2019年08月


 2019年08月31日 よくわかるF1グランプリ

 Commentary of the F1

 F1は夏休暇の後ベルギー、スパ-フランコルシャン-サーキットで後半戦が再開され、現在フリー走行2回目の結果が報道されている。3回目は日本時間で本日19時から。現地は好天が続きフリー走行1回目FP1、2回目FP2ともにパワーのあるフェラーリが1.2位を占めている。
 今年の前半戦では昨年同様メルセデスが圧倒的な強さだったが、前半戦終盤ではレッドブル(ホンダ)が上位に入り、昨年同様メルセデス、レッドブル、フェラーリが上位3チームとして君臨している。
後半はセカンドドライバーの入れ替えもあり、ベルギーは不振のフェラーリに有利な直線の長いハイスピードサーキットであるところが見どころである。
 ドライバーはメルセデスはハミルトン、ボッタス。レッドブルはフェルスタッペン、アルボン。フェラーリはベッテル、ルクレール。レッドブルのアルボンはトロロッソホンダから昇格してガスリーと入れ替わった。

 ここから後はわかりやすい解説
 今年のF1は全21戦のレースが開催され10チーム20台でレース毎の勝敗を競うほか、年間チャンピオンシップが争われる。各レースのトップには25ポイント、二位18p、三位15pと、10位1pまでの得点を合計して年間チャンピオンが決まる。2018年はハミルトンだった。なお、2019年からレース毎のファステストラップ(1周の最速タイム)に1p与えられる。
 なお、1チーム2台の得点を年間で合計してコンストラクターズチャンピオンシップが争われ、2018年は一位メルセデス655点、二位フェラーリ、三位レッドブルだった。トップ3チームが総得点の8割を占めており、ドライバー3割、マシン7割と言われる所以である。
 F1は金曜日に2回のフリー走行、土曜日に一回のフリー走行と三回の予選が行われ、決勝のスタート順位が決まる。フリー走行FP1〜3に一回以上参加することが決勝出場の条件である。土曜午後の予選はQ1(qualify) 18分間で一周のタイムを争い、上位の15台が7分後にQ 2で15分間アタックして、上位10台がさらにQ3に進む。Q2の8分後に12分間のQ3が始まり、この結果によって決勝での10位までのスタート順位が決まる。スタート順位一位はポールポジションと称される。なおQ2で10位までのドライバーはQ2で最速ラップの時使用したタイヤで決勝をスタートすることが義務づけられている。 またQ3の最速タイム時に使用したタイヤは返却するので決勝では使えない。これらが上位10位チームのハンディである。
 タイヤはドライタイヤはハードからソフトまでの5種のうちレース場毎に三種指定され、ハード白、ミディアム黄、ソフト赤がドライバー毎に各1セットと残り10セットは事前に自由に選択できて計13セットが使用できる。レインタイヤは小雨用のインターミディエイト緑、溝が深いウェット青、がさらに各2セットずつ、計4セット供給される。なおフリー走行FP1〜3ごとに2組ずつ返却ししてゆき、上位10チームは予選Q3のタイヤを返却するため、決勝では上位10チームは6組、下位チームは7組のタイヤセットで戦う。さらに決勝では3種類のタイヤのうち2種類以上のタイヤを使用することが義務付けられている。
 タイヤの種類によって1周のタイムが1秒以上異なり、1周のタイム差は1秒で10位ほど差がつく場合もあり、タイヤの選択が肝である。ところが急な降雨などではチームのレインタイヤとドライタイヤの交換タイミングの判断の差がレース結果を左右するのが興味深い。なおレインタイヤの使用は自由であるが、雨天スタート時に指定された場合のみ全チームがウェットタイヤスタートとなる。
 決勝レースでのタイヤの交換回数には制限はないが、一度ピットに入ると20秒程度を要する。降雨時以外は通常タイヤ交換は2度以内である。なお、現在は燃料補給は認められておらずピット作業はタイヤ交換が主な理由で、最速2秒の停止で交換される。ビットでは接触などでフロントカウル(車体前部のカバー)などを交換する場合もある。


 2019年08月9日 消せるボールペン

  The ball-point pen which we can turn off is sold. Because a thing of Pilot Corporation is high-performance, it is spreading globally.

 暑い話を一つ。
 封筒の表書きを書いて、数時間停車した車の中に放置しておいたら、ほぼすべて文字が消えていた。中身も消えた可能性が高いが、その場合は電話で確認したい旨表書きに書き添えて投函した。
 消せるボールペン(パイロットフリクションボール)で書いた文字が熱で消えることは知っていたが、夏の車中の高温程度で消えてしまうのだ。最近はいつも消せるボールペンを使うようになったので注意が必要。アイロンやドライヤーでも消える。60度以上で消えマイナス10度で復活するとのこと。...
 もし手帳の中身がすっかり消えたら、冷凍庫でまた読めるようになるが、書き直した部分は全て見えるようになってしまう。なお消せるボールペンそのものも車中に放置するとインクが透明になる。冷凍庫で元の色になる。
 ところで、証書類も書ける消せるボールペンがあるとのこと。1分以内なら消すことができて、1日経てば全く消えなくなる。(ペーパーメイト、リプレイマックス)
 さらに消せるマーカーがあり、染みこまないインクがボールペン同様温度によって消える。色が裏移りせず筆跡も残らないが、書き心地がややザラザラするとのこと。(パイロットフリクションライト)インクが文字の上に乗るので、文字がややかすれて見える。そのためか、色が薄いタイプのものも発売されている。
 新しい文具の機能は世代によっては十分には知らないのではないか。商品名等はウェブを参考にした。なお、消せるボールペンは、パイロットとパイロットのOEMのMUJIは良いが、三菱鉛筆のユニボールシグノイレイサブルは完全には消せないとのこと。また、三菱の新製品ユニボールR:Eは消せる機能は向上したが色味が薄いとのことだ。
 私が面白がって細かく調べるのは技術コンサルタントという仕事柄のせいかもしれぬ。


