2018年03月


 2018年03月13日 森友の公文書書き換え問題

 森友の公文書書き換え問題は、違法かつ行政への信頼を大きく損なうものだ。佐川元理財局長の国会での証言は虚偽であった。国はむろんのこと市町村にいたるまで、行政に政治が介入するのはむしろ日常的なことであるのに、介入があったこと自体を否定したからややこしくなった。介入はあったし森友から具体的な要求もあった。それらを伺ったうえで自ら判断した、と証言すればよかったのだ。値引きの根拠がないが、教育事業の社会貢献的な側面を勘案して最大現配慮した、というしかない。むろん無償で土地を提供した点の批判は免れないが、理財局として判断した、とするのだ。これだと会計検査院が監査すべき事案だ。
 今となっては、虚偽の証言と公文書のねつ造というはるかに大きな問題であり、これを正そうとしない麻生財務大臣のみならず、行政の長たる安倍総理の責任は免れない。なによりの問題は官僚機構が不誠実のみならず、組織的な違法行為を行うことが明らかになったことだ。


2018年03月17日 外国人のための温泉の入り方 日本語版 ENGLISH ver. is here

 日本人にとって風呂は単に体を洗うことだけが目的ではない。日本は周囲を海に囲まれ雨が多く湿度が高い気候のため、主に通気のために住居は昔から木造だった。部屋の間仕切りは採光のために障子という薄い紙であったり、取り外しの容易さために襖といわれる紙を重ねた軽くて薄いスライド式の容易に取り外せる間仕切が使われている。これらの間仕切の上部は欄間という開口になっている場合もある。土壁も含めて日本家屋は全体に吸湿性が高い素材で作られ開放的で通気が良いため、多湿な日本の風土に適しているが、家屋の中は夏は暑く冬は寒い。ゆえに、夏はたくさんかいた汗を流し冬は冷えた体を温めることが日本人が風呂に入る目的であった。
 昭和初期までは庶民は自宅に風呂がなく、銭湯と呼ばれる共同浴場が多く利用されていたが、そこはコミュニケーションの場でもあった。また農村地帯では農閑期には近在の知人たちと遠方の温泉地へゆき、1週間以上の長期間滞在する習慣もあった。温泉は健康に良い成分を有する場合が多く、農民は過酷な農作業で酷使した体を癒し、寒い時期に温泉地で日に何度も浴槽に入り心も体も回復したのだ。したがって、日本人にとって風呂は豊富なお湯に全身を浸せる浴槽を意味し、体を洗うことだけでなく、寒い時期には体を温めることやリラックスすることが目的であり、さらにコミュニケーションの場でもあったのだ。
 日本人にとって風呂や温泉がどういう意味を有するのかを簡単に述べた。日本で温泉に入る外国人には日本人と同じように温泉を十分に楽しんでもらいたい。主に温泉にはいる外国人の方に、温泉を楽しむための方法やマナーを教える。
 
 日本は火山が多いので日本の各地に温泉があり、最近は都市部にも大規模温泉が建設されている。温泉の価値は泉質と温度と湯量であるが、薄めず再使用しない温泉が良く、「源泉かけ流し」と明示されている。また、都市部の大規模温泉はプールやサウナ、マッサージなどの施設が充実しているが、一方古い山中の温泉は、美しい渓流や樹木などの自然の景観を楽しめることが多い。私は後者の昔からある温泉を勧めたい。建物は古く設備も不十分だが自然の中でこそ人はリラックスできると思うからだ。屋外の浴槽では春は桜を眺め秋は紅葉を眺め冬は雪景色を眺めることができる場合がある。そのほかにも朝日や夕日、星空など場所と時間に寄って四季の変化を楽しむことができる。
 
