2014年06月


 2014年6月14日  公共サービスのありかた

 山の中で出水や山崩れの危険性が高い場所に住んでいる人たちはたくさんいる。米作りは既に食えない産業だが、効率の悪い山間の耕地にも住む人達がいる。また津波の危険性が高い海沿地や狭い入り江に住む人達もいる。このような場所では住民にとって日々の暮らしが苦労なだけでなく、散在する小さな集落を守るための崖崩れの防止柵や河川の堰堤の建設、道路の維持、防波堤などの費用は莫大なものになる。医療や教育、物流も困難である。

 限界集落あるいは過疎地対策の本質的な解決策として、安全な住居に適した地域を設定し、百年単位で移住を容易にするような政策を実行する。国民がどこに住むのも自由だが、公共サービスが十分に得られる住居地域を指定し、移住を優遇するような施策を実施する。電気、ガス、水道、物流などすべてのコストを低くする。その他の地域に住むのは自己責任でどうぞ、というわけだ。過疎の村を消滅させるというとマイナスイメージだが、活断層や液状化の危険地域から、安全な地域を住居地区に設定するという計画である。人口減少のなかで公共サービスを維持するための効率ということを考えると、山奥の一軒家と人口密集地での一律のサービスは不可能である。過疎地は現に徐々に消滅しかかっているのだから、むしろこれに行政が力を貸すのは必要なことと思う。

 その方法が問題で、復興避難アパートの様な簡易なものを作り移住させるのではなく、生活の基盤を移すための支援が必要である。安価で広い住宅を提供することや、二世代三世代世帯を優遇したり、住処の多様な選択が出来るようにする必要がある。また医療や教育の質を確保できる地域を設定する。そもそも若年労働者の雇用を確保する必要もある。

 現在人口20万人以上の特例市が40市、30万人以上の中核市が指定予定の八王子市を含めると44市。人口50万人以上の政令指定都市が20市存在している。この20の政令都市には現在3,600万人が住んでいるので、残りの80市を100万人規模の市にすれば、だいたい今の日本人全員の人口となる。100万人というのは仙台ぐらいの規模である。これぐらいだと高度な医療施設や文化施設を維持することが可能である。これら約100市の市域のなかに住居に適した土地を設定し、目標とする人口密度を設定してインフラの整備をする。

 限界集落を再生させる可能性もあるだろうが、日本人の生活が土地や地域との関係が薄れて来ているので、再生ではなく消滅という選択もあるということだ。地方都市にほどよく人口を集中させることが地方を活性化する唯一の手段だ。


2014年6月13日    宇久島に世界最大級の太陽光発電所  (FBと同内容)
 
 やらせメールの九州電力も自民党政権下でうやむやにしてもらったが、その九電の実質子会社九電工と京セラ、オリックス、みずほなどが、五島列島の宇久島で、島全体の1/4に相当する630万km2に太陽光パネルを設置し、430MW(原発3基分)の世界最大の発電所を作る。15年度に着工とのことだ。
 島の風景を見ると美しいのどかな島である。本当にいいのね?と言いたくなるような、美しい海岸線や小さな入り江やなだらかな草原がひろがる島である。限界集落と耕作放棄地の島の選択だと想像するが、ダムに沈む村と同じような運命を、太陽光発電も人々にもたらすことがわかった

 太陽光発電設備や風力発電設備に限らず、大規模な施設を作ろうとすると人間の生活エリアと重なる部分が多くなる。住民達にとってはその場所はかけがえのない環境だから、事業者ではなく住民の意志で選択すべきことだ。この住民の範囲というのが問題で、狭い区域なら当然反対。広い範囲の住民だと、自分との関わりが薄れるので賛成者が増えてくる。今回は島という狭い区域のなかで住民の合意が得られていれば結構なのだが、その点には懸念がある。
 事業者やお役所の側に、危険な原発じゃないし、見た目の威圧感や低周波の問題がある風力発電ではないので、住民から文句を言われる筋合いはないという傲慢な感覚があるとすれば問題だ。自然エネルギーイコール善という単純な論理を振りかざすことなく、住民の暮らしに長期的に関わるようなソフト面での補償や施工時だけでない継続的な雇用の創出によって住民の大半の合意を獲得した上で事業に着手する必要がある。


END