2008年5月


2008年5月24日  「妻との修復」嵐山光三郎著 講談社現代新書
 「妻の圏外へ逃走する。そうすると地平の果てに道楽人生が見えてくる。逃走しつつも離婚しないところに夫の居場所がある。」

 有名人、無名人のたくさんの男女の物語から、「教訓」を垂れており、それが作者の冗談のように語られるのだが、それなりに納得もさせられるのだ。一気に読ませるのは、さすが元有名誌の編集長、といいたいところだが、嵐山は以前はマスコミに露出しすぎてやや軽薄な印象もあった。多くの夫達がこの本を手に取ったとき、タイトルの重さと作者のイメージの落差を感じるだろう。だが、読むほどに我が身を顧みて気分が沈むところを、嵐山風の「軽さ」に救われるのです。


2008年5月25日  大天災

 (ミャンマーサイクロン)
 5月2日から3日にかけて、大型サイクロンに襲われたミャンマーでは、死者が10万人以上と言われる。ようやく昨23日、軍政が国連総長に、国際支援を受け入れる意向を表明した。3週間経った現在も240万人が避難しており、支援物資は必要分の2割も被災者に届いていない。

 (四川大地震)
 中国四川省では、5月12日に大地震が発生し、8万人が亡くなったとみられている。被災者数は1千万人規模とのことだ。330万張のテントが必要といわれている。


 ウェブで救援金を募集している所を調べると、聞いたことがあるものも無いものもたくさん出てくる。きちんと被災者に届くかどうかを我々が調べる手だては少ない。とりあえず下記はご参考まで。

 「ミャンマーサイクロン」救援金受付について
  日本赤十字社 郵便振替口座 00110−2−5606 加入者名 日本赤十字社 6月10日まで。通信欄に「ミャンマーサイクロン」と明記。郵便局窓口では振替手数料が免除される。

 「中国大地震」救援金受付について
  日本赤十字社 郵便振替口座 00110−2−5606 加入者名 日本赤十字社 6月10日まで。通信欄に「中国大地震」と明記。郵便局窓口では振替手数料が免除される。

 四川省の地勢と歴史、産業について−「中国全省を読む地図」莫邦富、新潮文庫
 四川省は中国最大の省のひとつで長江の上流に位置し、三峡を通じて長江中下流の各省、市とつながっており、中国の西部地区にとっては重要な交通経路である。省内70%の土地が1000m以上の高地で、東部地域は高峻な山々に囲まれた広い盆地であり、西部は海抜が急激に高くなった高原と山地だ。沿海部からは遠く離れ、日中戦争時に当時の中央政府は同省に避難した。省都の成都市は歴史の古い都市で、三国時代に蜀の劉備もここを首都とした。四川省は諸葛孔明や唐の杜甫や李白、宗の蘇東坡が活躍し、郭沫若およびケ小平の生まれ故郷である。多民族が居住し宗教が盛んな土地である。「仏教の聖地」といわれる峨眉山には23もの寺院があり、チベット仏教のラマ教の寺も多い。道教の発祥の地としても有名で、古代の水利施設のある都江堰市の青城山天師洞、上清宮、成都の青羊宮、楽山大仏などが知られている。
 金沙江、大渡河、沱行、嘉陵江、鳥江等の河があり三峡ダムなどによる水力発電量は中国一を誇る。鉱産物の埋蔵量も豊富で、チタン、バナジウムの埋蔵量は世界の総埋蔵量の82%と67%を占める。天然ガスは44%である。これらから、中国政府は70年代まで、軍需産業を初めとする重工業関係の工場を同省に移転、建設してきた。だが、市場経済システムが次第に導入され国有企業の大奥は軒並み経営不振に陥り、多くの従業員がリストラされた。同省は膨大な余剰労働力を抱えて、その就職、生活問題に苦しんでいる。そのため、いま中国で有数の出稼ぎ労働者の送り出し地として知られている。/以上「中国全省を読む地図」より。
 本書によって中国の広さと多様さと歴史に触れ、悠久の中国の魅力を感じた次第。現在の中国は省単位で把握する必要があるのだということもわかった。



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