理(COD、T−N、T−P)を対象に排出 枠を設定し、汚濁負荷量を「T−COD」という指標に一元化。一単位当たりの平均削減コストを算出し排出枠価格を設定する。取引の前提として「東京湾高度 処理協議会(仮称)」を設置し、流域の下水道管理者に削減量を割り当てそれに基づき許可排出枠を決定する。さらに同協議会に「東京湾流域高度処理基金(仮 称)」を儲け、同期金が排出枠の売買を斡旋・調整する取引形態が考えられている。−以上、下水道新聞による。

 東京湾や瀬戸内海などは「閉鎖性水域」として、CODに関して総量規制が実施されている。公共用水域の水質保全を目的として、総汚濁負荷量を調整しようというものだ。この調整方法に関する話題である。
 下水の高度処理は用地問題などのため合理的に進めにくい面もあるので、汚濁負荷の枠取引というのは一見合理的に見える。しかし公共事業として求められて いるものは金銭による枠売買ではなくもっと高邁な理想ではないのか。さらに、下水処理場の処理水が上水道の水源となっているような現状では、事業体間の もっときめ細かな連携が必要だ。枠取引の思想は、整備しやすいところだけ整備すればよいという安易な発想を招きかねない。

2002年9月6日(金) 2002環境展
 (株)日報主催。行くかどうか迷ったが、只券を郵送してきたので昨日午後、インテックス大阪まで行ってきた。会社から中央線ですぐ近くなのでさっさと見 てきたら2時間で戻って来られた。以前から環境展はイベント会社のカネ儲けで、モノ売りのための展示にしかなっていない、との印象を持っていた。その理由 はセンセ(ここでは実力のある学者という意味)が絡んでいないからだ。ところが、今回大阪府立大など大学ブースが5つほどあって驚いた。
 東大生産研究所の安井教授のブースがあって、「100%木材パルプの紙と75%古紙の紙とでは、あなたはどちらを使うか」というアンケートをパソコンで 入力させていた。回答すると発泡酒をくれるというので喜んで協力した。内容は、CO2、コスト、エネルギー、木材資源という4つの評価項目があって、コス トとエネルギー使用量の2点で75%古紙の方が不利。他は有利と言う話を順番に提起して、あなたはどちらを選ぶか、と何度も聞いてくる。つまりあんたはな んもかもわかった上で判断してるのか。古紙再利用のことに限らず、もっと勉強せい、と言っているのだ。いやな感じのアンケートである。パソコンによるアン ケートの回答を終えると「キリン極生」がもらえたが、「冷やしてお飲みください」と言う。これでは喉を潤すどころか、荷物になるだけではないか。なお、他 の大学の展示も大した内容ではない。
 全体展示について。減容、梱包、選別、生ゴミ処理、小型焼却炉、搬送などの装置展示が大半。脱臭、廃水処理、ダイオキシン土壌汚染除去が少し。分析、計 装、サービス、省エネ、CO2固定、フロン処理、PCB処理などはなし。BtoBで目先売れるモノが対象だ。環境ビジネスはこんなに底が浅いものではない だろうと思わせるような展示会であった。

2002年9月23日(月)  一からわかる食品の残留農薬−9月23日朝日新聞朝刊より
・残留基準の決め方
 厚生労働省が農薬毎に定める。一生にわたって毎日食べ続けても健康影響が出ない「許容一日摂取量(ADI)」の8割を各農産物に割り振る。残り1割は大 気や水から体内に入る分と見積もる。各農産物ごとの基準値は、どの食品を通常どのくらい食べるかという調査に基づきそれぞれの食品に基準近くまで農薬が残 留したと仮定して割り振られている。
 中国産冷凍ほうれん草で問題になった殺虫剤クロルピリホスの場合、ホウレンソウや春菊では検出限界に近い0.01ppmとされている。枝豆やレタスは 0.1ppm、小松菜やブロッコリーは2ppm、大根の根は3ppm。今回の違反ほうれん草の最高値2.5ppmはホウレンソウの基準値の250倍だが、 大根であれば違反にならない。

・国外産品の検査
 検疫所では通常、輸入届け出の10件に1件程度の割合で、残留農薬や添加物、細菌などを抽出検査し違反があると抽出率を上げる。違反を繰り返す特定品に は「検査命令」を出して全てを業者負担で検査させ、それが済むまで流通にまわらないようにする。ただし、加工食品には基準が無く検査の対象外。現在検査命 令が出されているのは残留農薬だけで40品目以上。検査命令は今年4月以降報道発表されているほか個別の違反はホームページで公開されている。http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html
 中国産冷凍ホウレンソウでは、違反のあった個別の貨物の輸入しか止められないことが問題となり、今月7日施工の改正食品衛生法で違反の相次ぐ特定食品を 包括的に輸入中止にできるようになった。検査命令後の検査が60件になった時点で5%以上の高率の違反があれば発動検討の対象になる。なお、国産の農産物 は、店頭などで都道府県が抜き打ちで残留農薬を調べている。