2019年08月04日 自動運転の未来
 
 2020年が自動運転の実用化の目標年度とされてきた。まだまだという意見が多いがビジネス的には変化は早いと想定すべきで、かつ変化の範囲と程度を想定する必要がある。そういう観点で自動運転が実現した数年後の社会や経済の変化はどのようだろうか。
 とっくになんとか総研や官公庁で予測されている筈だが私は見たことないので、拙い思いつきだろうが以下。

1. 物流のコストダウン...
トラック輸送の安全性が高まり、渋滞が減り、ドライバーが不要となり、総合的にコストが減る。
 ドライバーのコストが減れば積荷を集約せず分散して、より目的地に近いハブまで到達しようとするので、自動車の台数が増大する。また、ドライバーの負担がないのでコスト面から有料道路が避けられるようにもなる

2. 新たなモータリゼーションの到来
 現在有料道路を走行するとしても自動車に2人乗れば鉄道より安い。自動運転はドライバーの負担を軽減し長距離移動を可能にする。特に時間に余裕のある高齢者は数人単位で全国を移動するようになる。安価で手軽な宿泊施設が増える。駐車場、オートキャンプ場、道の駅、モーテルの需要増。
 海外の観光客も自動車で移動する。レンタカーやカーシェアのニーズが高まる。

3. 自家用車が激減する
 自家用車はほとんどがスポーツカーになるとはトヨタの予測である。多人数を載せたり荷物を積む場合、キャンピングカーなどは、用途に応じてレンタカーが利用されるので、所有する人は運転そのものが目的の人が中心になるという理由だ。
 人の移動は無人タクシーが安価で早い移動手段になる。田舎(人口密度が低く移動手段が少ない地域)の交通は現在はパーソナルな自家用車だが、無人タクシーは昼夜を問わず低コストで人口密度が低いところにも容易に配置できる。だが通勤通学や病院通い、買い物には今同様にコストの安いコンパクトな自家用車が使用されるかもしれない。高齢者にとっても安全で便利な移動手段となる。

4. 障害者の移動が容易になる
 障害者の外出が容易になる。単独での外出が増えれば外出先でのバリアフリーを一層進める必要が生じる。介護の主要な業務に送迎や外出補助があるが、これらの仕事が軽減される。
 もっと想像をたくましくしてみると。障害者の外出や労働機会が増えると につれて、介護は今のような個人対個人の仕事から、1対Nの介護や介助が求められるようになる可能性がある。個々の障害者の障害の程度は体に埋め込まれたマイクロチップで認識されるようになるかもしれない。それによって不特定多数の障害者が移動中や移動先でも適切な介護や介助を享受できる。

5. 運転免許が不要になる
 車種区分が不要になり、いずれは免許そのものが不要になる。海外の旅行者にとってメリットがある。
 以下はやや飛躍するが、災害や急病、事故時の判断など、自動運転を超えたレベルの、人間として判断や行動能力が求められるとすれば、メンタル面や知性レベルの判定が運転者としてではなくいわば運行管理者として求められるかもしれない。例えば認知症の人が自動運転車に乗り込んで、帰る自宅も亡失したまま次々に行き先を指定したり、子供だけが乗り込んでしまうようなケースに、事前に一定の規制が働くような仕組みが必要かもしれぬ。

6. アクシデントへの対応
 自動運転は交通事故や地震、水災への臨機応変な対応が難しいかもしれないが、一方避難は最寄りの避難所に速やかに移動したり高台にいち早く避難したりすることも可能だろう。しかし非常に局地的な条件に自動的に対応することは難しいだろう。
 自動運転が豪雨や降雪、濃霧などに対応困難な可能性があり、ヒトが困難な状況での運転を強いられる場合があるだろう。

7. 電気自動車の普及による発電電力量の不足
 騒音振動、排ガスの削減のために電気自動車が増大しつつある。ブレーキ時の回生エネルギー利用により一層効率が良くなる。自動運転が普及する頃には自動車は電気自動車が主流になる。自動車の構造はシンプルになり、故障やメンテナンスの少ない装置になる。大半の物流や移動手段が電気ネルギーになると電力需要が増大する。エネルギー支配を目論む大企業が原子力発電所の新設を画策するかも知らない。ガソリンや軽油の需要がほとんどなくなるが、灯油は無くならないかもしれない。

8. 鉄道との関係
 自動車が道路や交通の管理機能などのインフラ整備をほとんど公費で負担しているのだが、鉄道は全て民営のために元来コストが大きい。特に人口密度が少ないところでは運行数が少ないが軌道や設備の維持は一定のカネがかかり、都市部以外では構造的に概ね事業として成立していない。JR貨物は有効なハブを構築する投資を怠ったために、物流での存在意義が低位となった。エネルギー効率は鉄道が十分に高いので、軌道の公費負担と効率的なハブを構築すれば、幹線はトラック輸送以上よりも高速、低コストとなるのではないか。


END