2007年7月


2007年7月30日(月) 「環境イノベーションによる新しい文化の創造」東京大学生産技術研究所 山本良一教授
 
 ご本人の言。「私の主なタスクドメインは環境イノベーションの振興とその普及です。」
 その通りに、温室効果ガスの温暖化への影響、温室効果ガスの濃度、温暖化の実体、温暖化ガスの排出量と大気中濃度の関係、植林の効果が少ないこと、排出量削減目標、温度上昇の影響、将来の温度上昇予測について、最新の研究成果をわかりやすく解説している。日本は2050年までに温室効果排出ガスを80%削減すべきで、日本はエコイノベーションを実行する力がある、という。
 もっともフリーディスカッションでは、「中国には軍事力で言うことを聞かせるという案があるが、そうはいかないので温暖化で自分が困るまで待つ」とか、「環境と経済を両立させる極意はハイテクエコプロダクトを購入して、なるべく使わずに買い換えることだ」などとのたまう。経済は専門外だと自分で言うのなら、緻密な発言ができない分野のことは言わない方が良い。
 ともあれ、計算方法やデータが明快でわかりやすく、高校物理のレベルで十分理解できる。「振興と普及」とはかくあるべきなのだなあ、という講演である。

 都市経営フォーラム(日建設計) 「環境イノベーションによる新しい文化の創造」


2007年7月22日(日) 官僚が公務員制度改革への抵抗のために阿倍政権の倒閣を企てた−田原総一朗(日系BPメールマガジン7.20朝)

 私のきらいな田原惣一郎による、以下先週末のコラムより。

 阿倍政権は、社会保険庁の民営化と公務員の天下り改革をやろうとしている。民主党の長妻議員が2月に、5000万件以上もの不明年金があると発表したが、官邸が知ったのは6月だ。社会保険庁が厚労省、政府、官邸には何も報告せず、政府、官邸の危機管理の無さを外部にリークしたことは、阿倍内閣を転覆するための、いわば自爆テロだ。

 天下りの改革とは、各省庁の官房長官が握る官僚天下りの権限を取り上げて、人材バンクが1回限りの斡旋をするというものだ。これに全省庁が猛反発して、阿倍政権への二重のクーデターとなっている。そしてこれまで殆どの新聞は、阿倍政権が社会保険庁の解体や公務員改革を決断できないと書いていたが、それをやることになって、多くのメディアは阿倍不支持となってきている。官僚が公務員改革に反対するのはわかるが、マスコミも阿倍不支持となって来ているのは、公務員改革を実際にやったら優秀な人間は官僚にならなくなり、日本のゆく末が思いやられる、またマスコミの情報源はなんといっても官僚だから、官僚が反阿倍政権になるとマスコミも不支持となるのだ。マスコミは重要な情報源である官僚とは徹底的には戦えないのだ。官僚達の必死のクーデターが今効を奏して来ている。

 阿倍首相は憲法改正、集団的自衛権、教育基本法改正、北朝鮮、イラクという政治課題の中で、強い首相として登場してきたが、3代続く大プリンスの弱さが現れると、これをたたくのがメディアも痛快なのだ。小泉が言ったように公務員制度改革は十分な根回しが必要だった。このように社会保険庁解体と公務員制度改革は、自民党内外からの阿倍政権への逆風となっており、これを仕掛けたの はとりも直さず官僚であり、自民党内の反安倍勢力である。そしてそれを煽っているのがマスメディアだ。その壮絶な反撃に安倍政権が苦境に立たされていると いうのが、参院選を前にした今の状況だ。

 以上、田原のコラムの要約である。おそらくテープから起こしたもので、繰り返しや口語が多い長い文章だが、あまり具体性のある情報は含まれておらず、田原の感覚を表明したものだ。ネット配信だから気楽に話したようだ。
 自民党が参院選に負けると、阿倍内閣は代わるが自民党が政権を失うわけではなく、官僚の期待はまさにその点にあるのだ。つまり参院選は阿倍か、阿倍以外の自民党の次期政権かという点が争点であり野党は何の関係もない。言い換えれば阿倍政権で社会保険庁民営化と公務員制度改革をやるかやらないかということが、選挙の争点なのだ。そして田原は、改革推進のためには阿倍内閣支持というスタンスなのだ。
 公務員制度改革は、利権や情報の独占のための、いわゆる日本の業界構造を変革するものだ。部分的な天下り規制といえ、道筋は正しいかもしれぬ。



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