・登録農薬について
 国内で農薬を販売するには農薬取締法に基づく「登録」が必要。健康や環境への影響のデータとともに申請され、環境省の基準を満たしたものを農水省が登録する。有効期間は3年。食用の農産物に使われる農薬は現在約350種類が登録されている。
 登録された農薬には、農水省が収穫の何日前までに何回使用できるかを定めた「安全使用基準」があり、これに基づき都道府県や農協が細かな指導をする。守ってさえいれば通常は食品の残留基準も超えない。
 使用が発覚したダイホルタンやプリクトランは発ガン性などの疑いで登録が失効していた。同法には無登録農薬使用の罰則がない。農水省は秋の臨時国会に改 正案を提出する方針。農薬取締法に基づく登録と残留基準の設定はリンクしていない。登録農薬で残留基準が定められているのは約半数。一方で輸入食品取り締 まりのため、国内で無登録でも残留基準があるものもある。基準のない農薬の残留は健康被害の恐れが高くない限り食品衛生法で取り締まれない。厚生労働省は 来年度から一気に基準づくりを始め、将来は基準のない農薬を「残留禁止」にできるよう法改正する方針。農薬登録と同時に残留基準を設けることも検討課題に なる。   −以上、9月23日 朝日新聞朝刊より

 ちょっと長いが農薬の規制について「使用」と「残留」の法規制の問題が良く解る内容なので記事のかなりの部分を引用した。この朝日の記事は問題点と省庁 の動向までを含む丁寧なものだ。ただし、省庁の縦割り行政のちぐはぐさや大製薬会社の利益と大きく関わる農薬行政が簡単に消費者を向いたものに方向転換さ れるとは思えない。また、輸入食品の規制には国内生産業者の期待も見え隠れする。農薬や化学肥料は人間を含む現在の生物が数万年もの間進化してきた生存環 境を大きく変化させるものだから、基本的には使用すべきでない。自然環境における将来にわたる影響が判明しているわけでないからなおさらである。一方化学 肥料や農薬は農産物の生産のコストを下げ収量を増大させる。ここにも科学技術とリスクの問題があり、行政の関わり方の未熟さがある。

2002年8月24日(土) B i z T e c h M a i l 朝刊  2002/08/23 より
 心身共に健康な高齢者を対象とした二重盲検試験で、イチョウ葉エキスの認知機能改善効果は、実はプラセボ並みに過ぎないことがわかった。健康な人が、 「ボケを防ぐ」ことを期待してイチョウ葉エキスを飲んでも、あまり意味はなさそうだ。研究結果は、Journal of American Medical Association(JAMA)誌8月21日号に掲載された。 イチョウ葉エキスは、ドイツでは医薬品、日本や米国では健康食品として販売されている成分。血管性痴呆やアルツハイマー病の人を対象としたプラセボ対照試 験で、少なくとも4週間毎日服用すれば、痴呆の進行がわずかに遅くなることが確かめられている。−以上、ビジテックメール朝刊8/23より。購読申し込み は→http://bizmail.nikkeibp.co.jp/
 ともあれアルツハイマーの治療薬が発見されるのは時間の問題、といわれている。

 私もガンになってわかったのだが「免疫力を高める」または「抗ガン作用がある」「末期ガンが治癒する」というような食品が数限りなくあり、例えば「アガ リスク茸」というのもそのひとつなのだが、各社から販売されるようになると、また特別な「アガリスク茸」というのが売り出される。大体月数千円から数万円 分を何ヶ月もの間服用することになっている。ほぼすべてが科学的に調べれば何の効果もないものなのであろうが、多くは有効成分が明確でなく、金と時間をか けて実験しない限りは医学的な判断が難しいと思う。一方新薬の発見の重要な方法として、インドネシアなどのジャングルで原住民に伝承されている薬草を採取 して有効性を確認するようなやりかたがあり、モモの葉やアロエのような民間療法や伝承(漢方はその極致)がでたらめであるとは思わない。しかし最近は学者 が論文でキャベツが良いとか言い出すと早速テレビがその学者を呼んで番組にするから始末が悪い。「健康食品というものは多少の毒性で健康になるというもの だ。http://plaza13.mbn.or.jp/%7Eyasui_it/Slim.htm」という意見もある。まったく健康(人体への影響)に ついての情報は多すぎるうえに客観的な評価が難しい。少なくとも売り手自身のほめ言葉は信用しないことか。もちろん大手の製薬会社や食品会社であっても、 である。

2002年8月24日(土) 電磁波健康に影響−朝日新聞8月24日朝刊より。下に引き続き健康の話題。
 高圧送電線や電気製品から出る超低周波の電磁波(0.4マイクロテスラ以上)がおよぶ環境では子供の白血病の発症率が2倍近くになる、という調査結果が 国立環境研究所などによる初の全国疫学調査の中間解析の結果ででていることがわかった。WHOなどは昨年、電磁波で小児白血病の発症が倍増するという同じ 結果を発表している。今後日本でも欧米並の電磁波低減対策を求める声が出る可能性もある。
解説:超低周波とは送電線や家庭用電化製品から出る低い周波数の電磁波(50Hz、60Hz)のこと。携帯電話は1ギガHz前後の高周波。超低周波の強さ は高圧送電線の直下では最大20マイクロテスラ、通常は1マイクロテスラ前後の磁界となる。家電製品は距離が離れると急激に減衰するのでほとんどの一般家 庭の平均磁界は0.1マイクロテスラ前後。−以上、朝日新聞24日付け朝刊ヘッドラインより。

 電磁波の健康への影響は80年代からたびたび話題になってきたが、当時はアメリカでも電力会社の政治的な影響力が強く、電磁波の健康被害に関する論文は 一時的に話題になったのみで葬られてきた。電界や磁界の人体へのなんらかの悪い影響は当然あるだろうと思っていたのは私だけではなかったと思うが議論その ものが一般にはあまり知られていなかった。このようなテーマについては日本では従来からアメリカの動きに追従して規制が実施されるが今回もそのパターンど おりである。人類の進化史上に無かったものはことごとくまず疑ってかかる必要があるのではないか。もちろん高周波についても人体への影響がある可能性があ る。
END