2005年 4月

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2005年4月28日(木) こまち車中にて。PC(パソコン)の将来。 (本欄は5月末に大幅補筆)
 東北新幹線こまち271号の車中である。仕事ならブーブー言うのだろうがげんきんなもので始発のバスに乗って、時刻は会社がまだ始まっていない朝8時を過ぎたところだがすでにとっくに熊谷あたりも越えた場所だと思う。外の景色が見栄えがしない間は久々に何か書いてみようと思ったのだが、美しい田園風景が広がりつつあり車窓の風景が気になる。
 これから仙台経由仙山線で山形へ向かい、そこで東北旅行中の母達と落ち合う予定なのだ。早起きした訳はその前に一人で立石寺へ立ち寄るためである。山間を走る仙山線も趣があると聞く。連休前日のこまちはほぼ満席だが幸運にも私の隣は空席だ。

 クイーンの「オペラ座」を最高の音質で聞きながら、車中でこんなことができるのは念願のモバイルPCを手に入れたからだ。旅行のことはいずれ別の場所に書くとして、このモバイルPCを使い初めて感じたことを書いてみる。それにしても車窓は栃木あたりだろうか、美しい山里の風景が続き、窓の外に気を奪われると作文がおろそかになってしまうので困る。
 SONYのPCは美しいデザインで、CPUはやや非力だがハードディスクは60Gの容量を持ち、CDを丸ごとwavファイルのままで50枚ぐらい、さらに映画はやや画質が悪いがaviファイルで10本ぐらい収納できる。またMSオフィスや動画の加工ソフトも付属しており、マルチドライブ付きだからDVDも楽しめる。なにより実用的なキーボードが付いているのでこうやってブラインドで入力ができるというわけだ。(ここで中断、以降は帰宅後作成)

 モバイルPCの賛美で始まったが、結局旅先で密度の高い作文は無理だとわかった。刺激を受けた時に同時に創作はできないようだ。要点を記録することが関の山である。してみると昔の小説家が旅先や逗留先で創作していたというのは疑問である。うまいものを食ったり酒を飲んだり、仲居さんと話しこんだりそのあたりを散策したりして、落ち着いて部屋でものを書く気になりそうもない。BGMは別として、音楽を聴きながら創造的なことはできないのと同じだ。昔の小説家も着想を得て、部分的なメモを作っていただけなのではないか。

 本題に戻る。私が手に入れたモバイルPCは、軽くて実用に耐えるキーボードとディスプレイが付いているという最低限の条件をクリアすることに加えて、道具として毎日使用するのだから満足できる優れたデザインと、音楽好きの私が少なくともCDをきちんとした音質で聞くことができる、という点だ。通信は携帯電話があるしWEBは今やどこでも利用できる。してみるとモバイルの役割はわかりにくくなった面があるが、私の場合外出先では文章入力装置、音楽サーバーとして使用するのだ。エッジ(ピッチのパケット通信によるWEB接続)の契約が不要ならランニングコストは発生しない。自宅ではメインマシンとして使用する。いずれディスプレイを別途購入すれば今時のモバイルは動画編集でも遜色がない。

 パソコンもそろそろ性能、価格競争の時代ではなく、それぞれの使い方や用途に合った機能を提供することと、一方個人が使用する場合は万年筆のような、使う人が持つ喜びを得られるようなデザインやソフトが重要ではないか。ここから具体的な話をしたいところだがマニアックになるので別途。

 PCの将来の一つの可能性について言うと、CDやMDは使用されなくなり、購入した音楽データはサーバーに収納して持ち歩くようになるのではないか。PCは音楽サーバーとして使用されるようになる。実はこのような機能はPCだけの機能ではなく、ハードディスクプレーヤーという名のオーディオセットとしてすでに市販されているのだ。携帯音楽プレーヤーがすでにあるが、現時点ではデータを圧縮するために音質をある程度犠牲にしている。現在持ち歩ける携帯音楽プレーヤーとして最高音質なのはCDプレーヤーであり、その次がMDプレーヤーである。これらは良いオーディオで再生すると格差がわかってしまう。

 CDには曲目や演奏家名に加えて美しい写真や解説が付いていることも重要である。これらの付属情報も現在CDをドライブに挿入するだけで基本情報は自動的に取り込むことができるのである。PCでCDを再生したりサーバーに転送するとき専用ソフトが自動的にWEBを通じてサービス提供会社から無料でCDのデータを読み込みPCに取り込む。それによって曲名や演奏者名、ジャンルや演奏者のイニシャルなどを自動記録することができる。近い将来著作権の問題を解決してジャケット写真や解説、歌詞なども自動的に得られるようになるだろう。

 音楽データはwavファイル(CD音質)でアルバム1枚あたり700Mだから、通常個人が持つ300枚ぐらいのCDなら2万円ぐらいの250GのHDDにすべて入ってしまう。そこから必要に応じてアイポッドのようなメモリータイプの携帯音楽プレーヤーに自由な圧縮形式で転送すればよいのだ。携帯音楽プレーヤーは現時点では音質が今一歩であるが、いずれwavファイルをそのまま再生できるものも出現するはずだ。CDはまとまると意外な重さになることとドライブの出し入れが結構面倒であるが、ハードディスクなら画面上で選択するだけで数百枚のCDから好きなアルバムを選び好きな曲が直ぐに再生できるというわけだ。

 実際に持ち歩いて役に立ったのは写真帳としてである。叔母達との観桜旅行で、毎日デジカメで撮った写真を旅館でみんなで見て結構楽しかった。7,8名でみるには画面が小さかったのが問題だったが。デジタルカメラを購入してからは、写真は一旦閲覧用のソフトに全部取り込む。デジカメの2インチ程度の画面では楽しむにはほど遠いし、メモリーカードに入っている画像しか見ることができない。モバイルパソコンは写真を見るのに都合の良い性能とサイズなのである。写真データなら数千枚でも容易に収納できるし、それをプリントよりはるかに大きい画面で、テレビより高精細の画像を表示できる点である。問題は液晶をのぞき込むので、至近距離だとせいぜい二人ぐらいにしか同時にみせられないことだ。

 映画は700M程度に圧縮して楽しむことができる。画質がかなり落ちるし元データを手に入れるのも簡単とはいえず、現時点ではDVDのドライブ再生というまっとうな使い方をおすすめする。旅先でわざわざ映画を見る必要もなかろうと思う向きが多いかもしれないが、新幹線の中では存外集中して洋画を見ることができた。だがこの性能はさほど必要とは思えない。

 小説。ご承知のように、著作権が消滅したり作家が放棄した作品は、現在ネット上で自由に手に入れることができる。読みやすい縦書きでページを繰るように読むソフトもある。モバイルはデスクが必要だから、通勤電車で立ったままというような使い方は不可能だが、デスク上ならパソコンのほうが手で持つ必要も無くはるかに楽だ。いずれは寝ころんでプロジェクタで天井に表示するのも良いかもしれぬ。

  だいたい以上が、ソニーのVGN−T51B(現在はT52)というモバイルパソコンを3月6日購入して、約二ヶ月間実際に使ってみた感想である。約二ヶ月間毎日持ち歩いたり、出張や個人的な旅行や、いろんな機会にどのように使えるか試してみた。ようやく自分なりの使い方がはっきりしてきたのと、現在のモバイルPCのレベルを実感することができたのでご報告した。なお、このパソコンの液晶はよいがメモリーを増設する必要があるのとCPUがやや非力な点が問題。取り込んだwavファイルが結構ブツブツとぎれていて、どうやらマスターとしての取り込みには力不足の様だ。

END