2017年11月


2017年11月29日 高速増殖炉もんじゅの廃炉

 高速増殖炉のもんじゅは廃炉のためのナトリウムを抜く方法が設計上考慮されていないそうだ。
 もんじゅは原子炉の燃料を繰り返し使用する核燃料サイクルを確立するための原型炉と言われる段階の設備で、原子力発電をいずれやめるのであれば必要ないのだが、すでに次の段階の炉が計画されているといわれる。核燃料サイクルで生産されるプルトニウムは核爆弾の材料で、いつでも爆弾が製造可能なように政府自民党がこれをやめないのだとの見方もある。

 ナトリウムは英語のままソジュウムとも言われ、熱伝導に優れた特性があるので、炉の一次冷却用に大量に使用されている。レース車などではエンジンのピストンの中空部に挿入されている。ナトリウムは空気に触れると燃え、水中で爆発するので、取り扱いが難しい危険物である。したがって安全に撤去する方法を設計段階から考慮するのは当然だ。そしてナトリウムよりはるかに危険な放射能汚染物質の撤去や保管については建設以前から綿密に計画、設計がなされるべきである。

 もんじゅに限らず、原子力発電では廃炉後施設を撤去するのではなく、その場所に廃棄する前提だったとみなせる。地元にそうは言えないから、電力会社はそこをあいまいにしてきた。さらに発電しない場合は地元に補助金を支払わない契約になっている。
 原子力発電の廃炉費用が発電コストに含まれていないことはよく知られている。コストに含める場合はどうやって廃炉するか、放射能汚染物質を数万年の間どう保存するかを決定する必要があった。それが不可能だから、コストに含めなかった。だが発電所の解体や汚染物質の管理に建設以上の莫大な費用を要するであろうことは容易に想像できる。したがって廃炉後放置されることは明らかである。
 原子力発電所を作り続ける限り日本中に廃炉が溢れ、自治体は発電を終えた廃炉を補助金も打ち切られて未来永劫抱えて行く暗黙知があった。だから反対しない住民は今さえ良ければ良いという愚かな人々なのだ。福島の事故で日本の自然環境での原子炉の脆弱さが十分知られたが、テロや内部の人間の意図的な破壊行為にはさらに重大な結果を招くことも多々指摘されている。

 もんじゅのナトリウム冷却系は東芝の設計、施工である。担当者の一人を知ってる。設計が批判の対象になっている様子なのでわざわざながながと書いているのだが、設計者が非難されるべきではなく、廃炉を考慮しなかったことは電力会社と自民党の責任である。環境影響を含めたコストやリスクをどこまで考慮するかということは技術を使う側の責任であるのに、しばしば技術を生み出した側に責任転嫁される。
2017年11月27日 舞妓の白粉と着物

 たまたま京都で舞妓さんを見る機会があった。ご存知の通り舞妓さんは顔を真っ白に塗って赤い紅を小さく引いている。
 路上で舞妓さんが置屋から出てきたときは、立ち並ぶ木造の家々の提灯と表札が電球色に灯る時刻で、舞妓さんの白い顔に陰影がありながら華やかに見えた。
 舞妓さんに侍ってもらったわけではないが室内でも垣間見る機会があり、煌々と明るい室内では真っ白の顔がつるんと平板で、着物も赤すぎる。思うに昔は夜はもっと暗く、室内も油で灯す暗くて影ができる照明だった。そこでこその装いであり白粉ではなかろうか。

2017年11月22日 京都国立博物館 「国宝展」
 
 京都国立博物館で開催中の国宝展に行ってきた。会期終了前で大混雑だった。...
日本では美術品が各地に分散していて寺社や個人所蔵で見られないものが多い。国立博物館は4箇所、国立の類似の博物館も含めると10近くもあり、展示品が分散している。役人の天下りポストを増やすためと旧帝大の学閥ゆえに沢山あるのかなどと勘ぐってしまう。
以前東京国立博物館の常設展を見たが、考古学上重要なことであっても難しい内容が多い。銅鏡が沢山あって文様や縁の形の変遷がどうのと言われても大して面白くないので、展示の工夫も重要だ。各地の美術館などに分散しているものを集約して、展示を平易な内容にして、子供や観光客も手軽に見られるようにすべきだ。ルーブルや故宮のように世界中からそこを目指して人が集まるような博物館があった方が良い。日本の美術を理解してもらうことは、日本人の美意識を知らしめ、ひいては日本人そのものへの理解につながる。


2017年11月8日 人工透析

 人工透析が今日でちょうど一年になる。注射針は血液検査の注射針よりかなり太いのでずっしりと痛い。慣れましたか、とたまに問われるが、慣れるものではない。
 泊りがけの旅行が不自由になると思っていたが、さほどではない。山奥で幾日も過ごすことはできなくなったが、旅先の病院で透析の予約さえ取れれば、国内旅行はさほど困難ではない。海外旅行も可能だ。
 だが、人工透析は腎臓機能の一部を補うにすぎないので、食事内容や水分摂取量のコントロールが必要であるし、薬剤や注射によって、さまざまな血液の成分を補てんしたり排除しなければならない。...そうしても完全に理想的な状態を保てるわけではない。
 したがって人口透析を長年続けるうちに、次第に血液成分の様々な問題が拡大し、それが原因となって免疫力が低下して感染症や悪性腫瘍を招く可能性がある。つまり食生活や投薬によって、血液成分をできるだけ理想的な状態に保ち続けることが重要なのだ。




END