 温泉に入る場合特に高齢者が注意すべき点を述べる。温泉は40度から42度と、比較的高温のことが多いので、低糖にならないよう空腹を避ける、脱水状態にならないように水分をとる、いきなり熱い湯に入らずに足から湯をかけて急激な血圧上昇を防ぐなど、通常の浴槽に入る場合と同様の注意を要する。この点から、温泉では浴槽に入る場合、先に頭と体を洗ってから入るとよい。しかし私は浴槽に体を浸した時の快感を十分に味わいたいので、先に浴槽に入り体を十分に温めてから浴槽から出て全身を洗い、最後にまた浴槽に入るのが好きだ。女性は浴槽に入る前に化粧を落とすことが好ましい。また、髪の長い女性は髪が温泉に漬からないように頭の上部にまとめることが多い。従って女性は浴槽に入る前に全身を洗い濡れた髪を洗いタオルで包んで入湯する場合が多いようだ。また生理中は浴槽は避けるべきだ。当然だが男女ともに入浴前の過度のアルコールは避ける。しかし浴槽に浸かりながら日本酒が飲めるサービスが提供される場合がある。

  温泉に入る場合に必要なものは、体を洗うためのタオルだ。薄いものが使いやすい。濡れたタオルを持ち帰るためのビニール袋も必要。なおこのタオルは管理されている温泉では購入可能である。バスタオルはかさばるので私は温泉では使わないが、必要なら持参すること。有料で借りれる場合もある。温泉宿に宿泊する場合はタオル類は用意されており、洗いタオルは持ち帰ることができる。シャンプーとボデーシャンプーはほとんど備え付けられている。ドライヤーは無い場合がある。貴重品はコインロッカーが無ければ管理さえている温泉では預けることができる。なお、古い温泉は軟水の蛇口がなく、シャンプーなどが使いにくい場合がある。
 大規模温泉ではプールなどの施設では水着を着用する場合がある。台湾の温泉では男女が一緒の浴槽に入るので多くは水着着用である。日本の一部の男女混浴の温泉では、女性用の入浴専用の衣服の着用が可能な場合もあるが、多くの場合、バスタオルも含めて浴槽での水着や衣服の着用は認められていない。混浴の温泉に慣れていないひとは、事前に調べておいたほうが良い。なお、大きな旅館や大規模温泉ではファミリーや友人同士で専用の部屋で温泉に入ることができる場合もあり家族風呂と称するが、大浴場の解放感には及ばない。
 入れ墨について、日本では入浴を禁止している場合が多い。部分的なものであれば黙認されるだろう。日本では入れ墨はやくざと呼ばれる犯罪者集団のシンボルであったため、伝統的に排除されていたものだ。

 浴槽で初対面のだれかに話しかけても良い。日本人は英語が喋れない場合が多いが、単語を区切って発音すればわりあいに通じる。有名な温泉は旅行者が多いが、小さな温泉は地元の人が多い。地元の情報を温泉で入手できれば上出来だ。地元の食べ物やイベントなどの情報を得られれば楽しい。なお温泉宿に宿泊する場合は朝夕の食事が提供されることが一般的である。また料金は一室当たりではなく一人当たりの宿泊料が示される。温泉だけに入る場合は一人当たり500円から2000円ぐらいだが、入湯は宿泊客のみとしている場合があるのと、込み合う時期や時間帯は入湯のみの客を断る場合がある。

 浴室でのマナーは、浴槽を清潔に保つために入湯する前に十分湯を体にかける。特に下半身は湯で洗ってから入湯する。洗いタオルを浴槽に漬けないこと。子供を連れてゆく場合、入湯前にトイレをすませておく。
 洗い場でシャワーを使う場合など、お湯やシャンプーの飛沫が周りの人にかからないようにする。洗い桶や椅子は使い終わったら水洗いしてきちんと片づける。洗い場のお湯や水は成分の無い水道水であることが多い。温泉の成分に寄る効果を期待するために最後に浴槽に漬かることが一般的である。浴室で洗いタオルで全身の水滴を良く拭き、水滴が滴らないようにしたうえで脱衣室に戻る。そうしないと脱衣室の床が濡れてしまう。たくさん書いたが、日本人もマナーを知らない人がいるので心配しなくてよい。
 脱衣室は時期にもよるが、適度にクールダウンして汗をかかないようにする。寒い時期は十分に暖かい服装にする。

 マナーが面倒だから温泉にゆくのはやめよう、と思う人がいるかもしれないが、要するに他人に迷惑をかけないことが基本だ。それは温泉にかぎらず人が生きてゆく上での基本的なルールやマナーである。マナーを知ったうえで温泉を楽しんでもらいたい。

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